Posted on 2017.04.15 by MUSICA編集部

RADWIMPS、「Human Bloom Tour 2017」
宮城&名古屋公演をレポート。
さらに、『サイハテアイニ/洗脳』最速レヴュー!

自由に、鮮やかに、そしてとても温かな解放感をもって
僕の心と君の心が有機的に交わり
音楽が大輪の花となって咲き誇る――Human Bloom、満開!!
ツアー前半戦、宮城公演と名古屋公演を体験。
この1年の新たな出会いとコミュニケーションが
RADWIMPSにもたらしたものは、いかにライヴへと結実したのか
そして、早くも届いたニューシングル『サイハテアイニ/洗脳』を聴いた!

『MUSICA 5月号 Vol.121』P.28より掲載

 

「このアルバムは肯定ですね、今までの自分とバンドと人類の肯定。それは間違いない」

 ――本誌201612月号の表紙巻頭特集のインタヴューにおいて洋次郎自身がこう語ったアルバム『人間開花』を掲げてのツアー「RADWIMPS Human Bloom Tour 2017」が、今まさに全国で開花中である。ワンマンツアーとしては3年ぶり、225日のマリンメッセ福岡から510日の日本武道館までを回る12箇所21公演。しかもなんと洋次郎は、この4月からOAが開始されている、テレビ東京とNetflixがタッグを組んで新設された木曜深夜枠ドラマ「木ドラ25」第一弾である『100万円の女たち』に初主演。つまりツアーと初の連ドラ撮影(しかも主演)を完全に平行して行うという、3年前の洋次郎だったら天地がひっくり返ってもあり得なかったであろう、精力的という言葉だけではちょっと説明できないレベルの状況でツアーを回っている。

 

 ツアータイトルに掲げられた『Human Bloom』は、言うまでもなく『人間開花』の英語タイトルであるわけだが、「Bloom」という言葉には、「開花」の他に「輝き」という意味もある。

 ―――人間の輝き。

 RADWIMPSが、時に痛烈に怒り批判し、時に深く悲嘆し絶望しながら、けれど、それでもいつだって信じようとしていたものは、いつだって追い求め最大化しようとしてきたものは、まさにそれだったのではないか。そんなことを自分は『人間開花』の時の記事にも書いたのだけど、今回のツアーは、まさにその輝きを真正面から信じた上で、ステージ上のRADWIMPSもアリーナを埋め尽くす満員のオーディエンスも、その双方が、まるで太陽の陽射しを全身に浴びて咲き誇る向日葵のように、眩い光と歓喜の中で自らの生を解放し大輪の花を咲かせる、そんなライヴを展開している。そこにある肩肘張ることのない抜けのいいあたたかなコミュニケーションと、瑞々しく、ピースフルとさえ言っていい祝祭感は、これまでのRADWIMPSのライヴとは趣の違うものだ。

 ツアー前半戦、326日の宮城・セキスイハイムスーパーアリーナと、41日の名古屋・日本ガイシホールの2本のライヴを体験。まだツアー中なので詳細なセットリストやネタバレ的な演出には言及せず、最新のRADWIMPSを考察していきたいと思う(なお、掲載した写真はすべて宮城公演において撮影したものです)。

 

 今回のツアーは前述した通り3年ぶりのアルバムツアーであると同時に、アリーナクラスになって以降の彼らの歴史の中で、おそらく最も多く「初めて」のオーディエンスが詰めかけるツアーになっている。『君の名は。』の社会現象化によって国民的レベルで再発見され、その強烈な追い風が吹きまくる中、作品性としてもRADWIMPS史上最も開けた、それこそ前述の取材で洋次郎が「ここまで積極的に歩み寄れるのは、たぶん今回だけだと思う」と言ったほど、最も積極的にリスナーという存在に想いを届けようとしたアルバムをリリースするという見事なまでのタイミングの噛み合いっぷりもあって、『人間開花』が大ヒット。さらにはこれまでただの一度も出演することのなかった歌番組はもちろん、紅白歌合戦という場にも出て行ったことで、ここ数年の比ではないレベルで一気に新規ファンが増大したことは明白で。結果、明らかに客席の景色が若返っていた。もちろん以前から、ツアーをやる度に思春期を迎えた新しいファンが入ってきている印象はあったけれど、それにしても若い。印象的だったのが、名古屋のアンコールで洋次郎が「バンドやってる人もたくさんいると思うんだけど――」と呼びかけた時に、1万人規模の会場にも関わらず十数人いたかどうかというくらい、まばらにしか手が挙がらなかったこと。これにはメンバーもびっくりしていたけど、それだけいわゆる「音楽好き」を超えて幅広い層にリーチしたこの1年の彼らの状況を端的に表しているのだと思う。

 

(続きは本誌をチェック!

text by有泉智子

『MUSICA5月号 Vol.121』