Posted on 2016.06.19 by MUSICA編集部

Suchmos、さらなる攻勢を確約する
『MINT CONDICTION』リリース。
大きな旋風を巻き起こし始めた彼らの核に迫る

俺らはシーンのブームだのニーズだの意識して
音楽を作るってことはまったくないね。
あくまで自分達の好きなことをやる。
まぁ前からそうだけど、媚びる必要は全然ない

『MUSICA 7月号 Vol.111』P.44より掲載

 

■明らかにブレイクスルーし始めました。自分達でもその実感はあるんじゃないかと思うんですが、どうですか。

KCEE(Dj)「注目が集まっているのは感じてます」

YONCE(Vo)「でも何かが劇的に変わったとは思わないよね。単純に、去年のアルバムからじわじわと認知されていっているなっていうのは感じるし、意識してたわけじゃないけど『LOVE & VICE』、今回の『MINT CONDITION』と然るべき時期に作品を出せていることで、波紋が消える前に上手く次の石を投げ込めているのかなっていう気はしてて」

■バンド内のモードは今どういう感じなの?

TAIHEI(Key)「新曲がバンバンできてます」

HSU(B)「やっぱり先しか見てないよね。相変わらず今でもバンド内のブームはどんどん変わり続けていて、新たなトレンドも入ってきてるし」

KCEE「やっぱり、常に満足してない感じはあるよね」

HSU「ただ、ある程度認知されてきたことも含め、俺達が演奏してYONCEが歌えばどんなものでもSuchmosになるっていう感じはどんどん強くなってきてて。そういう意味では、俺らはシーンのブームだのニーズだの意識して音楽は作るってことはまったくないよね。あくまで自分達の好きなことをやるっていう。まぁ前からそうだけど、媚びる必要は全然ない」

OK(Dr)「全然ない。そういう意味では、さらにドンと構えて制作に臨めるようになった感はあるよね。まぁいい音楽をやっている人は世の中にたくさんいるけど、その中で注目されるか否かは俺らじゃ操作できないことでもあるし。そういうのはまったく気にしてないというか」

■いや、確かに操作はできないけど、でも自信と確信はあるよね。今回の『MINT CONDITION』にしても、これカッコいいだろ?って納得させられる不敵な自信みたいなものがバンドから放出されてる感じがする。それがまた最高なんだけどさ。ブレイクしていくバンドって、そういう理屈じゃない無敵感とか全能感みたいなのがあるんだよ。Suchmosは今完全にそのゾーンに来てるなって感じはするよ。

OK「まぁそれはね」

HSU「間違いなくいい音楽作ってるっていう自信はあるからね」

TAIKING(G)「フェスによってそれぞれ景色が全然違うんですけど、でも俺らは全部行けるんだっていうのは確信したよね。フェスに来るのは俺らのファンだけじゃないじゃないですか。そういう中で、たとえばGreen RoomもVIVA LA ROCKも両方の客層を湧かせられたっていうのは、バンドとして結構自信になったというか」

OK「正直、前まではちょっと斜に構えてる自分達もいたけど、最近は状況を楽しめてるなっていう感覚はあるよね」

HSU「ある。で、なんで楽しいかって言うと、俺らはどっちも出れるバンドだから。どっちがバビロンでどっちがザイオンってことはないけど、俺達はバビロンにもザイオンにも顔を出せる。それが証明されてきてる感じもあるし、それはバンドとしてすげえ強みだなって思いますね。年上のバンドでもどっちにも出れる人達っているけど、明らかに横ノリのイベントにしか出られないような人も多いじゃないですか。やっぱ両方出れるバンドって少ないし、俺らの世代だとさらに少ない。その中で俺らがひとつ指標っていうか、代表になれてる感は絶対あるよね」

KCEE「でも、ほんとはそれって特別なことじゃないとも思うよね」

HSU「そうそうそう、いい音楽ってそういうものなんだよ」

OK「いわゆるJ-ROCKと言われる畑に行って思うことは、もっとみんなやったらいいのになってことで。シーンの隅のほうで『変わらねえ』って嘆いている奴らもいるけど、やっぱジャンルが違うからとか関係ないなって思うよね。いろんな畑に出ていくことで、お客さんに対しても、自分達に対しても、よりポジティヴな作用があるんだなっていうのは実感してて」

KCEE「最近ラジオとかやってても、Jamiroquaiを全然知らないとか、Nirvanaを全然知らないとか、そういう世代がどんどん増えてるんだなって感じるんですよ。どっかのタイミングで日本の音楽カルチャーに断絶が起こってて、その断絶された状態で固定概念を持ったまま音楽を聴いている若い人達がめちゃくちゃ多いなって。その断絶を繋げるというか、それを俺らが代弁していくってことも大事なのかなとは思うよね」

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text by有泉智子

『MUSICA7月号 Vol.111』