Posted on 2017.11.17 by MUSICA編集部

キュウソネコカミ、2年ぶりのフルアルバム
『にゅ~うぇいぶ』到着。オリジナリティの結晶たる
渾身の新作をメンバー全員での全曲解説で解く

言いっ放しですよね。帳尻を合わせてない。俺らは結論を出すより
投げかけてる、「俺達は楽しんでるから、好きにしたら?」みたいな
バンドなんで。そこが思いっ切り出せたのはよかったと思いますね

 

『MUSICA 12月号 Vol.128』P.78より掲載

■アルバムがとにかく最高です。

ヨコタシンノスケ(Key&Vo)「やった!」

■最近、精神的に逼迫してて凄い疲れてるんだけど、これを聴くとめちゃめちゃ笑えるんだよ。

一同「はははははははははははははは!」

■歌詞にしても曲にしても、とにかくキレがいいです。一時期悩んでいたのがウソのように吹っ切れた、これまでの最高傑作と言ってもいいようなアルバムになりましたね。これはもちろん手応えあるでしょ?

ヤマサキセイヤ(Vo&G)「手応え……どうなんやろな? 2年かかってるしな(笑)」

オカザワカズマ(G)「最高傑作って言ってくれはったんですけど、全然そんなつもりで作ってはなくて」

■うん、そういうつもりで作ってるわけじゃない作品だってことも、よくわかる。

一同「ははははははははははははは」

オカザワ「なんですけど、でき上がりを聴いてみたら俺らも『めっちゃいいんじゃん!?』ってなって。化けたって言ったら変ですけど、ナチュラルに作ったのがほんまによかったのかなって思いますね」

カワクボタクロウ(B)「直感で作ってたんで、それがいい方向にしか働いてないんですよ。今まではこねくり回すのに一生懸命で変な力入ってたのが、『俺らってそうじゃなかったよな』ってところに戻ったっていうか。スキルアップはしつつも原点回帰を果たしてる」

ヨコタシンノスケ「キュウソって、元々作り込まないのが正解だったところがあると思ってて。隙があるというか。それがここ最近はちょっと『キュウソネコカミとはこうあるべきだ』とか『今はこうだ!』みたいなことを意識して固くなっちゃってたところがあったんですけど、今回は、そこを考えてる部分もあるけど、でも隙も絶対残してるんで。それによって1曲1曲が棘っぽい感じになったところがあると思う」

■いい意味で言いっ放しな感じがあるよね。

ヨコタ「言いっ放しですよね。帳尻を合わせてない。それって俺らは結構大事なんじゃないかなって思いましたね。結論を出すっていうより投げかけてるバンドだし、『これどう?』っていうよりかは『俺達は楽しんでるから、好きにしたら?』みたいなバンドなんで。そこが思いっ切り出せたのはよかったと思いますね」

■そんなアルバムに『にゅ~うぇいぶ』っていう脱力系タイトルをつけたのは何故なんですか?

ヤマサキ「タイトルは正直めっちゃ悩んで。考えてたのがどれも『ここからやり返すぞ!』感が強い言葉で」

■たとえば?

ヤマサキ「反骨!みたいな。で、最終候補が『反骨青春』やったんです。でも、それで1曲目が“5RATS”やったらお客さんが『重っ!』って思うやろなって思って。プラス、『キュウソってヤバイの? 今しんどいんだ?』って思われそうじゃないですか。それでうーんってなってたんですけど、マジでこの日までに決めてくださいって日にスタジオ入ったら、ほんまに突然『にゅ~うぇいぶ』って言葉が浮かんで。で、これオモロイなってことになって」

ヨコタ「『にゅ〜うぇいぶ』ってタイトルが決まった瞬間に、めっちゃ完成した感があったよね。この余裕がいいんじゃない?みたいな。だって、俺達こういう感覚で作ってたじゃん、みたいな。ちょっと真面目に考え過ぎてたけど、そもそもキュウソってそこじゃないんじゃないかって気づいたというか」

ヤマサキ「元々こんなテンションやったもんな」

■では全曲解説に移る前の締めとして、ソゴウくん、このアルバムをひと言で総括してください。

ソゴウタイスケ(Dr)「え!………最高ですよ(小声)」

オカザワ「声めっちゃ小っちゃい(笑)」

ソゴウ「14曲入ってるんですけど、マジでそれぞれ似てる曲がないんですよね。どの曲も個性あるし、それぞれ構成も音も全然違うし。今までは考え過ぎてた部分があったかもしれないんですけど、それが解放されて溢れ出してる感じがこのアルバムには凄くあると思いますね。自由に楽しく作ったアルバムですね」

01. 5RATS

■ヘヴィかつハードにぶちかます系で。歌詞も含め、魂の雄叫び感のある曲だし、キュウソネコカミっていうロックバンドの真顔の本質剥き出しな1曲目だね。

ヤマサキ「これは共感とかをあんまり求めようとしてなくて、自分達の今の立場で歌ってて。だからファーストアルバムで言う“キュウソネコカミ”みたいな曲っすよね。実際、歌詞の<誰にも負けない生き様ぶちかませ>って“キュウソネコカミ”のサビにあるフレーズと同じにしてて。コードもF#だし、キーも一緒で」

■改めての宣言、みたいなところもあるの?

ヤマサキ「になってしまいましたね(笑)。やっぱ、アルバム出してない2年間で新しいバンドもめっちゃ出てきて、俺達の立場も変わったんで。そうなると、こういう曲が生まれてしまうんですよねぇ。なんでも正直に言っちゃうバンドやから、抜かれてんのに抜かれてないフリするとかできないんですよ。むしろ『抜かれてますよ? でも今頑張ってます!』って表明してしまいたくなるバンドなんで。だからこの曲が生まれたのは俺ら的には必然やったなと思いますね」

カワクボ「まぁぶっちゃけ、また追う立場になってきてるなってことだね。曲に関して言うと、戦隊モノのテーマソングみたいなイメージがあって。なんか、こういうカッコいい感じで決意表明する曲って今までなかったんで、逆にいいなって思いますね。『俺達が5RATSだ! ドーン!』って行けてるの半分、冷静に自分達を見つめてるのが半分で、結構いいバランスだなとは思ったんですけど」

オカザワ「とにかくカッコいい曲にしようと思ってましたよね。“NO MORE~”を出して、面白い感じのやつは既にあったんで、じゃあ“5RATS”はストレートにめちゃくちゃカッコよく行こうってなって。レコーディングする時も『もっとカッコいい音にしたいんですけど』とか言ってましたし(笑)」

■音質だけじゃなく演奏スキルも上がってるから、こういうハードなタイプの曲が昔より格段にキマるよね。

カワクボ「昨日言ってたんですけど、スピーカーで聴いた時めっちゃカッコいいなって思って。音圧とかも成長してるやんって(笑)」

(続きは本誌をチェック!)

 

text by有泉智子

『MUSICA12月号 Vol.128』