東京スカパラダイスオーケストラ、
20枚目の新作『Paradise Has NO BORDER』発表!
鮮烈な衝動を打ち鳴らす本作を9人で語る
黄金期は迎えたいですよ。それは毎日考えてる。
もちろん若い子達の反骨精神から
新しいポップスが生まれてくるものだし、それは当たり前のことなんだけど、
僕らの中にある「変わりたい」という気持ちは、
若い子達と同じだと思う(加藤)
■もの凄い歴史ともの凄い男気を感じるアルバムで、本当に素晴らしい楽曲を刻み続けたこの2年間が凝縮されていると思いました。まずは恒例の9人インタヴューの儀式として、このアルバムへの想いをおひとりずつ語っていただければと思います。
GAMO(Tenor sax)「いつもなら『アルバム作るぞ!』っていうことでシングルを刻みながらリリースしていって、最後にアルバムドカン!みたいな感じだったんですけど、2年前の武道館(「Live at Budokan ~The Last~」)以降、もっと自由にやりたいようにやろうってことになって。結果的にここまでの歩みがこのアルバムに詰まってるなっていう感じがしますね。今までとちょっと違う感じというか、やりたい人とやりたいことをやりつつ、でき上がったアルバムと言いますか」
沖祐市(Key)「僕も2010年以降ぐらいのスカパラをようやくここで作ることができたのかなと思ってます。『The Last』の武道館ライヴとアルバムの後って全然先が見えてなくて、何があるのか全然わからなかったんです。でも、年下のバンドとかアーティストと交流してる中で、自分達のことも見据えることができたし、そこを今回のアルバムでブレイクスルーできたのかなって気がしてて。……90年代からずっとスカパラをやってる中で、やっぱり時代の雰囲気とか音楽業界も凄く変わってきたと思うんですよ。インターネットも出てきたし、世界情勢で言うとテロとか、日本で言うと大地震があったり、原発事故があったりしたところで、2011年とかは言葉にするところでも、言葉にならないところでもみんな共感するところがあると思うんですよね。そういう意味でも、スカパラがみんなの前で演奏をしてる時に感じてることを谷中が言葉にしてくれたりして、一つひとつ育んできたことが今、また見えてきたなっていう感じなんです」
川上つよし(B)「やっぱり20年以上やってくると、どうしても『新曲をやって、そこにまた流し込んで終わり』っていうフォーマットになっちゃいがちなんですけど、今回はそれを否定して、あえて壊していって、今までのフォーマットじゃないもので、一番妥協しないで作ったアルバムだなと思っていて。20枚目だと、そんな簡単に新しいものが出てこないはずなんですけど、新しいチャレンジがいっぱいできたアルバムだなと思ってます」
大森はじめ(Percussion)「僕は、愛がいっぱい詰まったアルバムになったなと思っていて。9人以外の人達の愛を凄く感じたんですよ。みんなコラボレートを快く引き受けてくれましたし、そこで男気を見たりして。コラボしてくれたミュージシャンのみならず、エンジニアさんとかスタッフの愛も凄く入ってるんで。そういう意味でも、愛溢れるアルバムになったんじゃないかと思いますね」
■それは、「東京音楽シーン1のジゴロ」と呼ばれている大森さんでも――。
全員「あはははははははははははははは!」
大森「そんなこと言われてましたっけ!?(笑)」
■はい。そういう大森さん達が、何故愛を溢れさせることができたんでしょう?
大森「なんでしょうね? でも、スカパラの魅力って凄いなって思うんですよ。1週間ぐらい前に掃除してたら、たまたま片平里菜ちゃんの手紙が出てきたんです。それはちょうどシングルを発売する前にもらった手紙なんですけど。あ、僕だけじゃないですよ? みんなもらってたんですけど」
川上「あれ? もらってたっけ?(笑)」
大森「いやいやいや、もらったって!(笑)」
加藤隆志(G)「GAMOさん(作曲者)だけかと思ってた(笑)」
GAMO「はははははははは」
大森「その手紙に凄く愛のある言葉が書いてあって、凄く嬉しかったんですよ。そういうのを見て、みんなの愛を感じるなと。東京1のジゴロだとはあくまでも思わないですけど(笑)」
茂木欣一(Dr)「僕は、やっと9人体制になってから、本当の最高傑作ができた!って感じかな。それこそ2、3年前に『FOREVER』(『SKA ME FOREVER』)とか『LAST』(『The Last』)とか言ってたけど――さっき川上さんがフォーマットって言ってたけど、たぶん今回はそれまでのフォーマットと決別したかったんだよね。今まではフォーマット化されていたことで、どこか煮え切らない部分があったから」
■それはいつぐらいから?
茂木「9人体制になってからかな。今までもアルバム出す度に『最高傑作』とか言ってきたけど、もっと行けるでしょ!?って、ずっと心の中で思ってたっていうか。今回はそれこそ『NO BORDER』っていう感じで、やっとその壁を壊せたし、その気分を音で示せたなって――」
(続きは本誌をチェック!)
text by鹿野 淳