Posted on 2016.12.15 by MUSICA編集部

BUMP OF CHICKEN、精力的に飛翔し続けた
2016年を全員で振り返る大特集!

僕の出した歌声や僕らの出した音は、隣どころか、
一番後ろの人達の耳の中まで入っていけるわけじゃないですか。
音は文字通り距離が関係ない。音楽によって一人ひとりと
繋がった感じが僕達は欲しいし、嬉しいわけです。
そこに凄く感動を覚えて、20年やってきたんです(藤原)

『MUSICA 12月号 Vol.117』P.60より掲載

 

(前半略)

■言うまでもなく今年はとてもメモリアルな20周年という1年だったので、その1年間を振り返っていただこうと思うんですが。まずは年末フェスから紅白に出演したわけですけど、その年末時点で『Butterflies』はできあがってたの?

藤原「えーっと、どうだったっけ?」

升「完パケはしてないんじゃない? 録りは終わってたと思うけど」

藤原「ヴォーカル1個ぐらい、歌入れ残ってなかったっけ?」

スタッフ「すいません、ちなみに年内にパケてましたね。マスタリングもしましたね」

藤原「はい、マスタリングまでいってたそうです(笑)」

■あはははははははは。

升「そんな感じで振り返っていくっていうわけね(笑)」

■そうして万全の形で年を越して、紅白にも初めて出るという新鮮な体験をして今年になりました。この雑誌では、2月に『Butterflies』がリリースされて以来のインタヴューになります。あれから、ここまで約10ヵ月ぐらい経って、わかったこと、おさまりのついたこと、周りをみて感じたこと、あの頃と違うことがあるんじゃないかなと思うんですが、この『Butterflies』というアルバムが自分にとってどういうものだったのか、4人全員に伺いたいんですが。

升「だんだん思い出してきたよ。『Butterflies』が完成して、マスタリング音源をもらったのに、忙し過ぎて全然聴かなかった(笑)」

藤原&増川「ああっ!」

直井「練習地獄だったんだよね、あの頃」

升「『20』のリハをやってたんだよね。だから今回はアルバム完成と同時っていうよりは、むしろツアーをやることによって『Butterflies』というアルバムを理解していったような、そんな感じはしますね。これはWILLPOLISとかのツアーも含めての話なんだけど、とにかくずーっと続いている感じはここ数年あって。その流れの中でアルバムも出てきたものだし、その流れでライヴもやっているし。でも、アルバムができて間が空いて、客観的に聴くっていう感じは、いつもあるんですけど今回はそうじゃなくて。作って出すことが決まっていて、ツアーも始まって……みたいな感じで、アルバムと距離を置かずにいて。曲を理解するっていうのは、レコーディング作業の時に散々やっているんですけど、そこに別の方向から光を当てたりする作業がライヴでは必要で。そういうことを、間を空けずにずーっとやってきた気がします」

■忙しくてずっと聴けなかった『Butterflies』は……。

升「忙しくて聴けなかったわけではなくて(笑)。聴いてはいると思うんだけど、整理できなかったんだよね。完成してからちょっとでも空白の時間があると、凄く客観的になれるというか。アルバムを単純に作品として見れるんだけど、今回はそれがあんまりなくて。ライヴではこれをどうしようか?っていう頭が常にあったから、そこがいつもと違うところかな。もちろん、聴いてはいるんです。だけど、どうしてもライヴでここをどう表現しようかな?っていう頭になっちゃう感じがしてました。だから現実的にライヴとアルバムが一体化していった」

■そして、そのツアーを経て、今はどうですか?

升「やったからよりわかるんですけど、共有していて嬉しい曲だったり、凄くいい曲がいっぱい入っているアルバムだなっていうふうに思います」

■チャマは?

直井「今年、一番デカかったのが『20』で。それは自分達でやりたい!って言ったライヴだからなんですよね、20周年記念で。ここでは、昔の曲から今の曲までまんべんなくやったんですけど。昔の曲とか、初めてやる曲もあって、構築し直すレベルでやらなきゃいけない曲が多かったので、4人でたくさんリハに入ったんですよ。『Butterflies』を作っている時は、4人でリハに入る暇があんまりなくて。フジくんが曲を作って、俺ら3人がリハに入って、そこに深夜にフジくんが合流して……とか、そういう結構濃密な時間だったんだけど。『20』のライヴの時、4人でライヴでやる曲を構築し直すみたいな。アレンジし直すっていうより、昔やっていたアレンジをちゃんと今できるグルーヴでやるっていうチャレンジだったんですけど。そうやって音を出している時に気づけたのが、昔よりも音に対して気づけることが増えているし、反応速度が上がっていたっていうことだったんです。NHKの『SONGS』に出る時とかも、あれって本当に一発撮りなんですよ。超緊張するんですよ(笑)」

■(笑)。

直井「ただでさえ、4人ともテレビ苦手だし、でもやっぱりNHKのスタッフさんとかは……もう本っ当にたくさんのカメラだったよね?」

藤原「すっげぇたくさんあったな、あの時は」

直井「もう僕らにはもったいないようなセットを作ってやってくださるから。やっぱりこっちもちゃんとやりたいですからね。そのリハもやったりとか。で、次はツアーに向けてのリハに明け暮れ……。『Butterflies』のアルバムの話に戻りますけど、このアルバムは、4人のグルーヴの持っていき方みたいなものを、よりシンプルにわかりやすく教えてくれたと今思っていて。『Butterflies』ができた時も、これは1曲1曲が持っているグルーヴのわかりやすいアルバムだなと思っていたんですけど、今回期せずして、『STADIUM TOUR 2016“BFLY”』はまったく同じセットリストだったわけですけど、そこで繰り返し演奏することで、レコーディングでは表現できなかった新たな側面が見れたりして。今思うことは、『Butterflies』ってグルーヴィなアルバムだったなって。4人はずーっとBUMP OF CHICKENの楽曲が好きで音楽をやっているんですけど、それが深まっているっていうのかなぁ。それがずっと続いているはずなんですけど、全然終わらないなっていう感じですかね。前よりも確実に、4人が確実に音楽に対して、BUMP OF CHICKENに対して深くなっているなっていうか。BUMP OF CHICKENでいるっていうことですよね。BUMP OF CHICKENとしての『Butterflies』を鳴らすっていう。今年が20周年なんですけど、この年に『Butterflies』っていうアルバムができて本当によかったなって思ってます。本当に当たり前のことを何度も言いますけど、僕らは楽曲がないと、何にもないので。あの忙しい中、あのスケジュールの中で、(楽曲を)生んだ藤原基央すげぇなって。そう思ってますね」

(続きは本誌をチェック!

text by鹿野 淳

『MUSICA1月号 Vol.117』