Posted on 2016.01.17 by MUSICA編集部

indigo la End、充実の1年を振り返りながら、
新たなサッド・アンセム『心雨』の真価を問う

そろそろ俺らがめっちゃアレンジの幅を持ってるってことは
驚かれなくてもいいんじゃないかなって思ってて。
“心雨”って恐怖を感じるくらいのメロディだと思うし、
最後のミックス聴いてゾクゾクしました

『MUSICA 2月号 Vol.106』P.62より掲載

 

■このインタヴューは年末に行っているので、シングル『心雨』の話だけでなく、2015年の振り返りも含めていろいろ聞いていきたいんですけど。まず、12月3日の国際フォーラムのライヴは本当に素晴らしかった。2015年のこのバンドの到達点を感じました。

後鳥亮介(B)「確かにそうですね。いい感じでできたなって凄く満足してます。ツアーじゃなくて、あの1本だけのライヴだったんでどうなるか心配だったんですけど、しっかりできたなって思ってます。アコースティックコーナーもあったので、ヴァリエーションある感じでできたんじゃないかと思います」

■カーティスは、途中からかなり感極まってましたが。

川谷絵音(Vo&G)「え、感極まってたんですか?」

長田カーティス(G)「極まるでしょ!」

川谷「全然気づかなかった(笑)」

長田「(笑)確かにアコースティックコーナーは大きい会場では初めてやったんですけど、凄くいい緊張感があったし、純粋に今までやってないことができて面白かったなって思ってて。あと、“白いマフラー”っていう古い曲を改めてあの場所で演奏できたのが嬉しかったですね。僕ら、昔渋谷QUATTROでワンマンやっても全然売り切れなかったりとか、その前はMARZでワンマンやってたんですけど、その頃とは見える景色が全然違って。凄いよかったなって思い感極まりましたね」

■栄太郎くんは2015年にこのバンドに正式加入したことも含めて、個人的に1年間いろんなことがあったんじゃないかと推測しますが、どうだったですか?

佐藤栄太郎(Dr)「凄くその通りです。僕、今27歳なんですけど、26歳までの音楽人生と2015年の1年間を比べると、全然成長率が違うんですよ。indigoに入ったばっかの時の演奏と今の演奏を比べると、全然別人なぐらい自分でも成長したと思ってるんで、そこをしっかり見せられてよかったですね。……正直、ライヴが楽し過ぎてなにんも覚えてないぐらいで(笑)」

■この1年で自分が覚醒した理由ってなんだったんですか?

佐藤「今までは決して売れてるとは言えないバンドで活動してたんですけど、それでも自分らで試行錯誤しながら活動してたんです。でもindigoに入ってからは、もの凄く大勢の人に曲が届けられて、大勢の人の前で演奏しなきゃいけないし、いろんな人がバンドに関わってて、その人達からよくも悪くも評価されたり、ダメ出しされたり褒められたりして――そうすると、否が応でも責任感が湧いてくるんですよね。今までは『別にミスっても、そんなにお客さんいないし好きにやるか』みたいなバンドで変に甘えてたところがあったんですが、規模がデカいバンドに入ったことで、ケツを叩いてもらったって感じですかね」

■絵音くんは忘れられない27歳の誕生日になったと思うんですけど。

川谷「そうですね。僕、その日体調崩してて、点滴まで打ってたんですよ。でも、みんなのおかげでしっかりライヴができたし、そういう意味でも忘れられない1日になりましたね。ああやって誕生日祝われることもめったにないんで。なんか毎年誕生日にライヴ開催してる誕生日好きみたいなイメージになっちゃってますけど(笑)」

■必死に抵抗してたね、「俺は誕生日嫌いなんだ」って。

川谷「ははははははは。でも、ああやって祝われるのは悪い気しないです(笑)。自分の誕生日もそうだし、indigoとして一番デカいキャパのワンマンっていうこともあるし、個人としてもバンドとしてもメモリアルな体験が重なったなって思ってます。栄太郎が入って1年弱経ちましたけど、自分達がそういう大きなキャパでやれるバンドになったんだなっていう驚きも含めて、この4人での節目ができたのはよかったなって思いましたね」

■2015年は『幸せが溢れたら』というアルバムを出して、メンバーチェンジも経て、このメンバーで新しいindigo la Endを確立しました。振り返ってみて、2015年はどうだったと思いますか?

川谷「2015年入っていきなり前のドラムが辞めて――そこから栄太郎が入って、初めてのレコーディングを1月5日ぐらいからやってて。『これは凄いことになるかもしれない』って思いながら2015年の幕が開けたんですよね。で、『幸せが溢れたら』っていうアルバムは今までの作品で一番多く売れて、オリコンもトップ10内に入って――だから、2015年のスタートとしてはいいのか悪いのかわかんないんですけど(笑)」

長田「ははははははははは、複雑なスタートだったよ」

川谷「で、栄太郎がサポート体制のままライヴをやったんですけど、ツアー回る度に自分達の音楽が広がってる感触があったんですよね。そこから中野サンプラザも赤坂BLITZも全部ソールドアウトしましたし、そこから初めて栄太郎と作った『悲しくなる前に』っていうシングルを出せたし、いろんな意味でメンバーチェンジがこのタイミングでよかったのかなって今は思ってます。僕、そういう時はいつも『元から決まってたことなんだ』って思うようにしてるんですけど」

■性善説みたいなね。

川谷「本当に。だから、栄太郎が入ることもおそらく3年前に出会った時から決まってたんですよ。3月17日の中野サンプラザで『栄太郎が正式メンバーになります』って発表できたのも、よくできたストーリーだなって。そういう意味では、2015年は充電期間って感じでしたね。だから――」

■ちょっと待って。『幸せが溢れたら』からシングル2枚出して、フォーラムでライヴができるようになった1年が、充電期間だったってこと?

川谷「そうですね」

■……凄い表沙汰な充電期間だね。

一同「ははははははははははははははははははははは!」

川谷「僕の中では充電してるつもりだったんですけど(笑)。どうしても今のメンバーで作った曲が少な過ぎるし、このメンバーではまだアルバムを作ってないから、ちゃんとしたリスタートができてないのかなって思ってて。だから、次のアルバムが出て、ほとんどの曲を栄太郎が叩いてるっていうセットリストが組めるようになった時、やっと今のindigo la Endを見せられるかなって思ってます」

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text by鹿野 淳

『MUSICA2月号 Vol.106』