Posted on 2016.09.16 by MUSICA編集部

04 Limited Sazabys、待望のフルアルバム『eureka』完成!
核心作をGENが語り尽くす

違和感のある人になりたいなっていつも思うんです。
「童心」っていうのも、狂ってるっていうのも、ユーモアがあって
人を笑わせたり喜ばせたり幸せにできたりするものだと思うし、
そういう人に憧れる自分がそのまま歌に出てきてるような気がします

『MUSICA 10月号 Vol.114』P.48より掲載

 

■フォーリミが特にライヴで見せてきたようなキラキラした遊び場感がそのまま各曲に投下された、非常に青春感の強い作品だと感じました。まず、GENくん自身はどういう手応えを持ってる作品ですか?

「凄くいいアルバムができたなと思ってます。自分で聴き返してみると――自分達がここまでリアルタイムで聴いてきたルーツや、影響を受けてきた音楽がいろんな形で全部入ってると感じますね。もちろん昔のメロディックパンクだったり、海外のポップパンクだったりもベースにはあるんですけど、昔のJ-POPとか歌謡曲っぽい切なさとか、逆にハードコアな部分とか――そういう自分達のルーツが全部出てるし、それを、今の自分達としての現代版で入れられた作品になったと思ってます」

■元々、このアルバムはそういうものにしたいと思ってたんですか?

「いや、まったくそういうイメージもなく、無我夢中で作っていただけなんですけど。いろんな部分に、大好きだったバンドやアーティスト人達が見えてくるんですよね。好きなものがたくさんあった自分とか、好きなものに影響を受けた時の自分がたくさん入ってる感じがしますね。このアルバムを作る時に『いろんなものに影響を受けてここまでやってきたな』っていうことを考えることは多かったので、それが出てるのかなって思います」

■そういうことを考えたのは、なんでだったんですか?

「やっぱり、地元の名古屋から上京してくるタイミングで作ったのが今回の作品だったので、ここまでお世話になってきた人・環境に対しての感謝を込めたいっていう気持ちが最初からあったんですよ。そう考えていたら、自分が影響を受けてきたもの、それを好きで夢中になっていた時の自分がバーッと出てきた気がしていて」

■言ってみれば『CAVU』も、音楽的な引き出しを一気に開けた、メロディックパンクに留まらないアレンジが満載の作品だったと思うんですけど。今回は、その時ともまた違う感覚だったんですか。

「全然違ったと思います。『CAVU』の時は正直、メジャーデビューっていうこともあって、『メジャーなんて!』『インディーズ魂出してやる!』っていう作為的な気持ちもあったんです(笑)。だから、いろんな要素を意図的に出して、ガチャガチャした音になってたのが『CAVU』で。でも今回は、パンクシーンでやってた頃のアングラ精神とかじゃなく、たとえばスピッツとかthe brilliant greenとか、My Little LoverとかSMAPとか――自分がドンズバで聴いてきた良質なJ-POPの影響もそのまま出ちゃってるんです。ギターフレーズとか僕のメロディなんてまさになんですけど。懐かしく感じてくれる人は懐かしいだろうし、それを今の感覚で新しくミックスできた自信があるんですよね」

■なるほど。今言っていただいたことを言い換えてみると、今の4人を構成しているものを、本当の意味で迷いなく解放できた感覚なの?

「ああ……確かにそうです。たとえば僕は、いつも自分の中の葛藤とか迷いを曲にしてきたと思うんですよ。だけど、やっぱり『上京』っていう大きな機会によって、『新しい環境への不安もあるけど、だからこそ希望を描く歌を歌いたい』っていう気持ちが凄く強くなっていって。だから、迷いや不安も全部背負って次の道へ進もうっていう気持ちが、作品通じての迷いのなさに繋がったんだと思います。言ってみれば、これまでの曲だって、名古屋で育つ中で出会ってきた人や、たくさんの出来事のおかげで作れたんですよ。なら、そういう人達への感謝も込めたかったし、それを、自分達がもっと上にいくための道しるべみたいな作品にもしたかったんです」

■GENくんはずっと、嘘なく自分の生き様を曲にしたいと語ってきてくれたし、無垢な自分をそのまま曝け出したいっていう気持ちが凄く強いのがフォーリミじゃないですか。そういう意味で言うと、名古屋は、自分達の生きてきた道や生きてきた証が詰まった場所だったわけで。そういう場所を離れてまで上京を決意したのは、そもそも何故だったんですか。

「正直に言うと――そりゃ、名古屋っていう地元にいれば居心地はいいわけです。友達も周りにいて、みんなが優しくしてくれるし。ただ、居心地のいい環境にいることが『成長すること』に繋がっているのか、不安になったんです。もしかしたら、ぬるま湯に浸かってるだけなのかなって。名古屋を背負って東京に出て行くことで、自分達にはまだまだ先があるんだ!っていう気持ちを行動にしたかったんです。それが、結果として名古屋のシーンにとってもいいことだと思いましたし。やっぱり『YON FES』を自分達が作って成功させたのなら、なおさら上を目指さなくちゃいけないと思って。……昔は、もっと生活レベルの『極限のヒリヒリ感』の中で『負けたくない!』って思ってる感じだったんですよね。だけど今は、そこまでパツパツな生活でもなくなって、電気が止まることもなくなって(笑)。ただ、それをキープするのが目的になるのは嫌だったんです」

■たとえば前のシングル『AIM』の“climb”は、もっと我武者羅に、インディーズ時代みたいにひたすら夢を追いかけていくんだっていう改めての意志表明でしたよね。それを歌ったGENくんと、名古屋でどこかチルアウトしているGENくんの間のズレがより大きくなってたんですかね。

「ああ、そうだと思います。昔から住んでる分、きっと名古屋には昔の必死だった自分の感覚も残ってはいるんですよ。だけど昔の『音楽で飯が食えない』っていう状態だった自分からすれば、今の自分達は『お前ら、もう夢叶っちゃってるじゃん!』っていう状態だと思ったんです。そこに安住していても自分達のこれからの夢を制限しちゃう気がしたんですよね」

■『eureka』――「我、見つけたり!」という意味のタイトルからは確信的なものも伝わってきますが、単刀直入に訊くと、もっと大きな環境に向かうタイミングで、何を獲得しにいったのがこの作品なんだと思いますか。

「何かを果たしたり獲得しにいったり、というよりは……自分達を確立したかったっていう感じだと思います。『eureka』を作ってる最中に、『この作品で僕らを確立できるかもしれない』『これで、説明不要な存在になれるんじゃないか』って感じたんですよ。そうして確立することによって、たとえ音楽を掘り下げて聴かない人にとっても、04 Limited Sazabysっていう存在として聴いてもらえるようになるんじゃないかなっていう気がして――」

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text by矢島大地

『MUSICA10月号 Vol.114』