KEYTALK、珠玉の新曲『Love me』完成!
時代の中心へと躍り出ようとする
彼らの「今」を全員取材で紐解く
向かうべき道はひとつじゃないってことが改めてよくわかりました。
そこに向かう術として、いろんな道筋があるなって
改めて気づいた1年だったかなって思います(小野)
『MUSICA 12月号 Vol.116』P.54より掲載
■(唐突に)今回のシングル、ほんと素晴らしいです。びっくりしました。
全員「………(約5秒4人で見詰め合い、調子合わせて)あーざーっす!!!」
■何なんだ、この微妙な間は(笑)。いや、本当に素晴らしいです。表題曲の“Love me”もとてもいいんだけど、3曲通してパッケージとしての完成度が高くて。なんでこんなに素晴らしいシングルができたんですか?
寺中友将(Vo&G)「ふふ、そう言ってもらえて嬉しいですね」
小野武正(G)「奇跡的な1枚ですね」
■その奇跡の裏には何があったんですか?
小野「やっぱり血と涙と努力の結晶ですかね。ツアーと、日々の練習と、そして日々の飲みですね」
■ははははは、やはり飲みか。でも、それはこれまでも延々と続いてきたことじゃない? ずっとライヴをたくさんやってきたしたくさん酒量も摂取されてきたと思うし、その積み重ねを否定するつもりはまったくないんですけど、でも今回は一気にドガッと来たなって感じがするんですよね。
小野「うーん……ちょうど鹿野さんにフィットしたんですかねぇ?」
■いやいや、俺の後ろ側には2億6千の瞳があるよ?
小野「…………(無言で鹿野の後方を見つめる)」
■本当だって(笑)。
全員「はははははははは」
■ではまず、今回の作品ができるきっかけはなんだったんですか?
寺中「前作、前々作と、4人全員がそれぞれ作詞作曲するっていう作品が2作続いて、それが凄く個人的には大きかったというか。初めて自分で作ったメロディに八木くんに歌詞をお願いしてみたりだとか、そういうことをしたことで、お互いの信頼関係みたいなものが強くなったと思うんです」
■その信頼関係って、もう少し具体的に言えます?
寺中「4人それぞれの曲に対して、いちリスナーとして3人の曲を聴いてそれぞれの完成度の高さだったりを感じたし、こういう作り方、こういう歌詞、こういう言葉があるんだなっていう、自分にはないものもたくさん感じ取って。そういう自分以外の3人の個性————この人はこういう曲を作るんだ、こういう曲が得意なんだっていうイメージが自分の中にできた、というか、元々あったイメージがより濃く浮かんでくるようになったんですよね。だから今回も素直に、“SAMURAI REVOLUTION”は八木くんに歌詞を書いて欲しいっていう案がスッと出てきたりだとか」
八木優樹(Dr)「“Love me”に関しては、今までやってきた爽やかな曲達はいっぱいあるんですけど、その中でも、歌詞が明るいわけではないのにハッピー感が強くて。パーティー感、お祭り感みたいなのがKEYTALKのパブリックイメージとしてあると思うんですけど、そういうところとはまた違う楽しさみたいなことが表現できてよかったかなって思いました」
■その辺は、ご自分の中では意識していたことだったんですか?
八木「義勝がデモを作ってきた時に楽しい感じを凄く感じて……その時はまだ歌詞はついてなかったんですけど、これはたぶん爽やかなメロディだけど楽しい曲にしたいんだろうなって。だからドラムもあんまり切迫感が出ないようなフレーズにはしたつもりですね。
首藤義勝(Vo&B)「4月、5月と連続でシングル出しましたけど、ここまでは結構シンプルで無骨に攻める感じの曲が多かった気がするんですよ。でも今回の楽曲は、ポップセンスに深みが増した曲になったと思っていて」
■本当にその通りだと思うんですよね。それは、どのくらい意識してやって、どれくらい自分達が実現できるようになった感じなんですか?
首藤「……自然と、って感じですかね。僕個人としては、直近の自分達の作品を何回も聴き返している中で、自然と『この曲はこんな要素をプラスしたらもっと面白くなるな』って考え始めて。ちょうどその頃に新曲を作る時期になったので、深みが増したものが作れたんじゃないかなって思うんですけど」
■“Love me”は首藤くんの作詞作曲ですが、この曲ができた背景には、明確に自分の中のポップソングランキングを超越したいとか、そういう意識や目的もあったんですか?
首藤「結構テンポが速くてロックな曲がシングルで続いてたんで、そっちじゃなくてメロ勝負みたいな曲にしたいなってところから始まったんですけど。そこでいろいろ考えて、BPMを落として横ノリな感じで踊れる曲を作りたいなって思ってたんですよ。でもそれが結果、個人的にはグッドメロディランキングではかなり上位に入るものになりましたね」
■このAメロ、秀逸です。素晴らしいですよね。
首藤「ありがとうございます。結構アレンジが何回か変わってて、Aメロも変わったりはしているんですけど……でも言ってもらったような意識や目的があったわけではなく、なんとなくって感じですねぇ(笑)。サビで爆発させたかったんで、音程が上がり切らない歌にしようっていう意識とかはあったんですけど」
(続きは本誌をチェック!)
text by鹿野 淳
『MUSICA12月号 Vol.116』