Posted on 2017.10.19 by MUSICA編集部

オリジナル作品としては2年3ヵ月ぶりとなる
新作『UNITY』を発表するORANGE RANGE。
NAOTOとYAMATOがバンドの在り方を語る

たとえば沖縄でエイサーがあったら、みんなゾロゾロ出て来て、
横で一緒にカチャーシーしてたりするんですよ。
音楽ってそういうもんだと思うんですよ。
いろんな壁が邪魔してるけど、本当はそんな壁なんてない

『MUSICA 11月号 Vol.127』P.106より掲載

 

(冒頭略)

■学生の時の感覚と今こうして5人で音楽をしている感覚が凄く地続きだっていう話でもあるんですか?

NAOTO&YAMATO「あ、そうですね」

NAOTO「HIROKIのポジションとかも変わってないよね?」

YAMATO「変わってないね。あいつは昔からオールラウンダーで」

NAOTO「みんなの関係性も役割も全然変わってないかもしれない」

YAMATO「学生の頃のノリがずっと続いてる気がするよね。学生で止まったまま、大人になってると思います」

■それが凄いと思うし、このバンドとこの音楽のひとつの魅力だと思うんですよ。別にずっとインディーズで好き勝手していたわけでもなく、デビューしてすぐにブレイクしてORANGE RANGEってもの自体が凄く巨大なプロジェクトになった瞬間もあったと思うんですけど、でもその中でも変わらない関係性とノリと遊び心を持ったまんま、音楽を続けられてるっていうのは、実は凄いことだなと思いますけどね。

NAOTO「自分達が好きなことしかやってないっていうのもあるよね。それが許されてるというか、受け入れられてるなって感じる安心感みたいなものもあったと思うし。だからますます自由にできるっていうか」

YAMATO「ウチらはずっといい意味でみんなの期待を裏切るってことモットーにして、いろんな幅のある曲をリリースしてきたわけですけど。去年47都道府県を回ったり、その後に追加でアジアにも行かせてもらったりした時に、ウチらの15周年をこんなにも祝ってもらえてるんだとか、こんなにもみんな待っててくれるんだとかって実感して、それが単純に嬉しかったし、改めて自分達がやってきたことが間違いじゃなかったって思えて。だから、この『UNITY』もそうですけど、今後もさらに自分達の好きなように音楽していいんだっていう自信にはなった気がしますね。そういう環境みたいなものも、変わらずにいられる要因なのかなとは思います」

■話をEPに戻すと、2曲目の“チラチラリズム”は、世の中的な意味でのORANGE RANGEという記号性が最も強い音楽性の楽曲で。15周年を経て、“ロコローション”とか“上海ハニー”的な自分達のイメージを確立した曲調を今の形で正面から提示し直すようにも感じました。

NAOTO「これは面白い話で、沖縄ファミリーマートさんから是非一緒にやりましょうってお話をもらって。で、その時に『曲は昔のORANGE RANGEさんみたいな感じで書いてください』って言われたんですよ」

■それはまたストレートに来たね(笑)。

NAOTO「そう、直だな!と思って(笑)。でもそれがよかったんですよ。やっぱりこういう曲って、今の自分達から自然発生的にはできにくいっていうか、どうしても腰が重いっていうか」

■既に一回やってることですからね。

NAOTO「そうそう。こういう曲はもういっぱい持ってるし、それにこういう曲をやるには若さとか体力が要ると勝手に思ってるし(笑)。だから、こういう機会がないとできない曲かなと思って『やります!』って言って。その結果、でき上がってみてよかったですね。逆に新鮮っていうか……こういう曲はたくさんあるんだけど、でも改めて面白かった。楽しかった。やっぱりね、自分達でも、ORANGE RANGEってこういう曲だよねみたいなーーもちろんこれだけじゃないんですけどね、でもそんなイメージはやっぱりあるんですよ。だから、今回こういう曲ができたのも、変な感覚で。セルフカヴァーじゃないですけど、自分達で疑似的にORANGE RANGEをやる、みたいな。それが変な感覚だったし、新鮮でしたね」

■そういうことをやってみた中で、自分達で「これがORANGE RANGE的なものなんだな」とか、「こういうところに強みと個性があったんだ」みたいな再発見もあったりしたんですか。

NAOTO「やっぱリフかな。ちょっとお馬鹿っぽいリフをみんなでやっちゃう、みたいな。あれが代名詞というか、常套句というか」

YAMATO「たぶんみんなが思ってるORANGE RANGEっていうのは、そのリフの部分だったりユニゾンの部分だったり、あとは下ネタだったりすると思うんですよ。実際それをチラッと出しただけでだいぶ雰囲気が変わるし。ただ、今回の“チラチラリズム”は歌詞にひとつも下ネタが入ってないんですよね。だからやっぱりあの頃とは違ってて」

■“チラチラリズム”はちゃんとメッセージがある曲ですよね。<頑なに現状維持はしたくない>とか、<男なら夢共々掴み取ろうぜ>とか、愚直なまでに直球のメッセージが歌われていて。それこそ“上海ハニー”から10年以上経った今、ただはっちゃけててノリよく面白い音楽をやるだけじゃない、今のバンドの姿勢がこういうところに出てるんじゃないかと思います。

YAMATO「そうですね、まさにおっしゃる通りだと思います。沖縄ファミリーマートさんの30周年のタイミングだったんですけど、沖縄ファミリーマートを引っ張っていってる人達ってポジション的には中堅の方が多いんですよ。ベテランでも新人でもないっていう。で、僕達ももう新人ではないし、かと言ってまだベテランの域でもない。そういう意味で、やっていることは違うけど似たような境遇というか、共感することがたくさんあって。その中で、この曲は『自分次第だから』っていうのが、一番伝えたいメッセージとして出てきて……バンドにしても夢を追うことにしても、やめようと思えばいつでもやめられるし、本当に自分達次第だなって思うことがあって。自分達はまだ今でも青春だと思ってるし、むしろ今はもっともっと貪欲にやっていきたいって思ってるんですけど、そういう中で沖縄ファミリーマートの皆さんともたくさん共感する部分があったので。そこで一緒に『もっともっと貪欲に行こうぜ』っていう熱い話をしたのがそのまま歌詞になってますね」

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text by有泉智子

『MUSICA11月号 Vol.127』