Posted on 2017.04.17 by MUSICA編集部

Mrs. GREEN APPLE、
早くもシングル『どこかで日は昇る』を発表!
希望のバラードに秘められた大森の原風景に迫る

ひとつだけ昔と絶対違うのは、
昔は俺のことをわかって欲しいっていう表現として
曲を作ってたんだけど
今はサビに歌詞がないような曲を作るぐらいだから
つまり、今は音楽として存在しようっていうふうになってる。
そこが大きな違いだと思う

『MUSICA 5月号 Vol.121』P.78より掲載

 

 

■このシングルはいつ作ってたんですか?

1月から制作始めて、1月末くらいにはデモとしては納品してたと思う」

■ということは、マジで全然止まってないね。

「そう(笑)。だからアルバムのキャンペーンを周りながらこのシングルを制作してる、みたいな感じでしたね」

■で、そのままツアーに出て。今はちょうどアルバムツアーのライヴハウス編が終わったところでなんですけど、ライヴハウス編はどうでしたか?

「前回のツアーが僕らのターニングポイントになるライヴだなっていうのは思ってたんですけど、あの時に掴み始めた感覚みたいなものをもっとラフに扱えるようになりましたね。だから今、ライヴが凄く楽しくて」

■その掴み始めたものって、言葉にするとどんなことなの?

「あんまり作り込まず、自由に音楽を楽しむみたいな感覚っていうか。ライヴにおいて『こうでなきゃいけない』みたいなことって、僕らもそうだけどお客さんにもあるなと思っていて。たとえば手を挙げてノる文化とかもそうだけど。あれって見た目もわかりやすいし、カラダ的にもわかりやすいんだろうけど、でも、ずっとそればっかりやられる違和感みたいなものがあったんですよね。ビートが違うのに、結果的に同じ体のノリになってしまうのってあんまり音楽的じゃないなと思うんですよ」

■本来はリズムが違えば、自ずとノリも踊り方も変わるものだからね。

「そう、そういう自由に音楽を楽しむ感じにしたかったんです。だから今回はツアーが始まる前から――僕らが周ったのはライヴハウスなんだけど、それをもっとクラブみたいにというか、もっとエンターテインメントな会場にしたいなと思って。来たことない子にとっては、やっぱりライヴハウスってちょっと敷居が高かったりとか、怖いみたいなイメージがあるものだと思うんですよ。薄暗くて、ライヴが始まったらグッと波が起こって。あれだけギュッとなってる空間だから具合悪くなっちゃう子もいたりして、慣れない人にとってはとても恐ろしい場所でもあるなと思ってて」

■それこそミセスのライヴだと、初めてライヴに来る子も凄く多いよね。

「めちゃめちゃ多いですね。今回、各会場半分ぐらいそういう子達でした。ぶっちゃけ、僕自身もあまり得意な環境ではなかったんですよ。自分も『よし!』って気合い入れないとなかなか出られない環境だった部分もあって。語弊があるかもしれないけど、最初の頃はライヴハウスってあまり僕らのフィールドではないなと思っていたし」

■それはどういう意味で?

「やっぱりアリーナでやりたいって思ってたから、そのための段階としてライヴハウスから始めていった感じだったので。だからアリーナとかホールだったら当時からいくらでもイメージが湧いてたんですけど、ライヴハウスってまったくイメージが湧かなかったんです。……だから今回は、まず自分がライヴハウスをいい環境にできないかなっていうところから始まったかな。ライヴハウスに今まであった概念みたいな、常識みたいなものを1回ここで変えたいなっていう話をしたんですよね。それでLEDのチューブみたいなものをライヴハウス全体に飾ったりして。要は、ライヴハウスなんだけどライヴハウスじゃないみたいな環境作りから始まって。で、お客さんにもまずMCで自由でいいんですよっていう話をして。知らない人が横にいるかもしれないけど、同じアーティストを聴きに来てるんだから、みんな自由に、好きにノレばいいんですよって話して。ツアーでやってる新曲があるんですけど、それがディスコ調というか、エレクトロなダンスミュージックの曲で、しかもサビはひたすら<Whoo>しか言ってない曲なんですよ。サビに歌詞がないっていう」

■ほー! 元貴くんがそういう曲を作るのは珍しいね。

「初めて(笑)。今まで僕らは歌詞をいっぱい紡いで、それをどういうふうに落とし込むかっていうことをやってきたバンドなんだけど、まったくそういうことをしないで、本当に音像だけで感じる曲をやってて。ライヴでそういうのが1曲あっても面白いのかなと思って作ったんですけど。音だけでまずノる文化っていうのは割と日本人は苦手だなと思うので、だから敢えてそういう曲をやって、変えていきたいなと思ったんですよね。で、その曲でキーボードの涼ちゃん(藤澤涼架)をフロアに突っ込んで、涼ちゃんはお客さんと一緒に踊るっていう(笑)。だから今回のツアーは今までのライヴでは観たことのない光景になっていたかなと思います」

■そういうふうにしていったことによって、自分がステージで音を鳴らしてる感覚だったり歌ってる感覚も違うの?

「全然違いますね。今までよりもとても自由です。だからすごく伸び伸びしてると思うし、楽しいです」

■今までよりも音楽を一緒に楽しむことができる場になってると。

「まさにそうだと思います。あと、僕らの自覚としても、まず楽器を演奏して音楽を鳴らす人達だっていう――当たり前のことなんだけど、そこが今まで全然強くなかったんで。そもそも、そこを補おうと思ってある程度エンタメにいった部分もあったし――」

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text by有泉智子

『MUSICA5月号 Vol.121』