Posted on 2015.10.16 by MUSICA編集部

WANIMA、パンクシーンを超えて輝く
次なる太陽はこのバンドだ!
ファーストフルアルバム『Are You Coming?』で
さらなるバンドの本質に迫る

究極のアンチは諦めないことだと思ってるんですよ。
何もないところからでも何かできるんだって信じてるし、
人と人の繋がりがあれば、諦めない先にネクストがある。
その姿勢は絶対に変わらないんです

『MUSICA 11月号 Vol.103』P.58より掲載

 

■いよいよきた!っていう、素晴らしいファーストフルアルバムです。アタマからケツまで粒が揃ってるし、情景がどこまでも広がるようなメロディの力、歌の信頼感、メロディックパンクを超えていくソングライティング、そしてバンド3人の絆が強く乗っかる曲――WANIMAの持っている武器と輝きが、全方位に発揮されたアルバムだと思いました。

松本健太(Vo&B)「ああ、嬉しいです! もうね、その言葉だけ………♪頼りにしてたぁ~(“HOME”のメロディで)ですよ(笑)」

■はははははは。デビューして約1年っていう短い時間で、もはやメロディックパンクのシーンの外に広がるような熱狂を生んできたバンドだと思うんですが、そのタイミングにドロップするアルバムとしても、単純に音楽の煌めきしても、最高の1枚だと思います。

松本「ありがとうございます! でも、実は前回のシングル『Think That…』を録った時に同時に録ったアルバムなので、前回のシングルと気持ちはほぼ一緒なんですけど――でも、それこそお客さんが2、3人の時からやってる“1CHANCE”や“THANX”も、それ以外には新しいWANIMAもちゃんと入れられたなって思うので、自分でも凄くいいなって思います」

■藤原さんと光真さんは、今作を作ってみてどういう実感を持ててます?

松本「どうですか、光真さん! 聞かせてください!」

西田光真(G)「うーん……いい感じ、ですね(笑)。最高な出来というか、好きな曲だけを入れられたなって思います」

藤原弘樹(Dr)「今まで出してこなかったWANIMAも、たとえば“Hey yo…”とか“SLOW”では出せてると思いますし。それもいい曲になったので、それが嬉しいですね」

■“SLOW”と“Hey yo…”はめちゃくちゃいいですよね。ゆったりしたレゲエ、ボッサなアレンジで聴かせるのも新鮮で。そして、デビューから約1年経つわけですが、このアルバムに至るまでは、どういうイメージやヴィジョンを持ってやってきたんですか?

松本「実は、『Can Not Behaved!!』を出す時から、この辺で、フルアルバムを出そうっていうのは何となく考えてたんですよ。だから、1枚目の作品を作る段階から曲はどんどん作ってたんですよね。だから自分達としては、とにかく追われるよりも追っていたいっていう思いでずっとやってただけなんですよ。だから、振り返る間もないくらい、あっという間の1年だったなぁっていう感じで。ヴィジョンとかイメージとかは全然なく、とにかくライヴもツアーもやって、その合間にスタジオに入って、その中で『あ~、今のは1曲目っぽいのキタね!』とか言いながら“ここから”ができたりして――こうしよう!っていうよりは、『ああ、キタね!』っていう感覚のほうを狙ってた1年で。そういう3人の感覚だけでやって、だからこそ3人が好きな曲をちゃんと作れたなって思います」

■その感覚は凄く大事なことだし、3人が本当に楽しそうに音楽をやっている姿が曲と音に出てくるのがいいですよね。

藤原「僕ら、全然『こういうの作ろう!』みたいなのがないんですよね」

西田「たとえば僕の考えるフレーズが曲のイントロになるっていうのが多いですけど、実際はちょっとだけ考えて、あとはスタジオで弾いて、ふたりの意見を聞いて曲にしていくっていう感じなので――曲もそうですけど、WANIMAのすべてにおいて3人で作ってるなっていう感じはあります」

■それは、ライヴにしても曲にしても、3人で作らなくちゃつまらない、みたいな気持ちなんですか?

松本「どうなんですかね……? そういう星の下に生まれたんかな。まあ、僕がベースだけで作っていく曲もあるっちゃあるし、光真の弾いてるギターとか藤くんの叩いてるリズムを『それいいやん』って言って曲になっていくこともあるし、なんとも言えないところはあるんですけど」

藤原「でも、それが楽しいからね。まあ、楽しいっていうか……全部、それでできた曲達なんで、それなら間違いないっていう感じですかね。だから逆に言えば、この3人がいいと思ったことしかやってないんですよね」

■3人が「いい」と思える時っていうのは、何を共有できた時なんですか?

松本「やっぱり、曲を作ってて、ライヴでの光景をバーッと思い描いて『こうなるんじゃないか?』ってイメージできた時の感じがやっぱり一番いいのは変わらんと思いますね」

■ライヴの光景――言い換えてみると、人を巻き込んでいけるイメージが曲の中で持てた時にグッとこられるっていう?

松本「ああ、そういうのもありますね。でも、そのイメージとは全然違う感じになることもあるし、全然違うリアクションになることもあるんですけど。ただ、曲を作る時に思い描いたり想像したものの再現、みたいな感覚は結構あると思います。そこのアンテナが、3人とも近いと思うんですよ。で、音楽だけじゃなくて、笑いのツボとかも似てると思うし、逆に、そこがズレてたらキツいと思うんですけどね(笑)」

藤原「不思議なもんですよね」

松本「同じ熊本出身っていうとこなのか、なんなのかわからんけど」

西田「や、でもそれは結構あるよね」

■この1年でWANIMAを観にくる人も飛躍的に増えたと思うし、それこそライヴの光景ももの凄い熱狂になってますけど、それでも自分達が信じるのはそういう3人の空気感だっていうのは変わらないんですか?

松本「そうですね。そこはずっと素直ですね。ギターとベースとドラム、3人で歌って、3人で音楽やってるだけで……シンプルです(笑)」

■そうですよね。音楽に対しても凄くシンプルな楽しみ方をしているバンドだなぁと思うんです。たとえば今作には“Japanese Pride”という曲がありますが――。

松本「おっ! いいですねえ! “Japanese Pride”、好きですか?」

■この曲最高です。クールな演奏と押韻のリズムもサビの爆発力も凄く壮快で。

松本「やった!!!!! そう言ってもらえて嬉しいなぁ(笑)」

■ガッツポーズ出ましたね。で、話を戻すと、この曲に<今は立派な君のパパも 1度は聴いてたんだHi-STANDARD/Reggae PunkにHiphop R&B 演歌にRockも含めて/時代を超え俺たちのルーツ 次第に口遊む また必ず>っていうラインがありますけど、この歌詞にある通りのフラットな音楽への触れかたと消化のしかた、それを今の音楽に更新していってるのが、WANIMAっていうバンドそのものだなって思ったんですよ。

松本「自分達がやってきたことを振り返るヒマは全然なかったですけど――でもやっぱり、(横山)健さんに話を聞いたり、東北のAIR JAMを実際に観に行ったりしてみて、20年前のあの時代にハイスタがいて、それででき上がったムーヴメントのことを想像したら、やっぱり異常だなと思ったんですよ。そういうところから出てきた曲で」

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text by矢島大地

『MUSICA11月号 Vol.103』