Posted on 2016.10.15 by MUSICA編集部

SEKAI NO OWARI、
新たな挑戦へと向かうシングル『Hey Ho』完成。
変わりゆく意志と変わらぬ本質を全員で語る

勝つためにっていう気持ちはめちゃくちゃ強いんで、
弱みを見せない、心を許さない部分があったけど、
今は、誰かを愛するということが自分にとっての強さに変わるんじゃないかな
ということがわかってきたんです(Fukase)

『MUSICA 11月号 Vol.115』P.38より掲載

 

(前半略)

■そういう気持ちも全部含めての“Hey Ho”というシングルだと思うんですが。これは動物殺処分ゼロプロジェクトへの支援ですが、まずそれがあっての曲なのか、この曲を出すにあたってのプロジェクトとのドッキングだったのか、どうだったんですか?

Saori「これは支援シングルにしようっていうのが最初です。動物殺処分ゼロプロジェクトに対する支援シングルを作ろうっていうのが一番最初」

Nakajin「曲もその時に決まったよね。元々あったデモ曲の中からFukaseが選んだんですよ。それが僕の作ったデモだったんですけど」

Saori「で、このNakajinが何年か前に作ってたデモをアレンジして、私とFukaseで詞をつけて、1番がSaoriちゃん、2番はFukaseみたいな感じで、分けて書こうっていうふうに」

Nakajin「で、サビは<Hey Ho>でいこうっていう」

Saori「そう、一番最初に『サビは<Hey Ho>って感じなんだよ』っていう電話がツアー中、どこだったか忘れちゃったけどかかってきて。結構酔っ払って電話してきて、メモりながらやったのが最初で。ただツアーが終わったら、直後に録らなきゃいけなかったんで、ツアー中にホテルとかで考えたりしながら書いたっていう印象。みんなそうだよね」

Nakajin「僕もホテルでずっとアレンジをゴリゴリやってました」

■このプロジェクトをやろうと思ったのは何故だったんですか?

Fukase「ミュージシャンなんで曲は出さなきゃいけないじゃないですか。 でも次、何書こうかなっていうのがわかんなくなってきちゃって」

■それはいつぐらいから?

Fukase「“SOS”出した後ぐらいから。わかんなくなったっていうか、そんなにわかろうとも思ってなかったというか、ずっとボーッとしてて。昔は、より広く届けたいっていう気持ちは凄くあって。今でももちろんそれはあるんですけど、俺達この後何しよう、どこ目指そうっていうところから、やっぱり次の曲は“RPG”の続編になっていくんだろうなっていうのはあって。それが“Hey Ho”になっていくんですけど。そこで僕らが目指してるところは動物殺処分ゼロプロジェクトに対する支援だったわけです」

Saori「なんで今、動物殺処分ゼロプロジェクトなんだ?って一番最初は思ったんですけど。私が納得したのは、SEKAI NO OWARIっていつもなんのためにこの曲を出すのか?っていう理由が必要で。どの曲にも私達の看板を背負う理由がちゃんとあって。で、その動物殺処分ゼロっていうもの以外の、支援シングルっていうもの以外のリリースがなんだかしっくりこなかったんです。“ANTI-HERO”とか“RPG”とか“Dragon Night”とか、いろんな私達の性格があって、どの曲も持っていない曲を作りたかった。 “RPG”みたいな曲だけど、“RPG”よりは人気が出なくて、何もかも“RPG”には勝てない曲は、作りたくないんですよね。でもなんとなく作っていくとそういうふうになってしまうから」

■“RPG”は“RPG”でもの凄い切実な気持ちで書いたものだものね。勝ちたい、超えたい、この曖昧な立場をどうにかしたいという気持ちが。

Fukase「そうですね、強くありましたね。その前と今とでは全然気持ちが違うんですけど、でもまた新しい挑戦というか、ここから新しく始めないと次がないというか、そういう気持ちがあって。だから続編になったんだと思うんですけど」

■今回の動物殺処分ゼロへの気持ちは紙資料を読ませてもらいましたし、全部わかってるつもりなんですけど。「The Dinner」の時に配布された、「礎の石孤児院(カンボジアの孤児を支援する団体)」を支援する対談のパンフレットも見て。これもFukaseがきっかけなんだよね。このふたつの活動への支援のもとにあるのは、孤児とペットですよね。これってご自分のなかでアイデンティファイしてるところ、つまり檻の中にいるもの、もしくは弱者、もしくは精神的なことも含めての孤独や孤児という、どこかで自分を鏡で見てることも含めての気持ちがあると思ったんですが。

Fukase「あぁ、それは生い立ち自体もあるんだなとは思いますし、なんで子供と動物かっていうのは自分ではあんまりわかんないですけど。この前も児童養護施設のことをニュースでやってて、そういうニュースはシンクロするというか……。何か自分にできることがあるんじゃないかなって思うんですよね、子供と動物のことに関しては。なんでだろう? 僕、子供もいないしペットもいないんですけど。母が保母さんなんですよ。父は別に動物が凄い好きなわけではないんですけど、無駄な殺生はしないという漠然とした世界観がある人で。だから血なんだと思うんですよね」

(続きは本誌をチェック!

text by鹿野 淳

『MUSICA11月号 Vol.115』