Posted on 2017.08.18 by MUSICA編集部

04 Limited Sazabys、シングル『Squall』リリース!
焦燥と渇きを生々しく放出した本作を機に、
再びGENに真っ向から対峙

昔だったら、こんなストレートに歌と言葉を表現するのは怖かった。
だけど歌そのものに感情を純度高く入れなきゃって思ったし、
そこで勝負していくっていう意志が“Squall”なんだなって思います

MUSICA 9月号 Vol.125P.60より掲載

 

1年ぶりに、『Squall』という3曲入りのシングルが出ます。とにもかくにも“Squall”が非常にストレートないい曲で。“monolith”がそうだったように、曲名を作品にも冠するのは、かなりの手応えを感じられてることの表れだと受け取りました。

「言われた通り、“Squall”に凄く手応えがあったので“Squall”に焦点を当てる作品にしたかったんです。これまでのシングルでは4曲入りにこだわってきたし、4曲をひとつの作品としていいものを作ろうって思ってきたんですけど――前のシングルにあたる『AIM』の4曲目に“Give me”っていうハッピーな曲を書けたことで、シングルとしての作品性っていう部分で、なんとなく完結した感があったんですよ。4曲でのバランス感は凄く得意ではありましたけど、それ自体が目的になり過ぎてもどうなんだろう?って思ったし。だから、次は4曲じゃなくてもいいかもなってなんとなく思ってて、そこで“Squall”ができたことで、ちゃんとシングルのリード曲として焦点を当てたいなって思えるような手応えがあったんです」

■その手応えは、この“Squall”のどういう部分に感じたんですか?

「武道館だったり、ハイスタやホルモンとの2マンだったり、認められたなって思えるポイントがこの1年でたくさんあったので、少なくとも自信は前よりついたと思うんですね。だからこそ、シンプルに自分達の持っているものを出せばいいと思えたし、純粋に自分達が出すものに自信が持てるようになったなって実感できた曲なんですよ。前だったらこね繰り回した部分もストレートに行けたのは、やっぱり根本的な自信がついたからで。そこは前に比べての成長だと思うんですよね。だから歌詞も一切ひねくれずに出せて。それが手応えだったし、嬉しかったんです。最低限の言葉で、だけど本当に思っていることをそのまま書き切れた実感があるんですよ」

■楽曲面では、メロディックパンクと同時に2000年代のギターロックを消化してきたフォーリミの特長がそのまま出ているのが“Squall”だと感じて。まず音楽的には、ご自身のどういう部分が出た曲だと思いますか。

「そこは、そんなに自覚的なものがなくて。今言ってもらったような要素も、世代として体感的に消化してきたなって感じで、今回もそれが自然と出てきたものなので、こういうバランスでこの要素を入れよう!とか考えたことはなかったですね。だから、この世代の僕らにとってのストレートっていうのはこういう感じだなって――感覚的なものだと思いますね」

■じゃあ、たとえば、2ビートのメロディックパンク一直線だった“climb”も、凄くストレートな曲と歌だったじゃないですか。それと今回のストレートには、どういう違いがあるんだと思います?

「どっちもストレートだし、感情が凄く正直に乗ってる曲だと思うんですけど――“Squall”のほうが悔しそうな曲だなって思いますね。どちらも悔しさがエネルギーになってる曲だとは思うんですけど、“Squall”は、まさに今順風満帆じゃない僕らだから書けた曲というか、負けの味を知ってる人がそのまま書いた曲っていう感じがするんですよ」

■でも、この1年でHi-STANDARDともマキシマムザホルモンとの対バンもして、夢に見続けたバンド達と同じステージに立てた。YON FESもさらなる定着に向けてちゃんと成功したし、武道館ライヴも即完した。そうやって着実に夢を叶えてきたと思うし、夢を叶えること自体をメッセージとして体現してこられたと思うんです。なのにGENくんが順風満帆じゃないって言うのは、どういう部分に対してなんですか。

「『夢を叶えてきた』って見れば、確かにそうだとは思うんですよ。だけど、そもそも僕らは早くから評価されてきたバンドでもなかったですし、周りを見ると、みんな早くから才能を見抜かれて評価されてた気がするんですね。だけど僕らは、少しずつ仲間が増えてきて、気づいたら先輩にも認められるようになったって感じなので、そもそも全然上手くいかなかった時期の気持ちをずっと持ってるっていう感覚が強いんですよね。なおかつ今は、確かにいい感じになっている面もありますけど、同世代のオーラルやWANIMAの台頭も半端じゃないですし、Suchmosも一気にひっくり返してきたので――僕らとしては、1位になれた記憶がまだ1回もないんです。いつも、誰かの影にいる感じがしちゃいますね。その悔しさがそのまま原動力になって出てきたのが、“Squall”だと思うんですよ」

■たとえばこの1年のGENくんの言葉の中で最も印象的だったのは、武道館での「僕らはみんなの青春になりたいわけじゃない。一生一緒にいたい」っていうMCで。フォーリミの世代には、自分達のワンマンと同時にフェスのステージでも勝ち上がらなくちゃいけない意識があったと思うし、実際、自分達の単独より先に1万人以上のキャパを経験するバンドも多かったと思うんです。で、もちろんそれだけじゃないっていう前提で言うけど、フォーリミも、フェス台頭世代として勝ってきましたよね。その上でのあの武道館ライヴは、フェスでのお客さんの数に自分達のお客さんが追いついた初めての場だったとも言えると思うんです。そこで、一過性の青春で終わらないっていう意志表示をしたのは、誰よりもGENくん自身が新しいタームでの勝負を感じてたからなんだろうなって思ったんですけど――自分では、どういう心持ちであの言葉を放ったんですか。

「うーん……まず、武道館っていうところまで行けたことによって、今はきっと、何をやっても評価してもらえるとは思ったんですよ。どんなものを出していっても、いいね!って言ってくれる人がある程度はいるだろうっていう意味での自信は生まれたんですね。だから、曲を作る上での行き止まりはどんどん減っていったし、具体的に言えば『前出した曲に似てるな』とか、『もっと新しいことしなきゃ!』っていう、自分へのブレーキみたいに作用してた気持ちもあんまりなくなっていって。そういう意味で、自分達なりの直球っていうものに正直になっていくのが次のタームだって思ったのかな。……今までは、毎回新しい武器を見つけなきゃいけないって思い過ぎてたところがあったんですけど、今は、使ったことのある武器も別に使っていいっていうモードになれて。だけどただの焼き増しじゃなくて、武器をさらに研いで使えるようになった感覚なんです。それこそ昔は時代のこととか、『どういう曲、どういう見え方が俺達には必要なんだ?』ってことも考えてたと思うし――」

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text by矢島大地

『MUSICA9月号 Vol.125』