Posted on 2015.09.15 by MUSICA編集部

サカナクション、草刈姉さん復帰!
久々の5人全員・再始動第一声!

「妊娠の苦しい感じがレコーディングしていたことによって――
身体的には苦しいこともあったけど、精神的にはラクに過ごせて。
みんなとモノを作り上げられてよかった。みんなのおかげです」(草刈)

『MUSICA 10月号 Vol.102』P.40より掲載

 

■姉さん、昨日から復帰したの?

山口一郎(Vo&G)「現場復帰は昨日から。一昨日からいろいろ始めたね」

■お帰りなさい。

草刈愛美(B)「ありがとうございます」

■どうですか? バンドに戻ってきて。

草刈「全国のお母さんにはおすすめしません(笑)。最初の日からいきなり20時間(仕事しっぱなし)はちょっとやめたほうがいいと思います」

岩寺基晴(G)「本当だよね(笑)。さっき朝方にMVの撮影が終わって、草刈が現場にいた時間がトータル20時間ぐらいになっちゃってですね」

■いきなり洗礼を受けちゃったんだ(笑)。

草刈「………はい。これからいろいろご相談しながらやっていこうと思っております(笑)」

■どうですか? リズム隊としてのパートナーが戻ってきた感覚は。

江島啓一(Dr)「俺、まだ楽器で合わせてないんですよ。撮影しかしてないんで。まぁこれからですかね、帰ってきた感を味わうのは(笑)」

■そもそも、「やった!」ってなったのはいつぐらいだったんですか?

草刈「妊娠したのがわかった時? わかったのは9月ぐらいだったかな」

■まさにこの“新宝島”のトラック録ってる時期ぐらいか?

草刈「デモとかセッションが終わって、もう作り始めてるぐらいですね」

岡崎英美(Key)「私はめちゃくちゃ幸せな気持ちになりました。その日はたしか“新宝島”の作業もしつつ、映画のサントラとかもやってて。発表する時は神妙な感じだったと思うけど(笑)、めでたいなって思いました」

■女性としてもまたね。

岡崎「そうですね。お母さんとしての先輩っていうのもあるし……」

山口「お母さんの先輩!? お前、お母さんじゃないじゃん(笑)」

草刈「これからなるかもしれないってことね(笑)」

岡崎「そうそう、女性としての先輩(笑)。これからはお母さんとしての大変さみたいなのもあると思うから、サポートができたらいいなって思いましたね。同性だからわかるところってあると思うんで」

岩寺「でも、話聞いた時は凄い幸せな気持ちになって、みんなで『朝からスタジオ集まって、夜12時前には終わろう』みたいな話をして。これを機にそうやって浄化しないとなって思いました(笑)」

■一郎は?

山口「前にも鹿野さんに話したかもしれないけど、僕はひとつ成し遂げた感がありましたね。草刈が札幌から東京に出てきて、東京で出会った人と結婚して、子供ができて。不安はもちろんありますけど、音楽で生活できてるわけじゃないですか。旦那さんも仕事してらっしゃるけど、そこまで来れたんだなって思って。……俺、草刈から下北の和食屋で聞いたんだっけ? 電話だっけ?」

草刈「電話。歌詞書いてた時で、もう(スタジオには)いなかったから」

江島「こっち側にはもういなかった(笑)」

山口「聞いた時は、宝くじ当たったみたいな感じだった。『きたー!!』みたいな感じだったよね?」

草刈「うん、『きたー!!』って言ってた気がする(笑)。そもそも『いつまでに』っていう具体的な相談をしたんですよね」

山口「凄く嬉しかったですけど、その瞬間に『ちょっと待ってよ。草刈いないのって大丈夫なのか?』みたいな不安感もありましたね。でも、実際に草刈がいない状態で、今回のカップリングとかいろいろ4人でレコーディングとかしてたけど、スケジュールに追われながらやってたからさ。……いなくなってわかったこともいっぱいあったんですよ。まず、草刈に頼ってた部分が凄い大きかったなって思ったし、役割がきっちり分担されてたんだなって思って。だから草刈がいなくなって空いた部分を誰かが埋めなきゃいけないわけで。僕は相変わらず言葉に追われる人間だから、3人で補わなきゃいけないっていう。たとえば『ここでバーッとこういう音が欲しい』とか『こういうコード感にしたい』みたいな、『簡単にラフ作って欲しい』っていう時に、草刈だったら1日もかからずできることが、3人だったら誰がそれをやるの?っていう。あと、俺がどうしたいかとか、『ここをもっとこうしたほうがいい』っていうのを瞬発的に理解して形にするのって、モッチとかがやってた時もあったけど、でも9割ぐらいは草刈だったんですよね。あらためてそれがわかって戸惑った」

■エジーはどうだったんですか?

江島「その日は割とパニックでしたね(笑)。レコーディング最中だったけど、もう今日はレコーディングできないなって感じで。でも、そういえば2年前ぐらいに『再来年ぐらいに産みたい』って話をしてて、すげぇ予定通りじゃんって思ったんですよ」

草刈「でしょう?(笑)」

江島「っていう話を2年前に聞いてるくせに、こっち側はなんの準備もできてなかったっていう」

■バンドとしてひとつの人生の階段の踊り場に来たってことだよね。

江島「うん。『きたか、この時が』っていう」

■というふうに、みなさん喜びながらいろいろ考えがあったみたいなんですけど、姉さん自身はどうだったんですか?

草刈「話にも出ましたけど、数年前に『ここで産みたい』っていう話をしていて――あれは結婚して1年くらいかな」

■それが自分がサカナクションを続けていくルールでもあり、けじめでもある的な感じだったの?

草刈「この速度で、こういうバンドで、こういう人数態勢(スタッフ含めて大掛かりという意味)でやってるし、いろんなことも先に決まってるから、いきなり妊娠が決まるといろんなことが大変だっていうのもわかってたんで、なるべく早め早めにとは思ってたんですよね。それで『もうちょっと早めにできるぞ』とか、自分でいろいろ計算しながら過ごしてたんですよ(笑)。『ツアーが次の秋だから、自分はこのくらい休んで――』とか考えて、結局今回は(出産前後)3ヵ月くらいは休ませてもらったんだけど。大丈夫かな?っていう気持ちもかなりあったんですよね。でも一郎くんも事務所も『思うようにやっていいよ』って言ってくださって――」

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text by鹿野 淳

『MUSICA10月号 Vol.102』