Posted on 2016.09.16 by MUSICA編集部

KANA-BOON、『Origin』以降初のシングル『Wake up』投下。
重要な岐路に立つ谷口鮪、その胸中に迫る

1個変われると、もっと変わりたいっていう気持ちも強くなる。
その最初の1個掴めた感覚はあります。
見えないものを見たいし、
それが楽しみやっていうところに足を踏み入れている感覚がある

『MUSICA 10月号 Vol.112』P.62より掲載

 

■今回のシングル、カップリングも含め、とてもいいですね。歌詞にしても音像にしても、現状を打破して次のステージに向かう意志が今まで以上に音楽として強く鳴ってるなと思うんだけど。

「“Wake up”に関しては『Origin』と並行してレコーディングしてたんですけど、でも、この曲は僕がひとりで作ったものなんで。今までの曲よりは僕の気持ちとか意志みたいなものが――今までは歌詞だけやったけど、曲自体にも凄く出てる感じがしてます」

■いつもみたいにバンドでセッションで作るんじゃなくて、鮪くんがひとりでちゃんとデモを作り上げるという形でやったんだ?

「そうです」

■『Origin』のインタヴューをした時、今後はそういう形で自分ひとりでちゃんと曲作りに取り組む機会を増やしたいっていう話をしてくれたけど、改めて、そもそもそう思ったのはどうしてだったんですか?

「あのー……他の3人が体たらくじゃないですか」

■体たらくって(笑)。ま、意識の差はあるよね。そしてその差をどうするかが、『Origin』に至るまでの鮪くんの悩みと葛藤でもありましたよね。

「はい。『Origin』を出して足並みが一旦ひとつにはなったと思うんですけど、ずっと自分と3人の差は考えていて。やっぱり僕が望むものを出せないメンバーもいたり、出せないタイミングがあったり。今まではそれを口で伝えてたけど、なかなか結果が出てこなくて。だったら僕自身がちゃんと行動で示すしかないなって思うようになったんです。僕を見て『こいつ頑張ってるな』ってわかってもらえたら、他の3人も頑張るというか、結果を出せるようにやっていけるんかなって。それに、フロントマンとしてバンドを引っ張る人間として、もう1回ちゃんと組み立て直したいっていう気持ちもあります。それが一番大きいですね」

■そうなった時にこういう曲になったのは何故だったんですか? 疾走感はありつつも音像自体は割と重厚でラウドな、今までのKANA-BOONサウンドよりもひと回り重く強くなったロックバンドサウンドだよね。

「作った時はどんな曲を作ろうっていう意識を持ってたわけじゃないですけど、ただ、自分達にとってのど真ん中な曲を作ろうっていう気持ちはありましたね。僕らは奇を衒ったことはできひんし、やりたいっていう気持ちもない。やっぱりちゃんと自分らが真ん中に据えられるものを一生懸命やっていきたいなって思ってて。そういう気持ちも募ってきてたんで、結果この曲ができたんかなっていう気がします。重めで力強いサウンドにしたいって思ったのは、レコーディング前になってからやったけど」

■だから曲の顔つきが――。

「はっ!(と笑顔になる)」

■ん? 曲の顔つきがキリッとなったよね。

「あー、僕が痩せた話かと思いました(笑)」

■はははははははははははは、痩せた?

「痩せました。痩せてないですか?」

■ごめん、あんまり気づかなかった(笑)。というか、この流れでいきなりそこに話を持っていったりはしない(笑)。

「すいません(笑)。顔つきって聞いた瞬間、思わず(笑)」

■(笑)。いや、音楽の顔つきがキリッとしたと思うんですよ。楽しさや青春感もKANA-BOONの魅力のひとつだけど、今回はヒリヒリした部分も含め、もっとキリッとした強さや闘争心が表れてるよね。それは特にカップリングの“LOSER”に顕著だけど。

「そうですね、それは僕も感じてます。“LOSER”は本当に悔しさとか、ツアー回ってて感じたことを歌ってます。『Origin』コンプレックスがちょっとあるんで――」

■『Origin』コンプレックス?

「『Origin』に関して、ちゃんとテーマもあったしいいアルバムやと思ってるんですけど、今まで以上に届かへんかったっていう後悔がずっとあって。あの作品を評価してる自分もいるけど、コンプレックスも大きいんですよね。やっぱりツアー回ってて『Origin』の曲達への反応が少ないのを見ると悲しかったし悔しかったし。そこからもっとシャキっとしたい、もっと頑張りたいって思うようになって……全体の音の雰囲気も含め、そういう気持ちはこのシングルに出てるなって思います」

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text by有泉智子

『MUSICA10月号 Vol.114』