Posted on 2015.09.17 by MUSICA編集部

OKAMOTO’S、「ロックオペラ」のコンセプトの下に
制作された『OPERA』完成。
個性爆発! 自由獲得! 本領発揮!

「俺らはロックンロールバンドだし、
その一線は超えずにやろうよ」っていう、
自分達が決めてた境界線を壊したかった。
それを壊したら何が見えるかっていうのを
突き詰めていった部分があったんです

『MUSICA 10月号 Vol.102』P.90より掲載

 

■前回の取材でハマくんから「次のアルバムはロック・オペラなんです」と聞いて楽しみにしてたんですが、完成した『OPERA』は想像以上に様々な音楽性を自由に詰め込んだアルバムになっていて。今までの枠に囚われずに4人の個性を解放し、OKAMOTO’Sという音楽を見事に拡張する作品になったなと思います。自分達の手応えはどうですか。

ショウ(Vo)「そもそもアルバムに向かって変わろうとしていた部分は凄くありました。今までは自分達の中のルールを守って、OKAMOTO’Sがこういう曲をやったらみんな嬉しいよねっていうものを目指してきましたが、今回はそうじゃないタイプの楽曲をアルバムにたくさん入れたくて」

■ざっくり言えば、いわゆるロックンロールではない曲ってことだよね。

ショウ「そうです。実際そういう曲をたくさん入れることができた。自分達的にはもの凄い会心の一作になった手応えがあるし、これがどう評価されていくのか凄く楽しみです」

レイジ(Dr)「ほんと楽しみだよね。とにかくヤバいものができちゃったなって感じがして。俺は今までの作品の中で、早く聴いて欲しいっていう気持ちが一番強いかもしれない。人によっては『これもうヒップホップじゃないですか!』って言う人もいるし、世間の反応が超楽しみですね」

ハマ(B)「コンセプト云々は置いといて、凄く新しいものを作ったなっていう自信があります。そういう作品を作れたと思っているからこそ、『これはたくさんの人に伝わるだろう』という感覚も、まずは僕らを信用してくれている人や音楽が好きな人のアンテナに引っかかって、それが周りの人達に伝わって、倍々ゲームみたいに広がっていけばいいなと思っています。それが一番確実な伝わり方だなと、最近は特に思うので。だからまずは、この新しさや面白さをわかってくれた人達と凄い濃度で共有したい、その上でどれくらい世の中に広まるのか、どれくらいの評価がつくのか見てみたいですし、今はそれが楽しみなんですよね」

コウキ(G)「有泉さんが言ってくれた通り、ロック・オペラというテーマを設けることによって逆に自分達の音楽性をすべて出せた、解放することができたという感触があって。更にその裏にはもうひとつ、今回は『みんなが好きなものってどういうものなんだろう?って考えた上で、ポップにいいものを作ろう』という意識を捨てたことも大きい要素のひとつです。やりたい放題やって、すごく好きな人もいるけどすごく嫌いな人もいるみたいな、賛否両論が巻き起こるようなものにしたいなと思いまして」

■少し前のOKAMOTO’Sは、それこそ今コウキくんが言ってくれた「みんなが好きなポップなもの」と自分達の音楽性を上手く擦り合わせて、より多くの人に響くものを作ろうとしてた時期もあったじゃないですか。でも今の話を聞いてると、今回はそういう発想ではなく、自分達のやりたいことを思いっ切りやり遂げたっていう感覚なんだね。

ハマ「1度ああいうスタイルでやったからこそ、また見る角度が変わったというところはありますね」

コウキ「ただ、誤解して欲しくないのは、音楽的にも様々なことをやっている中で、だからといって距離が遠い難しい作品ではないということ。テーマや表現したいことは今までで一番距離が近い、自分達が普段思っているリアルなこと、身近なことを歌ってる。なので、そういう意味では同年代の人達も入りやすいと思いますね」

■確かに物語のテーマ設定が身近だっていうのもあると思うけど、何よりこのアルバムに漲るワクワクするようなエネルギーと昂揚感が、人を惹きつけるポップさを放ってると思う。OKAMOTO’Sのヤンチャなエネルギーが迸ってるし、4人が音楽で思いっ切り遊んでる様が見えるし。そういうワクワク感とか興奮って、音楽自体をポップにするというか、人を惹きつけるもので。そういう作品になったところが凄くいいと思います。

ショウ「まさに、そのワクワク感は自分達自身が感じながら作ることが出来たと思います。アルバム制作の舵取りは俺がしていて、たとえば俺がデモを作って聴かせた時に、みんなが『これ狂ってるね』と言うものや、『こんなことやっちゃっていいの?』って言うものを正解として進めていったところがあって。これまでだったら『俺らはロックバンドだし、その一線は越えずにやろうよ』と制限をかけていた節がありましたが、そういう自分達が決めていた境界線を壊したかったし、それを壊したら何が見えるかというのを突き詰めていった部分があった」

レイジ「あと、ライヴのことを考えなかったのも大きいよね」

ハマ「そうだね。今までは『ライヴでできないから、こういう音を入れるのはやめよう』というルールがなんとなくあったんですけど、そこも取っ払って。ショウが言ったことも含め、作っていく中で制約がまったくなかったんです。もちろん、そうすると自己満足的なものになってしまう可能性もあるんですけど、今回は1個物語を作るという前提があったので。その話だけは凄く間口が広いものというか、共感性を持たせるものにしようっていう話をしました。実際そういうストーリーを作れたからこそだいぶ気も楽になったし、何の制約もなく曲作りができました」

■設定の部分で間口は担保したから、曲はやりたい放題できたと。

ハマ「そうです。もちろん実際に作ったショウは大変なところがあったと思います(笑)、でもレコーディング自体は凄くスムーズでした」

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text by有泉智子

『MUSICA10月号 Vol.102』