Posted on 2016.06.21 by MUSICA編集部

水曜日のカンパネラ、『UMA』でメジャーデビュー!
彼らの次なるヴィジョンとは

新しいことをさらに押し進めることで、
J-POP臭さがどんどん抜けてったんですよ。
その結果、始まった瞬間は明らかにぶっ飛んでるのに、
普段EXILEを聴いてる子達も
聴き通せるポップさがあると確信しました(ケンモチ)

『MUSICA 7月号 Vol.111』P.50より掲載

 

■今回の『UMA』、非常に攻めているバキバキな作品で、正直ビックリしました。

コムアイ「あはははは! マズイぞー、反省会になりそうだ! 正直、私もやり過ぎたなって思ってます(笑)」

■でも、それって明らかに意図的なものですよね。その上で、まずこの作品が自分にとってどういう作品なのかを、それぞれ教えてください。

コムアイ「今回は、ケンモチさんだけじゃなく、海外のトラックメイカーともやったりしたんですけど、トラックだけ作ってもらって、メロディはこっちが作るのかとか、それとも1から向こうに提案してもらうかとか、何も決まってないままレコーディングしながら少しずつ決めていったというか、探り探りやっていった感じがありますね。その中で、自分のやりたいことに振り回された感じがあって――ある目標に向かってあるモノを作っていくっていう感じじゃなくて、メリーゴーラウンドの外側にいるみたいに、遠心力の強いところで曲達に振り回されました」

ケンモチ「カンパネラ的には、毎回年の前半に出すEPは冒険作というか、新しいことにチャレンジしようということになってるんです。その上で今回、海外の方と一緒にやるっていうことで、これは僕も負けられねぇなっていう感じで、自分の作る3曲に関しては(前作の)『ジパング』よりもう1個上のものが作りたいなって思ってて。あと、今回は締切間近にガッツリ怪我をしてしまいまして――」

■骨折されたと聞いてますが、骨を折るぐらい壮絶なレコーディングだったってことなんですか?

コムアイ「あはははははははははははは!」

ケンモチ「まぁそれは別ですね、レコーディング前のことなんで(失笑)。今回、僕が3曲で、他の4曲は海外のトラックメイカーにお願いしたんですけど――最初はもっと曲作りたいなって思ってたんですけど、結果的には海外のアーティスト達がケンモチヒデフミのピンチに立ち上がって、曲が集ってきた!みたいな感じのいいストーリーができたなって思って(笑)」

コムアイ「それは完全に後づけだけどね(笑)」

ケンモチ「まあ、自分の骨を折って、(レコーディングの)骨を折ることになったってことですかね」

■それが骨折り損にならない作品になってよかったですね(笑)。

Dir.F「はははは。水曜日のカンパネラとしては、一旦『私を鬼ヶ島に連れてって』っていう“桃太郎”が入ってるアルバムで第1章が終わったかなと思っていて。で、次に他の人達と曲を作るっていうことで『トライアスロン』を出して、日本のクリエイターの2組と2曲作ったんですよね。そこから前作の『ジパング』を再びこの3人でやって出して、次はメジャーデビューかなって思ってたんで、このタイミングでメジャーと組む意味を出して行きたかったんです。そういう中で、今までできてなかった部分――それこそ、そのタイミングでちょうど海外趣向が強くなってきていたので、海外のクリエイターと何曲か一緒にできればなと思っていて。いい機会だし、カンパネラとしての楽曲自体もさらに拡張できるし、そこをクリアしたら来るべき次のアルバムもさらに自由度が高い作品ができると思ったんですよね。結果的に外部の人たちにカンパネラっていうキャラクターを広げるのを手伝ってもらったのがこの作品の意味なんですけど」

■前作が『ジパング』っていう名前だったってことが象徴的だったと思うんですけど、トラックに関してはオリエンタル、かつジャポニカな感じがあったと思うし、歌詞の世界に関しても特に昔は話の単語が多かった気がするんです。だけど今回の作品ではほぼバッタリとそういう匂いがしなくなっていて。

コムアイ「確かにそうですね。今回はケンモチさんが作った“チュパカブラ”も“ツチノコ”も、音階は日本的じゃないですもんね。ただ、海外のトラックメイカーを伝って海外の誰かが聴いてくれるとか、そういうことはあんまり意識してなくて、自分達がもう少し広い音楽業界での感覚を掴むために選んだ手段っていう感じのほうが強いかも。曲を作るって『こういう雰囲気がいい』って言いながらやりますよね? 実際、今回そうやって海外の人とやり取りしていく中で、私の英語力も上達したし(笑)、そういうニュアンスの話を海外の人とするっていう経験自体が今後のためになりましたし、楽しかったです」

(続きは本誌をチェック!

text by鹿野 淳

『MUSICA7月号 Vol.111』