Posted on 2016.06.19 by MUSICA編集部

Mrs. GREEN APPLE、バンドの本質を切り取る
シングル『サママ・フェスティバル!』リリース。
彼らのパーソナリティを全員取材で徹底解明!

今まではちゃんと計画を練って作り上げることで
作品のアイデンティティと自分のアイデンティティを確立させて
きたはずなんだけど、今回はもっと
自分達から自然と生まれてくるものを形にしてみようって

『MUSICA 7月号 Vol.111』P.50より掲載

 

(前半略)

■ミセスの音楽って、「みんなの歌である」っていうことと「たったひとりの歌である」っていうことが矛盾なく共存している音楽だと思うんですけど、今回のシングルは3曲で見事にそれを体現していますよね。自分達ではどんなイメージで作ったんですか?

大森「ミセスって『今できること』と『これからしたいこと』を常に表現し続けるバンドなんだろうなって、『TWELVE』を作り上げて思ったんですよ。で、そういうことが表れているシングルだと思うんですけど……やっぱり音楽は楽しめるツールであるべきだと思うんで、表題曲はそういうところだけに重きを置いて作ったんですけど。ただ、今回って実はそんなに深いことを考えずに制作してて。今まではちゃんと計画を練ってしっかり作り上げることで、作品のアイデンティティと自分のアイデンティティを確立させてきたはずなんですけど、今回はもっと自分達から自然と生まれてくるものを形にしてみようってなって」

■パッションをそのまま音楽にしてみよう、と。

大森「本当にそうですね。だから本当に今のMrs. GREEN APPLEがやりたいこととやれることが凄く詰まってる作品だと思いますね」

■なんでそういうモードで作ったの?

大森「……なんでだろう」

■たとえば、『TWELVE』というアルバムで自分達の音楽が世の中に広まったし注目度も増している、と。そういう意味でいくと、その次の一手となるシングルって重要なわけで、それこそ以前のミセスだったら、こういう時だからこそテーマを明確にして、自分達のアイデンティティをどう見せるか?を考え抜いてもおかしくないタイミングだと思うんだけど。

大森「単純に楽しかったんですよね、『TWELVE』を発売して。オリコントップ10に入れたのも凄く嬉しかったし、ワクワク感みたいなものがハンパなかった。将来というか、明日に対するワクワク感がハンパなかったんで、それをまず表現しないと先に進めない!と思ったんです。だし、この時、俺めっちゃポジティヴだったよね?」

藤澤「そうだね。まぁ“サママ・フェスティバル!”っていう曲が送られてきた段階で『どうしちゃったんだろう!?』とは思いましたけど(笑)」

髙野「僕もタイトルから凄いタイトルだなって思った(笑)」

■要するに、こんなに振り切れると思わなかったってことだよね。

藤澤「はい。でも、そうやって解放し切った元貴を見たからこそ、自分達もどこまで素直に楽曲と向き合えるか――どれだけ自分がそのままの状態で楽曲を楽しんで、その楽しんだことを形にできるかっていうことをやったというか。今までは『自分はこういう想いでやんなきゃ』みたいな部分も強かったんですけど、今回はその先に行けた感じがします」

若井「あんまり楽曲について深くまでみんなと話さなかったもんね」

■いつもはそんなにいろいろ話し合うんだ?

藤澤「話します。5人でも話しますし、元貴以外の4人でも話します」

■今回に限らず、元貴くんはかなり完成形に近い、アレンジまで作り込んだデモを作るんですよね? その時点で歌詞もバッチリ乗ってるの?

大森「乗ってますね」

■それを受け取って、まず4人はどうするの?

山中「まずは歌詞を見たり曲を聴いたりして思ったことをお互いに話したり、演奏の方法とか『どういうふうにしたらこの曲を表現できるか』っていうことを出し合うところから始まりますね。それこそ『TWELVE』の時は、元貴以外の4人で歌詞を持ち合って、『ここはこういうことだよね』って話し合ったりしたんですけど」

■それって要するに、一つひとつの歌詞に対して、それぞれが自分の人生観みたいなものも含めた解釈を話し合っていく感じなの?

大森「まさにそうです。アンサンブルがどうこうっていうよりも、そういう擦り合わせが多いですね」

藤澤「同じ歌詞でも細かい部分でそれぞれ見えているものが違ったりするんで、それは刺激にもなるし、その作業をすることでMrs. GREEN APPLEとしてまたひとつの色が増えていく感覚もあるんですよね。で、そこで生まれた色が、また次の曲だったりライヴだったりにも活きてくるものだと思うし。だから5人で感情と感覚、見えるものを共有するっていうことは、自分達の活動にとっては大事な時間かなって思います」

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text by有泉智子

『MUSICA7月号 Vol.111』