Posted on 2017.11.17 by MUSICA編集部

ニューシングル『白と黒のモントゥーノ』を
リリースする東京スカパラダイスオーケストラ、
ユニゾン斎藤と総勢10人での言葉の応酬をここに

ユニゾンがフルマラソンだとするならば、今回は短距離走で、
どれだけ走り抜けられるか?っていうところが出せたらいいなと思ってて。
だから基本的にスカパラさんが言ってくれることは全部受け入れよう、と。
『つき合って欲しい』じゃないんです、『抱かれたい』っていう(斎藤)

『MUSICA 12月号 Vol.128』P.86より掲載

(冒頭略)

■この曲は沖さん作曲なんですが、“爆音ラヴソング”も沖さんですよね?

沖「そうですね」

■僕はあの曲を聴いた時、沖さんの曲ってスリリングなんだけど懐かしい曲だなぁと思って。かっ飛ばしてるし凄く「今」なんだけど、でも同時に懐かしい時代の匂いも感じられる。で、今回の“白と黒のモントゥーノ”も同じことを感じたんですが。今回はどういうイメージだったんですか。

沖「スカパラが最近南米に縁があるっていうのもあって、自分の中で漠然と情熱系のものができたらいいなって思ってたんですよ。そしたらなんとなくコード進行ができてきて、これはイケる、自信のあるメロディができたなと思って。なんだけど、僕がキーボーディストということもあって、どうしても自分的に面白く感じるところを探っていく作業を楽しんじゃうんですよ。その結果、よく言えばトリッキー、悪く言えば歌いにくい曲になりましたね(笑)。自分としては元々ロックから入ってるので、自分の中でちゃんと燃焼し切れるようにしたいなっていう気持ちが強いんですよ。プラス、キーボード的に作っていくことによって、いなたいメロディとトリッキーな部分が同居する結果になるのかもしれないですね」

川上「多展開だけど、昔の歌謡曲っぽいムードがあっていい曲ですよね」

■セクシーなピアノも入ってきますもんね。

沖「そういうプレイヤビリティはね、UNISON SQUARE GARDENっていう意識があったので、自然と出てきましたね(笑)。UNISONと対バンすると、編成もやり方もまったく違い過ぎるから、余計に自分のできることをただひたすらガムシャラにやりやすい部分があって(笑)。同じもので比べられると外せないなって思っちゃうんだけど、あまりにやってることが違うから、逆に普段よりも羽目外して遊べるっていうか。だから今回の曲作りも割と伸び伸びできたなぁって思いますね」

■作詞はお馴染み、谷中の筆ですが。谷中の中ではどういうイメージから生まれてるんですか?

谷中「ドラマも含め全体的なことを考えた時に、白黒の写真なんだけど、凄い熱を感じるみたいなイメージがあって。そのイメージはUNISONからも、斎藤くんの歌からも感じるんですよ。冷静なんだけど、凄い情熱があるというか。俺は昔、UNISONの演奏を観て『本当に先まで尖らせた色鉛筆でもの凄い殴り書きしてるみたいな感じなんだけど、それでも鉛筆の芯は最後まで折れない、みたいな音楽だ』って言ったんだけど、その気持ちは今も変わらなくて。綱渡りの綱の上でラテンダンスかますくらい、曲芸的な感じがするというか(笑)。まぁ曲芸を超えて、完全に芸術になってるんだけどね。もしかしたら、綱渡りの綱の上で女の子とメイクラヴできるんじゃないかと――」

■凄い見世物ですよ、それは。

一同「ははははははははははははははははは!」

谷中「(笑)。そういう、不可能はないってくらいもの凄いことができるイメージがあるんですよ。それくらい鍛え上げられてるっていうか」

■宏介くんはどんなイメージで歌ったんですか?

斎藤「僕、今回のプロジェクトは短距離走だと思ってるんですよ。UNISON SQUARE GARDENっていうプロジェクトがフルマラソンだとするならば、今回のプロジェクトは短距離走で、どれだけ走り抜けられるか?っていうところが出せたらいいなと思ってて。なので、基本的にはスカパラさんが言ってくれることは全部受け入れようっていうスタンスでいたんですよね。UNISONでやる時は、たとえば田淵が作ってくる曲や貴雄が叩くフレーズに対して、最初はちょっと疑いから入るんです。それを自分の中でクリアにしないと世に出しちゃいけないような気持ちでやっていて。でも今回に関しては、どれだけ突き抜けられるかだと思ってたので――たとえば『斎藤くんいいね!』って言ってもらったとして、普段だったら『いやいや、そういうことみんなに言ってるんじゃないですか?』ってなるけど、今回に関しては『いいね!』って言われたら『でしょ?』って言えるぐらいのスタンスでいようと思ったんですね」

スカパラ全員「ほぉー」

斎藤「だから、谷中さんの書く歌詞も、凄く谷中さんが滲み出てる歌詞じゃないですか。それを俺が歌うってどうなんだろう?って考え始めたらたぶん負けるというか、歌えなくなっちゃうから、客観的にその詞をいいなと思ったらもう乗っかろう!っていう気持ちでやってましたね」

■それはつまり簡単に言うと、抱かれに行ったっていう感覚なんじゃないかと思うんですけど。

斎藤「あー、そうです、そういうことです」

谷中「『そういうことです』って(笑)」

斎藤「『つき合って欲しい』んじゃないんですよ。『抱かれたい』っていう(笑)」

NARGO「面白いこと言いますねぇ(笑)」

加藤「でもさ、男っぽい人じゃないと、こういうこと言えないですよね。レコーディングしながら、やっぱり斎藤くんは凄い男っぽいなって思ってたんですよね。潔さも含めて」

谷中「わかる。抱かれた後で舌出したりする感じもないもんね」

斎藤「愚痴ったりしないですね。女子会で『あんなことされた』とか喋ったりしないですもん(笑)」

谷中「それは恋愛相手として最高だね(笑)」

一同「ははははははははは!」

(続きは本誌をチェック!)

 

text by鹿野 淳

『MUSICA12月号 Vol.128』