Posted on 2016.09.17 by MUSICA編集部

東京スカパラダイスオーケストラ×Ken Yokoyama、
今年髄一の最強コラボ、再び!
『さよならホテル』の真髄を谷中敦とKen Yokoyamaが語る

「『もう健なしではいられない身体なんじゃないですか?』って最近
何回も言われるけど、本当にそういう気持ちになってきた」(谷中)
「僕は最初からそれが狙いでした。いくら素晴らしいミュージシャン
とやっても、『健とやるのが一番楽しいな』って(笑)」(Yokoyama)

『MUSICA 10月号 Vol.112』P.86より掲載

 

(前半略)

■そして今回の“さよならホテル”ですが、だいぶ前に録ってたんだよね。そもそも同時に2曲の提案がスカパラ側からKenくんにいったと。

谷中「横山くんのオーダーでもあったよね、最初っから2曲ともいきたいって」

Ken「僕の無茶振りでもあったっすね(笑)。“道なき道、反骨の。”の曲出しの時に2曲残ったんですよ。どっちがいいかな?って相談されて、僕としては両方よかったんで、『これ両方やっちゃっていいんじゃないですかね?』って。そしたらそれが実現したっていう(笑)。最初から2曲やりたいなって思ってたわけじゃなくて、2曲とも素晴らしかったんですよ。“道なき道、反骨の。”は東京スカパラダイスオーケストラってバンドが横山健をどう料理してやろうかっていう曲だと思うんですよね、それは歌詞の世界観を含めて楽曲の疾走感も横山合わせだったと思うんですけど、“さよならホテル”ははっきり言うと誰が歌ってもいい曲なんです(笑)。メロディ聴いた時に『わあ! なんていい曲だ!』って思っちゃったんですね。僕覚えてますもん、スタジオで『この曲が世の中に生み出されると嬉しいですね』って言ったの。瞬間では判断できなかったんですけど、メロディの抑揚とか上下とか、あのテンポ感でのスカな感じとか……周りのみなさんが僕の言葉を聞き逃さないで『こりゃ本当にやりたそうだな』って思ってくれたんでしょうね」

■数々あるコラボレートシリーズの中で、こういう経緯や会話は過去にもあったんですか?

谷中「うーん、どうかなぁ。そういうのはほとんどないけど、クリープハイプの尾崎くんの時は何曲か聴いてもらったんだっけな……その時くらいかなぁ。『どっちの曲がいいですか?』っていうのを歌い手さんに訊くのは結構珍しいパターンだったんだけど、“道なき道、反骨の。”は今までのスカパラの流れのまま横山くんのお客さんの期待を裏切らず、スカパラのお客さんの期待も裏切らず一番王道なところを狙ってたから、こっちは逆に難しかったかもしれない……。それでも“さよならホテル”も歌ってもらいたいなって。曲調としてこれを歌っている意外な横山健を観てみたい、聴いてみたいっていうのはスカパラのメンバーの中にあったんです。でも“君の瞳に恋してる”とか名曲のカヴァーをしている横山くんなら“さよならホテル”は料理できるなって思ったんだよね。Ken Yokoyama verの “Sayonara Hotel”も作ってもらったけど、あぁなるほどね、こういう感じに料理されるわけだ、ってそういうアレンジもスカパラでも試してみればよかったなって後から思うくらいに本当に凄くよかったですよ」

■日本語のタイトルを英語化したタイトルの“Sayonara Hotel”が2曲目に入ってますが、これは同じ曲を今度はKen Bandで英詞でやってるんだよね?

Ken「たしかね、加藤くんが言い始めたんじゃないかなぁ。練習スタジオで僕も含めてみんなで練習している最中に『いい曲だ、いい曲だ』って僕が興奮してたら『Kenさんの弾き語りとかがあってもいいかもねぇ、Ken Bandヴァージョンも聴いてみたいな』って誰かが言ったひと言が後々メールとして『あの話、やりませんか?』ってくるわけですよ。で、僕もすぐにイメージしましたね。『表題曲があってそこにヴォーカルとして呼ばれた人間が自分のバンドヴァージョンを作って、しかもレーベルの垣根も飛び越えてやることが本当にできるんだ!』って」

谷中「純粋にKen Bandヴァージョンは絶対よさそうだし聴いてみたいってことなんだけど、この話をちらっとした時に横山くんが『その時期出ているバンドのカヴァーを他のバンドがやるかって有り得ないけど、やったら絶対面白いってずっと思ってたんですよね』って言ってくれて、それなら是非やろう!ってことで」

Ken「話が少し飛んじゃいますけど、昔『JUST A  BEAT SHOW』(1986年に渋谷屋根裏で開催されたライヴイベント。収録したオムニバスアルバムもある)ってあったの覚えてます? THE BLUE HERTSとかを輩出してた。その主催の the JUMPSってバンドがあったんですけど、BAD CONDITIONって相棒のバンドがいたんですよね。で、その2組がいつも違う場所でひとつの曲を演奏してたんですよ。そこに僕は絆も感じたしいろんな意地も感じたし、それと同じじゃなくてもいいんですけど、いろんな人達がひとつのことを大事にしてそこに熱量を注ぐっていうことに凄く憧れもあったんですよね。……僕がHi-STANDARDの前のバンドの時だったんで20とかそこらの、まだなにも掴んでいない時期にそのシーンとかを観て、大人にしか出せない、キャリアのある人にしか出せない凄みとかもなんとなく感じたりしていて、そういったことをやってみたいなって思ってたんですよね」

■ご自分がアレンジしたヴァージョンを英語詞にしたのは、Ken Bandとしてこの曲を引き受けたからには自分達のものにするんだっていう意識と覚悟の表れですよね。

Ken「そうですね、パッケージとして最終的に出すんだったらKen Bandとして引き受けたいなって気持ちになっていって、よし英語で書こう、しかも英訳をするだけじゃなくて『さよならホテル』というキーワードをもとにまったく新しいストーリーを書こうって思いました」

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text by鹿野 淳

『MUSICA10月号 Vol.114』