SHISHAMO、初のストリングスを導入した
シングル『夏の恋人』リリース。
さらなる進化を見せる宮崎朝子の心模様を覗く
ちょっとの人しか聴いていないのであれば、私にとって曲の完成ではないんですよ。
SHISHAMOの音楽が変わってきているのはそういうことなのかなって。
たくさんの人に聴いて欲しいっていう想いが音を変えていったのかなって
■あの、SHISHAMOは夏と冬にシングルを出して、「始まりと終わり」の季節である春にアルバムを出すという三種の神器を決めたんだね。
「いや、決めてないです(笑)。でも言われてみたら、確かに。………なんかタイミング的にそういう時期になりがちなんですよね」
■だけどSHISHAMOは出会いや別れを歌う曲が多いから、春にアルバムが出るのは凄くいいと思う。あとは宮崎が夏にビシっと! 冬にビシっと! そして年に1度アルバムをビシっと!書けるかですね。
「……うー、そうできればいいんですけど、あまりそういうことを考えてないですね。タイミングばっかりはわかんないじゃないですか?」
■そりゃそうだよね。で、今回の夏のシングル “夏の恋人”からは、アレンジレベルで新しくやりたいことをたくさん感じました。しかも枯渇感を一切感させない曲でさすがでした。本格的にバンド活動が始まってから3年が経ったけど、実際のところはどんな調子なんですか?
「枯渇感はないです。そもそも、書きたいと思って曲を書いていないですからね」
■そか(笑)。宮崎は「作家」として書いていますからね。
「はい。それでなんとかなっています(笑)。でも本当に、曲ばっかりはできてみないとわからないんですよ。これから凄い曲ができるのかそうじゃないかなんて作ってみないとわからないじゃないですか。だから私が曲がいっさい作れなくなる日がいつ来るのかもわからないし」
■それは怖いことなんですか?
「怖い? 怖いかな? うーん、怖いとは思っていないですね。毎回なんとなくできて、今回も出せる感じなんですよ、今はまだ」
■ただ、作家という意味で言っても、去年のシングル“熱帯夜”からアルバムに入ってた “みんなのうた”、そしてこの“夏の恋人”と、SHISHAMOのファンだけに向けた曲じゃないものもたくさん生まれてきている。これはSHISHAMOが変わってきたっていうことなのか、私が作りたい音楽が変わってきたっていうことなのか、どう思いますか?
「うーん…………というより、本当にやらなきゃいけないことがわかってきたんですよね。元々、誰かに向けて作っていたわけじゃないし。それこそ高校生の時とかは、むしろ(オーディションの)大会に出なきゃいけなかったから作ろう!みたいな感じで作ってたし」
■その中で、自分らがやれるのはこれだ!という曲。
「はい。ファーストアルバムまではそういうのが多かったんですけど。でも今は聴く人のことを考えて作るようになったし、SHISHAMOがやらなきゃいけないことをわかってきたんですよね」
■それってもうちょっと具体的に教えてください。
「ただ作るっていうより、そこにちゃんと意味がないといけないじゃないですか。いいものを作っても、自分だけが納得してるんじゃ嫌なんですよ」
■つまりは結果を出したいと。
「そうですね。たくさんの人に聴いてもらうために私は作っているので。どんなにいい曲でも、ちょっとの人しか聴いていないのであれば、私にとって曲の完成ではないんですよ。いろんな人が良いといてくれないとって思っているので。それを本当に考えてやるようになった。その結果、やることは変わっていないんですけど、でもSHISHAMOの音楽が変わってきているのはそういうことなのかなって。たくさんの人に聴いて欲しいっていう想いが音を変えていったのかなって」
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text by鹿野 淳