Posted on 2016.07.15 by MUSICA編集部

THE YELLOW MONKEY、復活!
宮城公演のレヴュー&全員インタヴューで
2016年におけるこのバンドの意味を紐解く

バンド名もね、イエローモンキーじゃなくてもよかった。
あのバンド名が必要なわけじゃない、
俺にはこのメンバーが必要なんですっていう。
だから新バンドとしてまた4人でやりたいってことを伝えたんです

『MUSICA 8月号 Vol.112』P.32より掲載

 

(前半略)

■まずは、復活から8本のライヴを終えた今、どんなことを思っているのかから伺えますか。

廣瀬洋一(B、以下ヒーセ)「やっぱり代々木の時は『取り戻してる』感があったんだけど、今はもう、いわゆる昔の絶対的イエローモンキー感みたいなところに行けてるなって感覚は自分でもあります。で、さらに、2016年の自分達がやってる感というのも日に日に強くなってるから。要は絶対的イエローモンキーはもう確実に取り戻せてる上で、それにどんどん2016年感がプラスできていってる感じはしてます。みんなの音をじっくり聴きながらプレイできてる感じも凄く気持ちいいし。最初の頃よりも今のほうがそういう部分が強まってますね。だからアップデートされてると思う」

菊地英昭(G、以下エマ)「俺は過去のことをすぐ古く感じちゃうタイプなので、代々木のことは自分の中でもう結構古いんですよ」

吉井和哉(Vo&G)「エマの中ではさっき食ったカレー、もう腐ってるもんね(笑)」

エマ「(笑)。だからあんまり振り返ることがないんだけど。ただ、ヒーセが言ったように常にアップデートしていく感じは確実に感じてますね。あと、やっぱり今回は全国各地、その土地に来たらその土地に来たで一種のリセット感が自分の中ではあって。一昨日の宮城初日も、このオーディエンスの前でまたイエローモンキーをできたっていう感覚があったし」

吉井「各地で復活していってるという」

エマ「そうそう」

菊地英二(Dr、以下アニー)「でもアップデート感は確かにあるよね。毎回最新のライヴが一番最高だと思えてるし。ただ個人的には、そろそろ冷静に振り返ることも必要かなとは思い始めてて」

■というのは?

アニー「8本やってきた中でいいエッセンスはいろんなところにあったと思うんで、それを振り返って引っ張り出してあげたほうがいいタイミングかなという気がしてるんですね。今はアップデートのベクトルが強過ぎてガッツリ行き過ぎちゃってるところもあるんで、このまま行くのもどうなんだろ?って。イエローモンキーを2016年にやるって決めた時、最初はもうちょっと大人のロックをしようかなって思った部分があるんですよ。でもやってみたら昔みたいにバーッとなって、『昔みたいにイケるねえ!』なんてなっちゃって(笑)」

■というか、そこが素晴らしいと思うんですが。むしろ代々木初日の前半は大人のロック感がありましたよ。なんかこう、ロックレジェンドのライヴを観てる感があったというか。

アニー「なんか最初のほうはそれがあったんだけど、今みんな子供になってるよね(笑)」

■や、そこがいいんですよ!

吉井「まぁ気をつけないと雑になってくるからね(笑)。親父が楽しんでるだけになっちゃうと一番ヤバいパターンだから」

アニー「お祭りみたいになって終わっちゃうと嫌なんで。ロックンロールやってるんで、人に届かないと嫌だなっていうのは思ってるから」

吉井「シリアスな部分はね」

アニー「そう。まぁ平均年齢50超えてるし(笑)、もうちょっと落ち着いてじっくりやった代々木の2日目の感じも好きなんで。そういう意味ではそろそろ立ち止まって考えるのもいいかなっていう時期に自分はきてるかな。まぁこのまま突き進んで成長していってくれてもいいんだけど、あまりに凄い駆け足で育っちゃってるから(笑)」

吉井「でも20世紀にやってた時のツアーも、初日はグラグラしてて、最終日には別モノになってたりしたんで、そこは今回も一緒なのかなって思うけど。でも、自分的には確かにどんどんロビンになってるね。なんかわかんないけど勝手になってるんですよ。なろうとしてないんだよ、別に」

■なろうとしてないんですか?

吉井「してないよ! ヤだよ、だって別にロビンにはなる必要ないよ。むしろ『なるかい!』って最初は思ってたけど」

■そうなんだ。でも私、初日のライヴで1時間半くらい経った時に明らかに吉井さんの顔がロビンになったと思った瞬間があって。あんな短時間であんなに人間の顔が変わるの、初めて見ましたよ。

吉井「特に俺は変わりやすいからね、顔が。今回、再集結のひとつのテーマとして『蛹』っていうキーワードがあって」

■復活告知のヴィジュアルも金の蛹でしたね。

吉井「“ALRIGHT”でも歌ってるんだけどさ、蛹ってあの中で1回スープ状にドロドロに溶けて細胞分裂して、それで蝶々になるんだって。それと同じで、代々木の初日はもの凄い細胞分裂をしてた感じがするのね。メンバーもイエローモンキーでありながらイエローモンキーじゃないような、これからまたイエローモンキーになるための儀式みたいな感覚は確かにあった。で、自分的には最終日の北海道でモルフォチョウ(“ALRIGHT”のビデオにも出てくる青い蝶)となってめでたく飛んで行くと思ってるんだけど(笑)」

■そこで真の新生イエローモンキーが飛び立つと。

吉井「毒を振り撒きながらね。毒がいっぱいなんだって、あのモルフォチョウの青い羽根って。青には毒が入ってるんだよ、フフフフフ」

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text by有泉智子

『MUSICA8月号 Vol.112』