Posted on 2016.01.15 by MUSICA編集部

突如現れた革命的才能・ぼくのりりっくのぼうよみ。
未だ17歳の革命児、初のロングインタヴュー

自分のことも俯瞰で見てるというか。
なんか全部、自分のことだと思えないところがあります。
物語を読んでる感覚と同じ感じというか。
どこかゲーム感覚も凄いあるんだなと思います

『MUSICA 2月号 Vol.106』より掲載

 

■今、大学受験真っ只中なんですよね?

「です(笑)」

■大学受験の最中にデビューするアーティストってとても珍しいんですけど。そもそもデビューしたいという気持ちを持って音楽を作り始めた方なんですか。

「いや、そういう気持ちは皆無です。今もまだ実感ないくらいなので(笑)」

■現実的に1カ月後にはもうアルバムがリリースされますけど(この取材は本格的な受験期に差し掛かる前、2015年11月下旬に実施)。

「そうですね。そして2カ月後には試験があるという。どっちかっていうと、今はデビューよりもそっちのほうがヤバいです」

■そもそも音楽を作り始めたのは何歳ぐらいの時だったんですか?

「作り始めたのは高校入ってすぐくらいですね。だから2年半前くらい。それまではニコ動で『歌ってみた』みたいなことをやってたんですけど、知り合いに『ラップやってみれば?』って言われて、やり始めました。だから別に、大した意味もなく始めた感じで。当時、ニコニコ動画上でニコラップっていうカテゴリがあったんですよ。そこではみんなが普通に自分でリリック書いて自分でラップしてるので、ほんと、自分もやってみるかってくらいの感じで始めたんですよね」

■そうやって始めたところから、これはちゃんと自分の表現になるなという意識になったのは、何かきっかけがあったんですか?

「それが“sub/objective”を作った頃ですね。“sub/objective”はニコラップ始めてから半年ぐらいで作ったんですけど。この曲を作った時に、『ああ、こうやって自分が思ったことを曲にしちゃえばいいのか』みたいなことがわかって。それまでは一般的な精神論みたいなのを書いてた気がするんですけど、でも“Sub/objective”くらいから『こういうことをラップすればいいんだ』ってことがわかった、みたいな。まぁでもそれも凄い!みたいなことでもなく、自転車に乗れるようになったみたいな感じで」

■ぼくのりりっくのぼうよみは、ラップと歌がシームレスに繋がっている、両者が境目なく融合しているスタイルなんですけど。そもそもヒップホップが好きだったんですか?

「いや、ヒップホップを聴き始めたのは最近です。僕に『ラップしてみれば?』って言った人がラッパーで、当時はその人ぐらいしか知らなくて、だから“sub/objective”とか作ってた頃はラップっていうものが全然よくわからないまま、それこそニコラップカテゴリのやつをチョロッと聴いて作るみたいな、そういうレベルだったんで。全然ヒップホップって感じじゃなかったです」

■元々、音楽は好きだったんですか?

「音楽は好きでした」

■どういうものを聴いてたの?

「EGO-WRAPPIN’とかMONDO GROSSOとかUAとか、そういうのを小学生の頃に凄い聴いてて」

■小学生と言っても2000年代だよね? その世代としてはだいぶ渋いチョイスだね。

「そこは母親の影響ですね。で、中学校入ってからはずっとニコニコ動画観て、ボーカロイドとかを聴いてたんですけど」

■5年前くらいからか。ってことは、ハチくんやwowakaくんが全盛期の頃?

「そうですね、まさに聴いてました。でも主に聴いてるのはニッチ系というか、R&B寄りのボーカロイドだったりしたんですけど」

■バンド音楽とかには興味なかったの?

「僕、バンド嫌いなんですよ。嫌いというか聴けないんです、ギターがうるさくて」

■………なるほど。

「ライヴだと盛り上がるのはわかるし、カッコいいと思うんですけど、でもヘッドフォンだと近いじゃないですか。そうすると騒がしいなって思っちゃって、無理って感じなんです。それこそMUSICAとか読むんですけど、あんまり知ってるアーティストはいなくて、聴いたことのない曲のインタヴューとか読んで、『ああ、こうなんだ』みたいに思ってて」

■インタヴュー読むのは面白いの?

「全然面白いです。この人達はこういうことを考えて曲を作ってるんだ、みたいなのがわかって面白い。曲は聴かないですけど」

■人が何を考えてるかってことに興味があるんですか?

「それはありますね。あと最近は、インタヴューを組んでもらうことが多くなったので、他の人はどうなんだろう?みたいな。そういうレベルでの好奇心ですけど」

■これは勝手な推測なんだけど、音楽を凄く好きでっていうよりも、自分の中にある世界を出したいっていう欲求が強くて音楽をやってるタイプなのかなとも思ったんだけど。

「いや、僕、音楽超好きです。というか音が好きなんですよね。たとえばアーッていう音があって、そこに3度上の音をアーッて入れるだけでもハモりになるじゃないですか、それが凄い気持ちいいなっていうところを追及してるのかなって思います」

■音と音が重なることで生まれるハーモニーの美しさに惹かれるんだ?

「はい。もちろん歌詞との整合性も大事なんでバランスを取りつつですけど、でも根本にあるのはそっちなのかなと思います。聴いてて気持ちいいっていうところが大事」

(続きは本誌をチェック!

text by有泉智子

『MUSICA2月号 Vol.106』