Posted on 2017.03.15 by MUSICA編集部

エレファントカシマシ、デビュー30周年に到達!
念願のメンバー全員取材で、その軌跡を解く

運命的な出会いって言っちゃうと口幅ったいけど(笑)、
他に言いようがない関係だと思う。
何かをやろうと思って集まったわけじゃなくて、
自然発生で仲よくなってるだけなんだよね。
それが30年以上バンドをやっている……
やっぱり音楽を超えた何かを感じますよね(宮本)

『MUSICA 4月号 Vol.120』P.30より掲載

 

■バンドがデビューから30年続くというのはなかなかない、本当にもの凄いことなんですけど。まずは宮本さん、ご自分の中ではどれくらい凄いことだという実感を持ってらっしゃいますか?

宮本浩次(Vo&G)「いやぁ…………まぁ凄いかどうかは置いておいてですね、僕らは長い時間やってきたんだっていうことを、しみじみと思う瞬間は前よりも増えましたね。たとえば6枚目の『奴隷天国』(1993年リリース)を出した時に、赤羽のリハスタでリハーサル終わった後に4人で喫茶店に行って、そこでみんなで有線放送でヒット曲を聴きながら、なんで『奴隷天国』は売れないんだろうって――まぁ『奴隷天国』ってアルバムを出しておいてなんで売れないんだろう?って悩むのもどうかと思うんだけどさ(笑)。でも、その時は年齢はまだ25~26歳だったですけど、(EPICとの)契約が切れる寸前で、凄い焦りと八方塞がりな感じがあって……でも現段階、今こうやって鹿野さんとインタヴューをしている2017年2月の中旬の段階では、当時と比べると、僕らが長くバンドを続けているということを、僕達よりもむしろファンのみんなやレコード会社、事務所のみんなが温かく受け止めてくれているように感じられて。そういうところで、非常にしみじみと思うことはありますね」

■3人は、デビュー30周年ということに対してどう感じますか。

石森敏行(G)「嬉しいですね。凄く嬉しいです。貴重な経験をしてきたなと思うんですけれども、その積み重ねがあっての今の嬉しさだと思います」

冨永義之(Dr)「ちゃんと今もこうやってコンサートをしたり、CDを出したりできているということが、何より嬉しいですよね。やっぱり昔はあんまり先のことを想像してなかったですし。でも今こうやって4人がちゃんといるというか、存在しているっていうことにも喜びを感じますし」

■それこそ近年は体調を壊されたりもしましたけど、でも回復して――。

冨永「はい、たぶんそういうことがあったことも大きいと思います」

■その上で、今も相変わらず3時間を超えるコンサートも叩けてしまうご自分というのを、どう思ってますか?

冨永「いや、そこは何も思ってないです(笑)。やるしかないですから」

■成ちゃんはどうですか?

高緑成治(B)「自分の中では、この30年っていうのは単純に日々の積み重ね、1年1年の積み重ねっていうことだと思ってるんですけど。でも、みんながお祝いしてくれることに対しては、凄くありがたいなっていう気持ちがあります」

■昔から、ここまで長くバンドをやるということを想像していたり、あるいは願っていた部分はあるんですか?

高緑「いやぁ、考えてもなかったですね。最初のうちはただただバンドが好きで、だからやりたいと思ってただけなんで、先のことなんて全然考えてなかったです。だから改めて30年ってことを考えると、これは凄いことなんだなっていうふうに自分でも思いますね」

■たとえば、続けてくる中で、「ここまで続けたんだから、もっと長くやりたいな」というように先のことを考え始めた時期はあったりしたんですか。

高緑「うーん………いや、先のことは全然考えてこなかったですね。体が動く限りできたらいいなと思うことは今もありますけど」

冨永「もちろん長くできたらいいとは思ってましたけど、でも具体的にどうなりたいみたいなことはわからなかったよね」

宮本「まぁ長く続けてこれた理由はいろいろあると思うんですけどね。でも長く続く人達って、友達から始まってる人達が多いよね。ゆずも幼稚園の頃から一緒だったらしいし、それこそミック・ジャガーとキース・リチャーズも昔から仲よしだったりとか。で、僕らもそういう、運命的な出会いって言っちゃうとちょっと口幅ったいけど(笑)、でもやっぱり他に言いようがない関係だと思うんですよ。僕とトミとイシくんは(中学の)1年6組の同級生で、トミと成ちゃんは高校の友達なわけでさ。それって別に何かをやろうと思って集まったわけじゃなくて、自然発生で仲よくなってるだけなんだよね。でもそれが、結果としてこうやって30年以上一緒にバンドをやっているという……そういうところに、やっぱり音楽を超えた何かを感じますよね。僕とイシくんは中学の始業式の日に一緒に帰ってるわけですけど、つまりイシくんとトミとは12歳の時からもう38年の付き合いになるわけですよ。で、成ちゃんとも18、19の頃から知り合いだから、30年以上の付き合いになるわけで………だから、何故エレファントカシマシがここまで続いたのかってことを考えると、まずひとつにはそうやって自然に出会ってることが大きい。で、かつ、僕が歌うことが大好きで、しかも筋金入りのバンドマンであるっていうことも大きい。バンドマンっていう言葉はあんまり好きじゃないんだけどさ、でも、僕は骨の髄までバンドマンなんだなっていうことは凄くしみじみと思うわけです。これは最近になって特によく思う。たとえばThe Rolling Stonesの最近出たブルースのニューアルバムを聴くと、ミック・ジャガーとキース・リチャーズとチャーリー・ワッツが一緒にやっている、その音がしてるんですよね。ベックはどんなバンドとやってもソロワークだし、プリンスも本当に素晴らしいバンドとやってたけど、結局はソロワークだなと思うんです。でもストーンズはバンドの音がするんですよね。リハーサルの空気が聴こえてくるっていうか。それはSigur Rosの若い頃のアルバムもそうだし、U2もそうだし、Radioheadの新しいレコードもまさにそうだったし。ナイジェル・ゴドリッチっていう同じプロデューサーがいても、トム・ヨークのソロとRadioheadのレコードではまったく違うわけです。そういう、筋金入りのバンドマン達のレコードっていうものがあって……で、エレファントカシマシのレコードもそういうものだし、僕もやっぱりバンドマンなんだなって思う。バンドマンであるからこそ、この人達と一緒にやることで自分の最大限の力を発揮できてるんだなっていうのは常に思いますね。いい緊張感もなぁなぁな部分も全部引っ括めて、自分のいいところをこの人達と一緒にやることで出せてるっていう」

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text by鹿野 淳

『MUSICA4月号 Vol.120』