Posted on 2017.02.16 by MUSICA編集部

UVERworld、シングル『一滴の影響』ドロップ!
その生粋の真性ヒーローたる所以を垣間見る

お金あったらなんでも好きなもん食べれるし、
お金あったら好きな楽器、好きな環境で録れるけど、
その代わりいいもんを見抜く力がなくなっていきそうな気がする。
そこでしっかりといいものをチョイスできる能力が欲しい

『MUSICA 3月号 Vol.119』P.44より掲載

 

■今はレコーディングがずっと続いている状況なんですか? 今回、夏以来(2016年9月号)の取材ですけど。

「今年はありがたいことにUVERworldを聴いたことない人達に届けるチャンスが頭からいろいろ訪れていて。そのための新しい曲を今、作っています」

■UVERworldって基本1年間スタジオにいて、それはアルバムという終着点への終わりなき旅を、ある意味ミニマルに続けているっていうイメージがあるんですけど、去年くらいからライヴでもいろんなことをやったり、今回のように、2曲目とかはかなりタイアップ先(映画『新宿スワンⅡ』。2000年代初頭の歌舞伎町を舞台に、歌舞伎町の裏社会を描いた人気漫画の映画化2作目の挿入歌)に寄っていった作品だと思うし、外に特攻していっているイメージがあるんですよね。それはどういう気持ちの表れなんですか?

「……昔はですね、タイアップがもの凄く苦手だったんですよ。クライアントさんからのオーダーに答えていくのが凄く苦手だったんですね。そういう大きな流れに反発している時期とかもありましたし……でも最近凄く自分達に自信がついてきたのもあるし、言われたことにきちんと応えられる能力とかもついてきて。最近曲を作る時、僕は写真とか動画とかを見ながら作るんですよ。それこそ“ALL ALONE”やったら、曲を作るパソコンの隣にもう1台パソコンを置いて、YouTubeで『東京、夜景』とかって検索して30分とか1時間くらい東京の夜景の映像を見ながら曲の世界観に合うものを作っていくっていうのが結構楽しくて。クライアントさんから受けるオーダーを動画に置き換えて、元々自分になかった世界観で曲づくりをするっていうのを楽しんでいる感じですね」

■今回、“一滴の影響”に関しては久しぶりといってもいいくらい、自分の中の必殺技を出してきたって思ったんですけど。

「ですよね。ファンの人達は今までのUVERworldらしい楽曲が久々にきたっていうので喜んでくれてますし、僕達もそんな感じですね。ずっと僕達を応援してくれている人達はこういう曲好きだろうなとか、作りながら思ってて。僕達はそれに対して奇を衒ってアレンジを難しくしたりせずにストレートに作りましたね。この曲もタイアップなんですけど、オケは彰(G)が作ってきたもので、詞の内容が去年のイナズマロックフェス(2016年のイナズマロックフェスは2日目の中盤から会場付近で落雷が確認され公演中止となった)でUVERworld、MAN WITH A MISSION、T.M.Revolutionが大雨で出られなかったんですね。で、それを僕2日くらい引きずってて、気分がどよーんって落ちていたんです」

■出られなくて悔しかった?

「悔しかったっすね。友達いっぱい観に来てくれてたし、何よりも地元だし。雨でびっしょびしょになりながらUVERworldのタオルかけてTシャツ着て待っててくれている人達が結局ライヴ観れずに帰っていく姿を眺めながら、『……うわぁ、僕ら滋賀県に何しに来たんやろう』って。ライヴしていたバンドが観られたのは楽しかったですけど、なんとも言えへん悔しさっていうか悲しさっていうか……天気なんて責めようもないし、ましてや西川さん(TMR、このフェスのオーガナイザー)も責めれへんし、っていうより西川さんが一番落ち込んではったし(笑)。こういう怒りってどこにぶつけるべきかな、でもみんな同じ気持ちでいるやろなって思うと、悲しみとか悔しさを消化せずに引きずっていくのはただ立ち止まるだけで、それをしっかりと受け止めて一歩前に進んでいかないといけないなって思ったんです。そうしたら『今回は誰のせいにしよう?』って思った時に、僕は前向きに消化するっていう意味で『自分のせいにしよう』と思ったんですよ。(運を)持ってる人は持ってますから、持ってる人がステージに出た瞬間に、雨だったのに突然晴れたりするやないですか? そういう意味ではまだ自分は持ってなかったなぁ、自分がいけなかったんだなあって。こういうこと言うと精神的な話のようになりますけど、もうちょっと細かい部分で努力なり積んでいけばそういう男になれるみたいな感じで『1回自分のせいにしよう、これで俺、なんとなく気が済むわ』って思って」

■それは今回の歌詞を考えている時と、タイミングがドッキングしたの?

「そうなんです。ちょうど落ち込んでいる時に歌詞を書かなければいけなくて。で、雨に打たれているファンの人達が『これ(イナズマロックフェスの中止に対して)誰を責めればいいんやろう?』って思った時に、『今回はもう、全部俺のせいにしろ!』みたいな歌詞が出てきたんです。というか、そういう歌詞を書きたいって思って。で、実家から駅に向かって歩いてる時にサビの部分の歌詞がぶわーって出てきて、速攻携帯にメモして。マネージャーに電話して『曲できるからすぐスタジオ取ってくれ』って言って、メロディもなんとなく歌いながら形になってたんで、すぐに東京のスタジオ取ってもらって。2時間半くらいいろんなイメージしながら戻るんですけど、スタジオ着いてギター弾いて歌った時に世界観————コード進行とメロディの世界観が広げきれてなくて、『うわ、なんか違うな』って再度なっちゃったんです。今回、この曲を俺の手グセとメロディグセでやるのはちょっと違うなって思って、そのまま1回また放ったんですけど。そこで彰がこの曲のオケを持ってきた時に————『青の祓魔師』ってアニメのタイアップなんですけど、僕らこれの主題歌担当するのは3回目なので、ずいぶん内容も知ってて――あの世界観に合うなぁって思って、その新しいトラックに歌詞を乗せながらメロディ詰めていったら、それがズバッとハマった感じですね」

(続きは本誌をチェック!

text by鹿野 淳

『MUSICA3月号 Vol.119』