Posted on 2017.08.17 by MUSICA編集部

10周年を迎えた京都大作戦。10-FEETと、
信頼とリスペクトを交わした盟友達が築いた
10年の軌跡と10周年の軌跡を振り返る!

まさに10-FEETというロックバンドという生き様が、
この国のロックバンド達が闘い築き上げてきた絆と軌跡が、
雷雨のその向こうに奇跡を生み出した3日間――
結成20周年を迎えた10-FEETによる
開催10周年の京都大作戦。この無二のロックフェスを語り尽くす

MUSICA 9月号 Vol.125P.54より掲載

 

有泉「10-FEETの結成20周年でもある今年、めでたく京都大作戦が10周年を迎えました。台風の襲撃によって中止となってしまった2007年から考えると11年目ということになるんですが、あらゆる意味で非常にドラマティックな3日間になりまして。10-FEETというバンドのアティテュードとバンドシップ、そして彼らがこの10年のバンド人生をかけて築いてきたものが表れたメモリアル過ぎるほどメモリアルな10周年になったのではないかと思うんですが」

鹿野「いきなり結果を言うのもあれだけど、数々のフェスが天候によって伝説を作っているんだけど、やはりこの大作戦ほどのドラマを持ち得ているフェスはフジロック含めてないんだなと言うことが今年わかった気がする」

有泉「最初に記した通り、まず台風で中止になった幻の初年度があってからの、さらなる今年のドラマですからね」

鹿野「今でも覚えてる、前日にかかってきた中止を伝えるマネージャーMASAからの電話。何を覚えているかって、声が出てないのよ、MASAの。俺、『え? え!?』って2回聞き返して、やっと明日やらないっていう連絡なんだってわかったぐらい落ち込んでたんだよね。自分はその電話を受けた時、静岡のap bank fesにいたんだけど、apMASAから連絡を受けたその日が同じ台風で中止だったんだよ。でもさ、apのほうは気を取り直して、3日間あるし、どうやら最終日はできそうだから、その日に向けて集中力を高めることも含め、みんなで室内フットサルコートを借りてフットサルをしてたんだよね」

有泉「随分と余裕ですね(笑)」

鹿野「余裕ってわけじゃないんだけど、でもくよくよしてもしょうがないし、3日開催の中でできそうな日があるなら、そこに向けてエネルギー貯めたほうがいいじゃない。そういう経験値が既に数回開催してたap bank fesにはあったんだよね」

有泉「なるほど。でも、片や大作戦は――」

鹿野「そう、京都大作戦は初回でしょ? しかもその中止にした日だけの1日開催。さらに言えば、そもそもは10-FEETのバンド結成10周年を記念しての特別な企画としてのフェスだったわけだから、その日ができなくなったら、もう一巻の終わりに違いないわけで」

有泉「当初は毎年の継続開催を前提にしてたわけじゃなく、1回きりの特別企画でしたしね」

鹿野「だからもう、その落ち込みようは本当にあり得ないようで、まさかここまでのフェスになるとは、そしてその後の彼らの10年間がこんなにも大きなスケールになるとは、あの日には思いませんでした」

有泉「でも、フジロック、ROCK IN JAPAN FES.、そして京都大作戦を例に挙げて巷で言われている『初年度が台風や雨風で中止になるフェスは後に大成する伝説』というのは、その中止になった翌年、つまりは本当に開催した2008年の京都大作戦の初回大成功をもって囁かれるようになったような気がするんですけど」

鹿野「それ、僕もそう思ってる。2008年の感動の開催初回2日間が終わって何週間かして、音楽業界で『京都大作戦って凄かったんだって?』っていう噂と共に、フジロックやROCK IN JAPANの台風中止の時にはまだ囁かれなかった『初回の台風中止からビッグになるフェス伝説』が決定づけられた気がする。それほどまでに2008年の大作戦初回は、感動と圧倒的なパワーがもの凄かったんだよね」

有泉「何がそんなにも凄かったんですか?」

鹿野「10-FEET

有泉「それはもちろんそうでしょうけど……」

鹿野「いや、それに尽きるんですよ、このフェスは。それでいいし、それがいいんだよ。2008年にDragon AshKjと終演後に話していた時に、あいつが決定的な言葉を放ったの」

有泉「それは?」

鹿野「『これは俺にはできない。TAKUMAじゃないと、10-FEETじゃないと絶対に成功できないフェスだ』って。何故ならば、俺らはカッコいいし売れちゃってるけど、あいつらは俺らのようなカッコよさがないし、俺らほどヒット曲を持ってないでしょ? そういうバンドだからこそここまでいいフェスが作れたし、出演者みんなが10-FEETのために凄いライヴをやろうとするんだよ。ってあいつが言ったの」

有泉「隅から隅まで正しい意見ですね」

鹿野「そう。だからね、もう開催初年度からこのフェスは特別なフェスとしてどんどんデカくなるし進化するし話題になるってわかったんだよね、あの2008年を体験した人は」

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text by鹿野 淳×有泉智子

『MUSICA9月号 Vol.125』