Posted on 2015.10.17 by MUSICA編集部

04 Limited Sazabys、シングル『TOY』リリース。
苦難を乗り越え掴み取った新たな確信と次への展望

やっぱり、自分にとって「歌う」っていうのは、
失くした感覚を思い出すための手段なんだって思いました。
“monolith”みたいに一気に曲を書いてた時も思い出したいし、
小さい頃に感じていたものも無垢なまま想像したいんです

『MUSICA 11月号 Vol.103』P.80より掲載

 

■『CAVU』ツアーの名古屋ファイナルにも密着させてもらって、その後には怒涛のフェスシーズンもありました。ステージの規模もどんどん大きくなっている中で、ひとまず『CAVU』以降の状況や今の自分達の立ち位置を、どういうふうに捉えられましたか?

GEN(B&Vo)「こんなに知ってくれてるんだな、っていうことに対して、正直凄く驚きましたね。今までは、若い女の子とかに声をかけられるようなことは何度もあったんですけど――最近は、『あんまりライヴに頻繁に来るような人ではないかもな』っていう、30代後半くらいの方に『むちゃくちゃよかったです!』『好きです!』って声をかけられたりもして。ライヴに来れなくても、曲を全部知らなくても、僕達のことを知ってくれてる人が凄く増えて嬉しいなって思う機会が、今年は凄く多かったと思います」

HIROKAZ(G)「あとはやっぱり、フェスに呼んでもらえるようになったのは大きかったと思います。いろんな年代の人が観てくれる場だし」

GEN「そうだよね。ジャンルとか関係なく、今まで一緒にやってこなかった人達と同じ場所でやれるようになってきたので。それはいい機会をたくさんもらってるなっていう感じなんですけど」

■音楽的な面で言えば、『sonor』から『CAVU』までの過程で、4人が自由に自分の引き出しを開けられるようになってきたわけですよね。メロディックパンクもヒップホップもポップスモータウン調のものもスムーズに溶け合う曲が、フェスっていう多種多様のリスナーが集う場所で格好の舞台を得たっていう言い方もできますよね。

GEN「それも結果的になんですけど、ジャンルとかで音楽を聴かない人達が聴ける曲を作れてたんだなって、気づかせてもらえたというか」

■前回のツアー密着の後、GENくんが「初めて観てくれる人が一気に多くなったことで逆に気づけたのは、僕達はハイクオリティなショーを見せたいんじゃなくて、やっぱりライヴがやりたいんだっていうことなんです」と言ってくれたのが印象的だったんですが、決まり切ったものとか予測を超えるような、何が起こるかわからない生身のステージを心から楽しんでいる4人の姿に人はグッときてるんじゃないかなと思うし、その熱い遊び場感こそが、この状況の一番の核なんじゃないかなって思うんですよ。

KOUHEI(Dr&Cho)「確かに、そうやって自由になってきた自分達の曲に対して、何も予想しなかった部分で『こういうふうに乗ってくれるんだ』っていう反応もあるし、そこでの驚きとか面白さが自分達にも跳ね返ってきているような感覚はあって。逆に、『ここで行かないんだ?』っていうのもあるんですけど(笑)、それも面白いし、それが、最近よく感じられることですかね」

■なるほど。そこで、今回メジャーで初のシングルが出ます。今話してくれたような面白さ――飛べたり、キュンとする切なさがあったり、歌えたり、っていういろんな一面を1曲ずつに凝縮してきたシングルだと感じたんですが。自分達ではどういう感触を持ってますか?

KOUHEI「自分達としては、こういう状況に対してどういう曲を作ろう、みたいな話し合いとか、ライヴでこうしたいからこういう曲を作ろう、みたいな話し合いも全然なく作っていった作品なんですけど」

GEN「というか、方向性みたいなものもみんなわからなくなってたっていうのはありますね。どうしよう?みたいな」

■それは、作るのが大変だったということ?

GEN「いやー、大変でしたね。ずっと曲を作ることは作ってたんですけど――締切もタイトだったし、その焦りとかストレスがあって。だから、結構雰囲気が悪かったんですよね。それこそ、みんなが『次どういう曲をやったらいいんだ?』ってわからなくなっちゃってたんですよ」

■それは、曲のハードルが上がってて、そこをクリアするものが出てこなかったっていう話なのか、そもそも着地点がなかなか見えなかったっていう話なのか、どうだったんですか?

GEN「うーん……何が自分達の正解かわからなかった、っていう感じだったんですよね。たとえば前のシングルの『YON』の時で言えば、たくさん曲を作ってる中で、話し合わなくても『この曲が入るだろうな』っていうのが共有できてたんです。だけど今回は、『これがいいと思うんだけど』『うーん……』みたいな感じを繰り返していて、次をどういう作品にするのかっていうのが自分達で全然見えなくて」

■じゃあ逆に訊くと、今まで、フォーリミにとっての「次の作品はこういうところに向かおう」っていう指針は自分達の活動のどういう部分から生まれてきていたものだったんですか? 

GEN「うーん……たとえば『YON』の“swim”っていう曲で言うと――その前の『monolith』のリードが2ビートの“monolith”っていうカッコいい曲で、その曲である程度自分達を支持してくれる人が増えて。であれば、その次はもう少し認知を広げられるものを作ろうっていうタイミングだと思ったところから“swim”みたいにポップなアプローチの曲がいいよねって共有できてたんですよ。やっぱり、認知が広がるにつれて『こういう曲がもっとあったほうがいいんじゃないか』って考えて曲を作っていったところはあったんですよね。だけど、『CAVU』でいよいよちゃんと評価されてしまって、ツアーもやり切れたし、いい段階を昇って状況が一気によくなったからこそ、次はどうなるんだろう?っていうのが全然想像できなかったんですよ。上に上がっていきたい、っていうイメージは常に持ってましたけど――この先は全然考えてなかった」

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text by矢島大地

『MUSICA11月号 Vol.103』