Posted on 2017.04.17 by MUSICA編集部

ヤバイTシャツ屋さん、
新作『どうぶつえんツアー』をドロップ!
こやまの天性の感覚と狙いを解き明かす

前までは、ダメになったら辞めればいいやって思ってたんですけど、
それはいろんなお客さんに
僕らの音楽を聴いてもらってなかったから言えたことで。
今この状況の中で1年とかで消えるのはダサいやないですか。
だからもう消えたくない

 

■で、今回は4枚目のシングルなんですけど、まぁ今までのシングルはヴィレッジヴァンガード任せなところがあったと思うから――。

「ははははははははははははは、そうです」

■そういう意味ではきっちりとしたシングルとしては初めてのものだし、さらには次なるキックオフのタイミングでもあるわけだけど。まずはどういうことを考えてこのシングルを出すに至ったのか教えてください。

23曲目に関してはいつものノリで作った――自主制作で学生の頃からやってたのと同じ感覚やったんですけど、1曲目はどうしてもプレッシャーを感じてしまって。ほんまに大事な時期――大事な時期っていうか、アルバムをみんなに聴いてもらった後に出す1枚で、ここでヘマしたらヤバいなって思って、ちょっとプレッシャーは感じましたね。それで曲とかも全然できなくって。カップリングやアルバムに入れたい曲だったらいくらでもできたんですけど。“あつまれ!パーティーピーポー”みたいな盛り上がれる、みんなの耳に残るような曲を絶対ここで作らへんとあかん!っていう思いがめちゃめちゃあったんですよ」

■“あつまれ!パーティーピーポー”はそれくらい戦略的にできた曲だったの? それとも直感勝負だったの?

「“パリピ”は直感でしたね。こんなに盛り上がる曲になると思って作ってなかったです(笑)。ほんまに学生時代にヘラヘラしながら作った曲やったんで。でも今回は、それを狙って作らんとあかんと思って……だから今回はちょっと追い込まれましたね。曲のテーマも決まらへんし、初めてのメジャーのシングルの1曲目にふさわしいような曲できへんって思って悩んでたんですけど。そんな時にスタジオでネット見てたら『JCJKに流行るもの一覧』っていうのが上がってて、その中にヤバイTシャツ屋さんが載ってて(笑)。『そうなんや~、知らんことがいっぱいあるな~』って見てたら、その中に『〇〇み』っていう言葉があったんですよ。で、『え、〇〇みって何!?』ってなって(笑)」

■「うれしみ」とか「つらみ」とか言うらしいよね。

「らしいんですよ! 俺、これで1曲絶対できるわって思って言ったら、しばた(ありぼぼ)が『ヤバみ!』って言い出して。なんか、オカマバーかなんかの人が『ヤバみ!』って言ってるらしいんですよ(笑)。そんなん言ったら俺らヤバTやし、『ヤバみ』でイケるわって思って、そっからすぐワー!って出てきて。で、これができ上がりました」

■楽曲的にも隠れたところで高等なことをいろいろやってますよね。冒頭の部分でも、今までやらなかった英詞を入れてたり。

「はい。俺が敢えて英語で歌うっていうボケなんですけど」

■その上でサビで一気にポップになって、歌詞的にもメッセージをしっかり残しつつ、かつラップで韻も踏んでいて。非常に情報量が多い曲なんだけど、何をもってここまでのものが詰め込まれていったんですか?

「とにかく力を出し切りたかったというか、ほんまに特別なものにしたかったんですよ。この曲によってこの後のヤバTの動きが変わるなって思ったんで。だから凄く悩んだんですけど、パッと閃いてからはすぐできましたね。アー写にしろMVにしろ、何かしら裏切らへんとあかんみたいな感じになってて……もちろん僕もそれが楽しいんですけどね。既存のやつと同じことはしたくないっていうのがヤバTらしさやと思ってるんで。だからとにかく何したら面白いかっていったら、パッと聴いた時にヤバTっぽくないってことがまず裏切れるポイントやなって思ったんで、それで(曲の)最初は英語にしようっていうのは決めてて」

■ある意味、自分達の知名度が上がったっていうのを逆利用していった。

「はい。やっぱり“パリピ”しか聴いたことないっていう人も多いと思うんで、ただポップな感じだけじゃなく、ちょっとシリアスというかロックというか……というほうでやることが大事やなって思って。だって、ここでまた“パリピ”路線の曲を出してしまったら、やっぱりそういう感じのバンドなんやなって思われて終わっちゃうやないですか。だからこういう路線で行こうっていうのは最初から決めて、演奏技術的にも今までなかったような、パワーコードだけじゃないリフを入れてみたりして。やけど、サビはいつものヤバTで『よかった、変わってなかった!』って思わせたかったし。かつ、その後の大サビではほんまに思ってること――メッセージ性というか、今までなかったようなことをストレートにぶつけてみたという感じにしてて。……こういうコミカルな感じのバンドって、最初ずっとふざけてるけど、メジャー行って2年、3年してから真面目な曲出したがるじゃないですか。僕らもそう言われるのが嫌やったから、だったらむしろ一番最初にやってしまおうと思って――」

(続きは本誌をチェック!

text by鹿野 淳

『MUSICA5月号 Vol.121』