Posted on 2016.04.19 by MUSICA編集部

キュウソネコカミ、インテックス大阪公演密着!
自身最大規模のワンマンで見せた
リアルドラマの一部始終をおくる

決死&決起の晴れ舞台にして大勝負、
インテックス大阪2デイズ&幕張メッセイベントホール2デイズ、完遂!!
まさに窮鼠猫を噛むように体当たりで壁をぶち破り、
試練もドラマへと転化したまさかの感動的な4日間!
波乱の大阪初日完全密着に加え幕張最終日も目撃し、
その一部始終をメンバーの肉声と共に届けます!

『MUSICA 5月号 Vol.109』P.48より掲載

 

「キュウソネコカミがインテックス大阪と幕張メッセイベントホールで初のアリーナライヴをやる、しかもそれぞれ2デイズで」

――初めてその話を聞いた時はびっくりした。正直言って、今のキュウソの勢いをもってしてもさすがにそれは無謀じゃない?と思ったし、それぞれ1公演ずつにしたほうがいいんじゃない?と非常に現実的なことも思った。でも、そういう側から見たら無謀に思えることに敢えて挑戦してしまうところがキュウソらしいしキュウソチームらしいのかもしれないと思ったのも、また正直なところだったりする。残念ながらやっぱり全公演ソールドアウトには至らなかったけど(そりゃそうだ、いきなり規模広げ過ぎ!)、でも今回の挑戦はキュウソにとってとても意味のあるものになった。それは単純にアリーナライヴの闘い方を覚えたということ以上に、キュウソネコカミのライヴの肝って何? 武器って何?ということを、順風満帆なだけではなかったこの4日間の中でもう一度見つめ直すことができたはずだから、だ。

 1月から行われたワンマンツアーの追加公演として開催された『DMCC-REAL ONEMAN TOUR- EXTRA!!!』。その大阪初日に密着した。

 

 3月12日11時30分、関西ロックキッズには年末のフェス「RADIO CRAZY」でもお馴染みなインテックス大阪に、メンバー到着。今も西宮在住の彼らはこの日も自宅から来たらしい。もちろん!という返事が来るだろうと思いながら「準備万端?」と聞くと、メンバーからもスタッフからも異口同音に「いや、まだ全然バタバタしてます」という言葉が返ってきて思わず苦笑。特にセイヤは「今日初披露する新曲の歌詞まだ書けてないんですよ! ヤバいんすよマジで!!」と焦り気味の表情だ。え、まだ歌詞書いてない? 開演まであと……5時間30分? しかもその間にはがっつり3時間のリハもある。い、いつ書くの……?

 楽屋に入り、リハまでの時間をランチしたり細々とした準備をしたりと、それぞれに過ごす。セイヤとオカザワはすでに販売が始まっている物販エリアの様子を見に外へ。普通に一般エリアを歩いてたんだけど、まだ午前中で人が少なかったからなのか普通にスルーされたのかプライベート(?)を邪魔しないファンの愛故なのかはわからないけど、セイヤもオカザワも特に声をかけられることなく楽屋帰還(笑)。

 楽屋に貼られているセットリストを見ると、初日と2日目では内容がガラリと違う。もちろん両日参加するオーディエンスに対する配慮もあるだろうが、そもそも「同じことはやらない!」を信条にするキュウソらしい組み方だ。具体的には2日目が先のワンマンツアーのセットリストの展開版であるのに対し、初日の今日はマニアックな曲含め初期の楽曲の配分多めなセットリストになっている。シンノスケ曰く、「いつものキュウソのライヴっぽいというか、踊らす曲が多いのが初日で、もうちょっとエモくてしんみりさせるところもあるんだぞってところを見せるのが2日目」。

 12時30分、ステージ両サイドに描かれた2匹の巨大なネズミくんに見守られる中、リハがスタート。すでにゲネや前日リハも済ませているためサウンド面・演奏面は特に問題はないのだけど、かといってなかなかスピーディーにはリハが進んでいかない。何故ならば、様々な演出の段取り確認や調整に時間がかかるのだ。最初に始まったのは「セイヤとシンノスケのチャンバラ確認」。ツアー本編ででやっていたライトセーバーから日本刀へ、効果音もス☆ー・ウォーズからキル・★ルに変わり、ステージ上で合戦を繰り広げるふたり。そのライトのタイミングや見え方を細かく確認するのだけど、フロアから日本刀が見えづらいんじゃないかとか光はこの瞬間に当てるほうがいいとか様々な意見が出て、結局ライトセーバーに戻したり……といった具合で、メンバー主導で細かな確認と改善を重ねてる。“Scary song”では某名作アニメの業火を噴くアレにセイヤが変身。段ボールで作ったとは思えない衣装(というか舞台セット)の見事過ぎる出来栄えに歓声が上がる。なんとコレ、2日前に決まって急遽昨日はいからさんが制作したらしい。音楽業界で段ボールアート作らせたらはいからさんの右に出る者はいない。

 ……なんだか音楽のライヴのリハを観ている気があんまりしない。が、間違いなくキュウソネコカミのリハを観ている実感はある。

 某RPGよろしく宝箱からヘッドセットを取り出したり、「めっちゃムズい!」と言いながらセイヤが大竹馬でフロアを闊歩したりといった様を楽しく見守っていたのだが、やがて聴き慣れないイントロが轟く。新曲のリハだ。今までのキュウソにはないタイプのゴリゴリギャンギャンなヘヴィロック的サウンドに関西弁のセイヤのアジテーションが迸り、サビでは宇宙戦艦ヤマトとかで流れてきそうなアニソン系の哀愁メロディへと展開する。どうやら「地球」をテーマにした楽曲らしい。

 15時30分、予定通りリハ終了。

 この日、楽屋にはふたつの簡易ベッドが用意され鍼&整体師さんが待機していた。ひとつのベッドにはセイヤ以外の4人が代わる代わるマッサージを受けていたのだけど、ひとつはほぼセイヤ専用で、その首から顔面〜頭部にかけて、「えっ!」というくらい大量の鍼が刺され、さらに頭部の鍼には電流が流されている。実はセイヤは数日前から風邪によって喉が腫れてしまい、そのケアなのだ。先ほどのリハではちゃんと歌えていたが、ゲネでは声を出せなかった日もあったらしく、リハ後、たっぷり鍼治療が行われていた。

(続きは本誌をチェック!

text by有泉智子

『MUSICA5月号 Vol.109』