Posted on 2016.01.16 by MUSICA編集部

MAN WITH A MISSION、遂に生み出した
絶対的名盤『The World’s On Fire』!
誇るべき最高傑作を全曲解説で徹底解剖

イツノ時代ヲ切リ取ッテモ、ロックノ要素ハコノ世界ニ流レテイル。
我々MWAMハソノ時々ニ自分達ガ考エル正解ヲ
作品トシテ提示シテキタヨウニ思ッテイテ。
ソノ中デモ、今回ハソレガ顕著ニ表レタ1枚ニナッテイルト思イマス

『MUSICA 2月号 Vol.106』P.44より掲載

 

■本当に素晴らしいアルバムです。MAN WITH A MISSIONの最高傑作であると共に、もっと普遍的な意味でのロックアンセム集としての名盤だと思います。

「オー! アリガトウゴザイマス! 今回ノアルバムハ肉体的ニモ技術的ニモイロイロト新シイコトニ挑戦シタアルバムダッタノデ、不安ガナイト言エバ嘘ニナル制作期間ダッタンデスヨネ。今マデ自分達ガゴ一緒サセテイタダイテイタサウンドエンジニアダッタリ、プロデューサー、アレンジャーノ方トハ別ニ、新シイチームデ取リ組ンダ楽曲ガ多カッタノデ」

■それはつまり、ドン・ギルモアやショーン・ロペスといったアメリカのプロデューサー、制作チームと一緒に楽曲を作っていったということですよね。

「ソウデス。ソレニヨッテ音楽的ニモ凄ク――」

★恒例ですが、ここからは滑らかな日本語に翻訳して皆さまにお届けします。では続きをどうぞ!

「――音楽的にも凄く新鮮な感覚が流れまして。で、そうなった時に今までの自分達の作品とどの程度トータリティを取るべきなのか?みたいな不安もありつつ作っていたんですけれども、改めて聴き直した時に、心から挑戦してよかったなと思える作品に仕上がっておりますね。前作はコンセプトアルバムという形態を取ったことで、逆にかなり自由にいろんなことをぶち込んだ1枚になったんですけれども、それを皆さまにお届けした時に確かな手応えを感じることができまして。それによって『もうひとつ飛躍した何かをこのバンドでできるんじゃないか』という自信が生まれたんですよね。その自信の下に新たな挑戦をしていったんですけど。やってよかったですね」

■楽曲自体の普遍性も度量も凄く増したし、バンドとしての風格も一段上の場所へと押し上げるアルバムになったと思うんですよ。これはMWAMの非常に優れた部分だと思ってるんですが、今までのMWAMは、自分達の敬愛するロックを受け継ぎ鳴らしつつも、2010年代の日本のロックシーンのフィジカルな時代感にきっちり折り合いをつけていくというスタンスでやってきたと思うんです。でも今回はそこから一歩抜け出して、シーン云々を飛び越えた大きな場所に立つ、堂々とした名曲が並んでいて。

「ありがとうございます。普遍性という部分は、本当により明確に表れた1枚になってるんじゃないかと思いますね。以前から常にバンドとして掲げている軸のひとつではあったんですが、特に新しいチームと組ませていただいた時に、具体的なアレンジ面において、そこにフォーカスしたアドバイスをいただくことがとても多かったんです。その中で、ソングライティングに向かう自分達自身の意識ももの凄く変わった1~2年だった気がします」

■実際、今作には“Survivor”や“Waiting for the Moment”“Give it Away”のような攻撃的でフィジカルの強い楽曲もあるんですけど、ただ、肝を握っているのは“The World’s On Fire”や“Memories”、あるいはこのターム最初のシングル“Seven Deadly Sins”のような雄大でアンセム性の高い楽曲で。今までより心に響く太さと強さが格段に増してるんですよね。

「ありがたいお言葉です。これまでもその両面をめざしつつも、基本的には攻撃性の高いフィジカルな楽曲が我々の中心にいてくれていたという自覚は当然ありまして。でも今回のアルバムでは、内省的な楽曲群もそれらと肩を並べられるだけのパンチ力で出せるようになった、それだけの世界観を築き上げることができたと思います。それができたのは新しいチームのおかげでもありますし、同時にデビューから5年の間に作り続けてきた楽曲のおかげでもあるような気がしまして。総合的に見て、自分達にとって一番チャレンジしている作品であり、そしてその挑戦がこれまでの自分達の成長といい形で融合を果たしてくれた作品になったんじゃないかと思いますね」

 

(中略)

 

1. Survivor

 

■アルバムのオープニングに相応しいスペイシーなイントロで幕を開けるんですが、そこからスリリングでラウドな展開へと突入する、直下型の攻撃ソングです。カミカゼ・ボーイ作曲の楽曲ですが、ジャン・ケンさん的にはどんなイメージをお持ちですか。

「カミカゼはこういった攻撃的で、同時にドラマチックな楽曲を書くことを非常に得意としているオオカミでもありますので、そういう意味では彼らしい楽曲なんですけれども。ただ、その一方でこの曲は、我々が得意とすることのひとつであるミクスチャーというジャンルをもうひとつ上の段階まで持っていくにはどうしたらいいのか?ということに対して、カミカゼ自身もいろいろチャレンジした楽曲なんじゃないかなと、一緒に制作しててずっと思ってました。結果アルバムの走り出しという意味でも非常にドラマチックな展開で突き進んでいける楽曲になったと思いますね。一方でメッセージに関しては『サヴァイヴする=生き残る』ということ――このマインドは、特にバンドをやってる人はもの凄く強くあるものだと思うんですよ。この時代の中で生き残らなければいけないという――実際、ロックというもの、音楽というものがそこまで追い詰められているところもありますしね。そういった意味では自分達自身の、もしくはカミカゼ自身の心情というのが非常にダイレクトな形で昇華されてる1曲なんじゃないかなと思います」

■具体的に<容赦無き生存競争>というリリックも出てきますけど、実際、2015年はバンドとしてそういう意識が強かった1年だったんですか?

「それは2015年に集約したことではなく、常にありますね。ロックというのはそもそも、どこかしら反骨精神を持つものであると思うんですよ。歴史を辿ってみても、何かに抗って生まれる衝動や情熱というものが凄く作用していますし。それはどんな綺麗なジャンルでも、どんなエゲつないジャンルでも、バンドをやっている方であればその心の中に一本流れている心情だと思うんです。ただ、自分達は幸せなことに、ロックという『何をやってもいい』という自由さを持ったジャンルが好きになって、実際こうやってバンドを組ませていただいてますけど、でも今はそのジャンル自体が世の中から消えようとしている――と言ったら大袈裟ですけども、生き残らなければいけない、その瀬戸際の段階に来てるような気もしておりまして。で、それを我々のチームで一番口酸っぱくボヤいているのがカミカゼなんですよ。彼はやはり、音楽の時代の流れというものに敏感にフォーカスしているオオカミでもありますので。だからこそ、こういった歌詞になったんじゃないかというのは感じておりますね」

(続きは本誌をチェック!

text by有泉智子

『MUSICA2月号 Vol.106』