Posted on 2016.01.15 by MUSICA編集部

BUMP OF CHICKEN、待望のアルバム『Butterflies』完成!
その心の奥も大切に語り尽くす
藤原基央アルバム第一声インタヴュー

アルバム単位で今の自分達を表現していく方法論は、
長くてあと2、3年とか? そんな話だと僕も思っていて。
それでもやっぱり、アルバムをつくることを繰り返してきたから、
感慨深いものがありました

『MUSICA 2月号 Vol.106』P.30より掲載

 

■12月29日です。年の瀬のお忙しい中、どうもありがとう。

「とんでもございません、お互い様です。よろしくお願いします!」

■23日にアルバムが完成したと思うんですよね。そこから6日間ぐらい経って、整理できた?

「そっか……23日は、結構深くまでマスタリング作業が続いたんですね。で、完成版は25日に受け取れるっていう話だったんですけど、マスタリング作業中に、ちょっと音が割れていたりしていたらしく、そういうのを修正する作業があったらしく……実は、マスタリングの完成版は、昨日受け取ったんだよね(笑)」

■え!? じゃあもしかして――。

「そうなの(笑)。だからなんにも聴いていないんです。……そんなこんなでここに来ちゃって、ごめんなさい(笑)」

■あはははは。ではなるべく丁寧に紐解いていこうと思います。

「僕も現時点で話せることを精一杯、話させていただこうと思います」

■まず今回、1年11ヵ月ぶりのアルバムなんです。これは、長いか短いかは明確ですよね?

「短く……ない?」

■すっごい短いですよね。

「あ、よかった(笑)。我々にしてはかなり短めですよね」

■調べてみたら、『THE LIVING DEAD』(セカンドアルバム)から『jupiter』(サードにしてメジャーファーストアルバム)までとほぼ同じだね。

「あ、そうなんだ」

■そしてそのあとは、基本、3年以上かかっています。

「はあ!……そうなんすか(苦笑)」

■『THE LIVING DEAD』から『jupiter』っていうのは、インディーからメジャーっていうタイミングでもあったし、バンドとしても若造でしたし、せかせかしていた時期だと思います。

「まさにそうだと思います」

■久しぶりに、それに匹敵するぐらいのショートタームでアルバムを出す、という。あの頃と比べてみると、今回は、自ら選択したショートタームだと思うんですよね。

「うん、そうだと思います。『THE LIVING DEAD』に関しては、『FLAME VEIN』(ファーストアルバム)っていうその前のアルバムを録って、間もなくして突然、『1週間スタジオを押さえたから、この1週間でアルバム作れ!』って言われて、わけもわからず曲を作ったの。だから最初はオケだけ作って、メロも詞もないっていう。要は楽器のアンサンブルだけで作るっていうね。あとはコード進行と構成かな。レコーディングの終盤に歌として機能するっていうことですね。歌詞もないし、メロディもない状態でレコーディングを始めていくっていう状態ですから。ドラム叩いていたって、ヒデちゃん(升秀夫)はどんな歌詞なのか、どんなメロディなのかまったく知らないわけですから。今ではまったく想像できない作り方をしていたんですけども。……その作業っていうのは自発的なものではなかったんですよ(笑)」

■その『THE LIVING DEAD』の作り方を受けて、『jupiter』は早く出したかったっていう気持ちがあったんじゃないの?

「早く出したいっていうより、納得いくまで作りたいっていうのがあって。その反動で我々はたぶん、レコーディングと曲作りに時間がかかるようになったと思うんですけど(笑)」

■そういうトラウマから来てるんだ(笑)。

「もっとアレンジメントを整理していきたいとか。当然のことだけど、詞とメロディを理解した上でアレンジをつけていきたいっていのもあるだろうし。でも前作の『RAY』から今作までは、あの頃と同じくらいのタイム感で出せてるっていうことですよね? それは自発的なものというか、自然にこのペースで作れたっていう感じがします。とはいえ、ずっと曲作りはしていたんですけど」

(中略)

■まずは『Butterflies』というタイトルはどこからきてるんですか?

「これは“Butterfly”っていう曲があって、そこからきたんですけど。アルバムのタイトルをつける時、いろいろ出てきたんだけど、なかなか『これ!』っていうのがなかったんだよね。で、誰かが言ったんだよね『“Butterfly”でいいんじゃない?』って。その誰かっていうのは、“Butterfly”っていうのが相当キてたんじゃないですかね。で、また他の誰かが、『Butterflies』って複数系がいいんじゃないかって言った時に、それもいいんじゃないかと思って(笑)。今ではとっても気に入っています」

■では、“Butterfly”という曲の話をさせてください。これは歌詞と音で、凄くいろんな解釈が生まれる音楽だなぁと僕は思っていて。まずサウンドのほうなんだけど、非常にダンサブルな曲で。ライヴを想定したような曲だとも思うし、ある意味、非常にバンドという概念を覆す音、そして同期がいろいろ入っている曲だと思うんですが、サウンド面でどうしてこういう曲に仕上がったかを教えてもらえますか?

「最初は8分のアコギのストロークだけで、そこからのスタートだったんですけど……あ、8分って、8分音符の8分ね。で、歌メロの中に16の感じがあったんでしょうね。そこから引っ張られて……なので、露骨に16の展開なんです!っていう感じではなくて、その匂いを歌メロのどこかに感じたんでしょうね。それで、そういうふうにアレンジがついていって…………気づいたらアゲアゲになっちゃった(笑)っていう感じで」

■(笑)そのアゲアゲをもうちょっと克明に話していただけますか?

「指標として、キックの4つ打ちを入れておいたんですね。別に4つ打ちでやろうとしていたわけじゃなくて、そういう指標として」

■フジの4つ打ちは定義が広いからね。土臭いブルースとしての4つ打ちとかもあるし。

「世の中で4つ打ちっていうと、もうジャンルになっちゃうもんね。僕にとっては、足踏みと同じようなもんですね。そういう解釈でやってます」

■でもこの“Butterfly”の4つ打ちは、ダンスミュージックの4つ打ちの感じに仕上がりましたよね。

「最終的にそうなりました。でもそこを目指していたわけじゃなかったのは確かです。ありのまま起こったことを話しましょうか。まず、4つを指標として敷くじゃないですか。そのあと、じゃあハット入れるか、ってなって、そこから歌のメロと一番相性がいいのがどれだろう?って、いろいろと試していって、そこからもう一度、アコギのストロークを弾くじゃないですか。そうすると、その前までは8分のストロークだったのが、16になっていて……っていうふうに、肉づけが行われていって、最終的にああいうふうになったっていう(笑)」

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text by鹿野 淳

『MUSICA2月号 Vol.106』