Posted on 2016.11.17 by MUSICA編集部

Mrs. GREEN APPLE、自身の音楽をより自由に開花させた
シングル『In the Morning』発表!
ティーンポップを打ち鳴らしていく決意を大森元貴が語る

今も昔も多感であるのは間違いないと思うんだけど、
今はその多感さを自分で理解してあげられるようになって。
当時は理解してあげられなかったんですよね。
だからもがく中で曲を作っていくしかなかったし。
でも、そんな劣等感の中で「音楽をやるしかなかった自分」から、
「音楽をやりたい自分」にやっと変わっていった

『MUSICA 12月号 Vol.116』P.66より掲載

 

(前半略)

■そんな中でシングル『In the Morning』が出ます。相変わらず非常にポップなんだけど、“サママ・フェスティバル!”とはまた違ったタイプのポップソングですよね。これはどんなふうに生まれてきた曲なんですか?

「自分的には“サママ~”を作ったことで、模索しながら答えを見出していくモードが一旦終わったんですよ。“サママ~”は自分達の中で凄い振り切った曲だから。“StaRt”や“Speaking”もそうだけど、メジャーデビューしてからシンセや同期の音を入れるようになったり、EDMの要素とか海外の音楽からのインスピレーションを自分達の曲に入れてみたりってことをやってきて。いろいろ模索しながら、挑戦しながらやってきたんだけど、それが“サママ~”まででひとつ区切りがついたというか。で、今回は二十歳になって一発目ってことで、自分のスタンスとしては変わらないけど、でもやっぱり二十歳って世間的にも節目になる歳だし、聴かれる印象も変わるんだろうなぁって思ってたので、そこは“In the Morning”を作る時から意識してました。逆に言えば、このままの印象でずっとミセスをやっていくことはできないだろうなとも思ってたんで、二十歳をきっかけにもう一度自分らのやりたいことを見返してみたというか。……僕、結成当時から、二十歳になった時に自分らの音楽性は1回振り出しに戻るんだろうなぁって漠然と思ってたんですよ」

■それは、何がそう予感させていたんですか?

「なんだろう、わかんないけどそう思ってた(笑)。……でも、バンドってストーリーだと思うんで、それをよりワクワクするものにしたいっていうのは昔から思ってて。たとえば漫画でもストーリーがしっかりしてるとワクワクするじゃないですか。それと同じことがバンドという生命体で起こったら絶対に楽しいと思うし。それはバンドならではじゃないですか」

■バンドストーリーというもの自体に、人は魅せられるからね。

「そうそう、本当にそう思うので。その中で二十歳になった時に一度また新しい始まりを迎えるというのは、なんとなくイメージにあったんです。ちょっと話がズレちゃうかもしれないけど、メジャーデビューして僕が髪にパーマをかけたり、“サママ~”の時に茶髪にしたりしたのも、二十歳になった時にストレートの黒髪で自分がドシンといるイメージがデビューする当時からあったからなんですよね」

■マジで!? 最初からそこまで考ええてたの?

「マジで(笑)。それこそディレクターに『え、茶髪にすんの?』って言われたんですけど、その時に『二十歳になった時に黒髪にして1回振り出しに戻りたいんです』ってちゃんと話もしていて」

■………なんか凄いね。

「そもそもドラムは女の子がいいとか、キーボードはしっかりした人がいいとかも、自分のヴィジョンにあったものだし。その延長線上に二十歳という節目があって。……バンドとしてストーリーを描いていきたいという意識があるからこそ、Mrs. GREEN APPLEはずっと変わり続けるし、曲もずっと同じ方向性ではダメだと思ってるところはあります。なんか、バンドとしての進化ってとても人間味があるなぁと思うんですよ」

■そういう意味では、10代の期間に辿ってきたミセスが描いてきたものは、自分ではどんな物語だったと思う?

「さっき言った模索と挑戦の物語というか。自分自身と向き合う、自分自身がやりたいことと向き合って、それを模索しながら1個ずつ提示していった期間だったと思います。まぁ20代になったからといって何かがガラリと変わるわけじゃないんですけど、でも今振り返ってみると、自分の10代の活動は今後のMrs. GREEN APPLEとしての活動の土台を作っている期間だったんじゃないかと思いますね」

■16歳でバンドを始めてからの3~4年というか、もっと遡れば元貴くんは12歳から音楽を作り始めてるわけですけど。でも、それこそこの1年くらいで、元貴くんはそのワクワクや楽しさを、それこそ理屈としてではなく、実感として音楽にできるようになってきたと思うんです。安易な言葉で言っちゃうと、リアル青春期/思春期だったバンド結成時よりも、よっぽど今のほうが青春してるなって思うんだよね。

「もうそれは絶対に間違いなくありますね。昔のほうが難しいこと歌っていたりもしますし。でもそこは、純粋に人間としての必然的な成長だったなと思いますね。僕は、今も昔も多感であるのは間違いないと思うんだけど、ただ、今はその多感さを自分で理解してあげられるようになって。当時は理解してあげられなかったんですよね。だからもがく中で曲を作っていくしかなかったし……それこそ最初のインタヴューで言ったと思うんですけど、昔の自分は凄く劣等感があったわけで。そういう劣等感の中で『音楽をやるしかなかった自分』から、『音楽をやりたい自分』にやっと変わっていったところが、自分の中では一番大きくて」

■確かに、それはめちゃくちゃ大きいよね。

「めちゃくちゃ大きいです。だから今がめちゃくちゃ楽しいんですよ」

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text by有泉智子

『MUSICA12月号 Vol.116』