Posted on 2017.03.15 by MUSICA編集部

KEYTALK、アルバム『PARADISE』リリース!
彼らが掴み取った新たな核を、
首藤&八木、寺中&小野のタッグ取材で紐解く

自分の道を自分で見つけたっていうよりは、
他の3人のことがわかってきたんですよね。
どうしても誰もいないスペースがあるはずなんで、
そこに自分が収まれたらいいなって思って(首藤)

『MUSICA 4月号 Vol.120』P.42より掲載

 

Interview 1

首藤義勝×八木優樹

 

■前作の『HOT!』を上回るぐらいの音楽的なチャレンジを果たされていると思うし、それがちゃんと「今のKEYTALK」っていうアップデートされた形で表されたアルバムだなと思いました。ご自分達では、どんなアルバムに仕上がったなと思いますか?

首藤「確かに前作より自由度が高まったなっていう印象はあります。4人が作曲するっていう前提はありつつ、4者4様のやりたいこととか自分的にアツいと思ってる音楽を詰め込めたアルバムだなって思ってますね。それはメンバーそれぞれライヴをやったり、シングルを出していく中で、経験値が増えていったっていうのもあると思うし、それがこのタイミングで4人同時にドカンッ!とアウトプットできたんじゃないかなって。一見バラバラになりそうだったんですけど、でもひとつのアルバムに向かって作っていったし、それを今のモードに落とし込めたかなって思います」

八木「2016年って、かなりレコーディングが多かった年で。曲作ってすぐレコーディングして、また曲作って……っていう繰り返しだったんですよね。そうやってライヴして、すぐレコーディングに入ることで、新鮮さを損なわずに、クリエイティヴな気持ちでレコーディングに臨めたのが、『PARADISE』に繋がってるのかなと思います。………僕は、今回のモード的には、速くて切迫感がある感じというか、『うわー、どうしよう』みたいなものが出てきたのかなっていう気がします。最近曲を作ってきてわかってきた自分の持ち味を若干意図的に使って作ってみた上で、KEYTALKのロックを引き出せる曲を作りたいなって思ったって感じです」

首藤「僕は今回、きっちりコンセプトを考えて臨んだわけではないんですけど、個人的にはポップな感じというか、バンドサウンドでカッコいい!みたいな路線よりは、歌モノとしてメロディが綺麗な曲を書こうと意識して作ってて。そこにプラス要素として――“Summer Venus”とかは特にそうなんですけど、面白要素みたいなものを足していったりして。自分としては、平たく言うとポップ担当って感じです。まぁみんなポップではあるんですけど、僕は明るいほうの『ポップ』っていう感じというか」

■“Summer Venus”は本当にそうなんですけど、中盤で急に入ってくるEDMの部分に表れている通り、このバンドの遊び心とポップス性が一体となっている曲で。これまでのKEYTALKで言うと、“YURAMEKI SUMMER”や“MONSTER DANCE”みたいなミックス感があるんですけど、でも今回はより振り切った形でアップデートされた曲になっていますよね。

首藤「1曲こういう曲欲しいなっていうのはあったんですよね。それはライヴのことを考えてっていうところが大きくて。実際、過去にそういう意図で作った“YURAMEKI SUMMER”とか“MONSTER DANCE”とかをお客さんが面白いと思ってくれたんで………そういう上手く行った例によって今回もこういう曲ができたんで、それが自信に繋がったところはあると思います。だから、今回はより『面白い、楽しい』っていうものに注ぐエネルギーをよりデカくやれたかなって思ってて。……今思い返すと、“YURAMEKI SUMMER”は楽しいパーティチューンを作ろうと思って作ったんですけど、どこかでちゃんとした楽曲を作らなきゃ、ちゃんとバンドとして成立する楽曲を作らなきゃっていう縛りがあった気がしていて。でも今回は、単純にただただ面白いことをやろうっていうイメージで作れたんですよね。途中でEDMにガラッと変わるところとかも、考え的にはロックとEDMを融合したら面白いよねっていう音楽的な発想じゃなくて、単に『面白かったらいいや』みたいなイメージで作れたのはよかったのかなって思ってますね。お客さんが一聴して『面白い』って思う感覚って、自分の感覚とは微妙に違うと思うんですけど、そこの壁をなくしていきたいと思っていて。まず、お客さんが『KEYTALKがなんかやってる。面白いな』って思ってくれて、結果自分達でもお客さんが楽しんでくれてて、俺らも楽しいなっていうキャッチボールができるのが、こういう曲に関しては理想かなと思うんですよね」

■前作の『HOT!』で初めて同期や打ち込みを入れていって、それが前回のタイミングではある種挑戦だったと思うんですよね。そこで自信がついたっていうのもあります?

首藤「そうですね。それによって今回は如実に振り切れたというか。打ち込みとかバンドサウンド以外の音を入れようっていうのも、考え方的にはその都度その都度いいものは入れちゃえ!みたいな感じではあるんですけど。たぶんそれは僕だけじゃなくて、メンバーみんな一緒の考えだと思います。たとえば武正だったら、今までは考えられなかったけど、今回は『巨匠がラップしたら面白いよね』みたいな発想もあったし。僕が同期とかシーケンスを入れる発想も、それと一緒なんじゃないかなと思います」

(続きは本誌をチェック!

text by池上麻衣

『MUSICA4月号 Vol.120』