MAN WITH A MISSION、
シングル『Dead End in Tokyo』完成。
世界に挑む切符を手にしたオオカミたちの現在
何カ新シイモノヲ作ル時ニ、自分ノ今マデノ理論ヤ方程式ヲ
引ッ提ゲテ臨ンデハイルンデスケド、ヤハリ何カ異質ナモノヲ
目ノ前ニシナイト、元々自分ガ持ッテイルモノヲ見返サナイ。
ソノ意味デ、我々ハ凄クイイ経験ヲサセテモラッテイマス
(前半略)
■まずは表題曲である“Dead End in Tokyo”は、なんとFall Out Boyのパトリック・スタンプと一緒に制作をしていて。こんな大プロジェクト、一体いつ作っていたんですか?
「実際に向こうに渡ったのは2015年冬だったと思います。『Seven Deadly Sins』でドン・ギルモアとやったのもそうですけど、様々なプロデューサーやアーティストとコライト(共作)することで刺激を受けるっていうことに僕らはずっと興味がありまして。で、アメリカのEPIC(全米メジャーレーベル。今回の“Dead End in Tokyo”は、EPICから全米リリース)にもいろいろ協力してもらってそれを形にしていってるんですけど」
■それこそ、現状まだリリースされていないものの中にも、海外の方と共同で制作している楽曲も複数あると聞いています。
「そうなんです。で、Fall Out Boyに関しては、前々からその候補リストに挙げさせていただいてたんですよね。今回改めて話をしたところ、彼のほうからも是非やってみたいというお返事をいただきまして」
■もちろんFall Out Boyに音楽的なシンパシーを抱いてらっしゃるとは思うんですが、パトリックとやりたいと思った理由はなんだったんですか。
「自分達が聴いてた音楽と近いっていうことだけでなく、自分達のルーツと時代というものを凄くクロスオーヴァーさせているという点で、非常に共感を抱いておりまして。決して90年代の音楽に止まることなく、そのよさを彼らなりに進化させている、しかもそれをあの規模でやり遂げて、世界中で普遍的なものとして受け入れられているという……90年代とか80年代って、モンスターじみた成功を収めているバンド達がたくさんいたじゃないですか。それはセールスだけではなく、立ち位置としても、当時はロックバンドというものがまだもの凄い位置を誇っていた時代でしたし。で、僕のイメージでは、彼らは2000年代最後のスタジアムロックバンドと言いますか、Fall Out Boy以降そういう巨大なバンドは出てきていないと思っていて。そう考えていくと、やはり彼らの存在というのは、我々がこれからロックバンドとして成し遂げていきたいことを考えると切っても切り離せない存在ですし、言ってみればひとつの到達点ではあると思うわけです。なので、ぜひ一緒に制作をしてみたいと考えていたんですよね」
■実際、パトリックとの制作はどのようなものだったんですか。
「まず僕とKamikaze Boyの2匹でロスに渡りまして、2~3週間いろいろ話して曲作りしたりをやりまして。その後は、お互いにデータのやり取りをしながら詰めていったという感じでしたね。ただ、正直言うと、今まで僕らがやってきた外側のエッセンスの受け入れ方と比べて、その血肉のつけ方が異質な楽曲だなと思っておりまして」
■それはどういう意味合いで?
「そもそも、まずカウンセリングから始まったんですよ(笑)」
■えっ! カウンセリング!? パトリックによる狼のカウンセリング!?
「はい(笑)。お医者さんであるパトリック先生による、我々のカウンセリングから曲作りが始まったんです。そういう作り方は、他にもアメリカの方々と制作をさせていただいてますが、初めてで。つまり歌詞なんですよ、彼が一番フォーカスを当てているのは。しかもその歌詞っていうのは具体的な言葉のテクニック云々というよりも、作曲者がどういう生き方をしてきたか、どういうふうに育ってどういう世界観を自分の中に持っているのかっていうところなんですね。それを理解するために、我々が今まで人生の中で経験してきた衝撃的なことなんかをいろいろと質問されまして。で、パトリック先生が『ワーオ、それは凄くいい経験だね』とかなんとか言ったりしながら、まさにお医者さんのようにカルテを綴って行くという」
■へー! それはめちゃくちゃ興味深いですね。
「僕も本当に面白かったですね。まぁKamikaze Boyは話せないのでひたすら書いていて、それは大変そうでしたけど(笑)」
■はははははははははははは。
「『一体なんなんだ、この作り方は!?』と思いながら、いろいろ答えていったわけですけど、でも、実は凄く理に適ってるなと思うんですよ。理論的に音楽を分析する方からしたらバカバカしい話なのかもしれないですけど、ただ、発信している人の固有の背景から楽曲が生まれてくるっていうのは当たり前なことだと思うので。そう考えると、楽曲を一緒に作るとなった時に、その背景を他者である相手(この場合はパトリック)がちゃんと共有するっていうのは非常に理に適った方法なのではないか、と」
(続きは本誌をチェック!)
text by有泉智子