Posted on 2016.03.17 by MUSICA編集部

BLUE ENCOUNT、
アグレッシヴに振り切る新曲『Survivor』リリース。
メンバー全員インタヴューで、全力で言葉を撃ち合う!

初の武道館公演も決定、大飛躍の予感を撒き散らす中、
追い風どころか爆風を吹かす鋼鉄アンセム、『Survivor』投下!
この度を超えた熱量、度を超えた狂騒の根幹は何なんだ?
4人全員インタヴューにて激論す

『MUSICA 4月号 Vol.108』P.78より掲載

 

■徹底的にアッパーかつバキバキに振り切った、度を超えた疾走と闘争が聴こえてくる作品になりました。ご自身の手応えはいかがですか?

高村佳秀(Dr)「やっぱり、今年初めに“はじまり”っていうバラードをシングルにできたからこそ出せたシングルだと思っていて。っていうのも、“はじまり”をシングルにするのも、ブルエンにとっては勇気の要るトライだったんですよね。だからこそ、次はなおさらブルエンの持ち味――エモーショナルで強い曲をさらに振り切らせてみようって思えたんですよ」

田邊駿一(Vo&G)「そもそもは、去年の秋に“はじまり”を作るまでに20、30曲作った中にあったのが“Survivor”だったんです。で、『高校サッカーの応援歌』っていうタイミングでは“はじまり”が選ばれましたけど、この“Survivor”も『光ってるな』って感じてたんですよ。だからタイアップ云々っていうのも関係なく、最初から<まわりまわって さぁ今>っていう言葉とメロディが出てきて、そこから歌詞も変えてなくて。その上で、今回オープニングテーマの話をいただいた『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のストーリーが、『大人に裏切られた少年達が、自分達の足で立ち上がって未来・目的地に向かっていく』っていう、青春感が強いもので、BLUE ENCOUNTが以前『誰にも見つけてもらえない、大人にも裏切られた』って勝手に思ってた時期にも重なるなと思えて。……なおかつ、『大人に裏切られた』っていう部分が、今の時代を選ばずに攻めてると思ったんですよ(笑)。だからこそ、今までの曲にあった熱血感とは真逆の、硬質さとか蒼さをより強めた音作りで攻めてみたい、って思ったんです」

江口雄也(G)「やっぱり“はじまり”は、今までで言えばJ-POP感をストレートに出した曲だったと思うんですね。だけどそれも受け入れられたことで、本当に何をやっても大丈夫なんだなっていう自信になったんですよ。レンジが広がったというか――極端に振ったものも出せるって各々が思えたんですよ。だから今回、4人それぞれが挑戦できたと思うし。田邊からも、もっと重さを出して欲しいんだって言われることもあって、ギターも思い切り重さを意識してやってみたんですけど」

田邊「それで、そうやって振り切ってみて結果的にわかったのは、『バンドとして持ってる質量』というか、『自分達の持ってる重みはどれくらいなのか』っていう部分だったんですよね」

■重く振り切ることで、自分達の真ん中が相対的に見えたというか。その自分達の真ん中って、どういうものだと思ったんですか?

辻村勇太(B)「やっぱり、どれだけ音を重くしても、自分達4人がやったら、結局は疾走感とか軽快さが出ていくんだなって思ったんですよ。それを実感できたからこそ、個人的にも、今までの『音符をバーッと詰め込む』っていう弾き方とは違う、ひとつの音に対してどれだけ刻めるかっていうプレイに挑戦できて。男気ルート弾きでガチガチガチッ!っていう(笑)。で、それがバンドとしての新しい要素になったと思うんですけど」

■ひとつ不思議なのは、今これだけバンドの状況も上向いてきている中で、<どうにかなりそうだよ 偽装した理想 思想><霧がかかった祈り>っていう、焦燥感やボンヤリとした不安を強く感じさせる歌詞が出てきていることで。こういう言葉が今出てくるっていうのは、どういう自分が表れてのことなんでしょうか。

田邊「なんですかね……? でも、<まわりまわって さぁ今>っていう歌詞が最初に出てきた時点で、なんか宇宙感があったんですよ。だから、そうやって浮遊しながら彷徨ってる感じにしたいと思って。……言ってみれば、これまでのブルエンの曲って、もう目指すべきところが見えてる上で、『あそこまで走れ!』っていう曲が多かったと思うんですよね。それこそ起承転結があったら、起があったら結にすぐ行く、みたいな(笑)。だけど、今回は歌の面でも新しさが欲しいなって思って、起と結だけじゃなくて、承と転があるものを書こうと思ったんですよ。そう考えたら、曲の始まりが絶望的なものでもいいし、そこから立ち上がっていく姿を描く書き方もあるんじゃないかなって。それで、暗闇の中を浮遊しているような感覚を書いた歌詞になったのかなって思うんですけど」

■流れとしてはわかるんですけど、でも、その敢えての「絶望」っていう言葉は、メンタリティとしてはどういうところから出てきたんですか? たとえば昨年から今年アタマのツアーは凄く順調だったと思うし、そのツアーファイナルのZepp Tokyoで10月の武道館も発表できたわけで。

田邊「でも、本当に気持ちが荒んでたわけではないと思うんですよ。で、“Survivor”を仕上げたのは今年に入ってからだったし、ツアーも最初から最後まで満足できるものだったと思いますし」

江口「ブルエンで初めて『大成功』って言えるツアーだったもんね(笑)」

田邊「そう、そう(笑)。で、やっぱりその大成功っていうのは、お客さんが勇気をくれたからだったんですよ。だからこそ、敢えて新しい面を出してみよう、マイナスの面から自分の思っていることを歌ってみよう、っていうのをやってみたくなったんだと思います。今までだったら、負があったとしてもそれをプラスの方向に歌うっていうことのほうが多かったと思うんですね。だけど、負のものを最後まで引きずっていくような歌でも、今なら出してもいいんじゃないかなって。だから、サビも<霧がかかった祈り>っていう言葉が入ってくるものになって。そうやって、自分が昔からずっと背負ってきた負の部分も、そのまんま出てる歌だと思うんですよ。ありがたいことに忙しくさせていただいてて、武道館も発表させていただいて――そういう今だからこそ、もう一度ゼロのところから歌ってみようと思えたし、気持ちいいくらい、自分達でBLUE ENCOUNTを裏切れてるのが今だなって思うんです。で、この“Survivor”も、言ってしまえば4人一緒になってBLUE ENCOUNTを裏切った曲のひとつなんですよ。……やっぱり今までも散々『ノンジャンル』って言い続けてきたし、毎回違うことをやりたいんだ、っていうのも見せてきましたけど、結局は、そうやって自分達を覆す変化をすることに対して、どこかで『嫌われるかも』って恐れてる自分達もいたんです。だけど、去年から今年にかけて回ったツアーや“はじまり”が自信になって、『もう、丸くなることなんて捨てていい』って思えたのがこの曲であり、この歌詞だと思うんです」

(続きは本誌をチェック!

text by矢島大地

『MUSICA4月号 Vol.108』