時代とロックバンドに新たな旋風を吹かせたSuchmos。
『THE KIDS』から始まった飛躍の1年を振り返り、
6人の今、そして未来へのヴィジョンを、語り尽くす
それぞれバンドマンとしてのアイデンティティがハッキリした感じはしますね。
プレイとか作る曲の雰囲気はその時々で変わっていくと思うけど、
そういうこと以前に、もう完全に、バンドとして間違いないものになった
『MUSICA 1月号 Vol.129』より引用
■MUSICAは毎年12月発売号で、その年の音楽シーンを振り返る年間総括特集をやっているんだけど、その中でMUSICAが選ぶ年間ベストアルバムのトップ50を発表していて。で、2017年のアルバム・オブ・ザ・イヤーにSuchmosの『THE KIDS』を選ばせていただきました。
全員「イェーーイ!」
■先日ファイナルを迎えた今年2度目のツアーも、ライヴバンドとしてのこの1年の確かな成長を見せつける形で大成功に終わって。その後でYONCE、HSU、KCEE、TAIKINGの4人はLAにバケーションに行って、つい最近帰ってきたんだよね?
YONCE(Vo)「そうですね。6月にもそれぞれ旅に行ったりしてたんですけど、今年はライヴも制作もやりつつ、ちゃんと各々のインプットする時間を取ることができて。日常以外の部分でそういうことができたっていうのはポジティヴなことだなって思うし」
■というか、今のこの国の若いバンドってリリースのスパンも短いしライヴの本数も多いし、常に何かに追われててインプットの時間が圧倒的に足りてないという状況があるんだけど、その中で今年のSuchmosの活動の仕方は凄く健全だし地に足がついてるなぁと思う。
YONCE「というか、元々それがしたかったんですよね。時間とかいろんな都合がつかなくて今までできなかったことができるようになってきたから、それぞれ自分のために旅をしたり、インプットしたりすることができてて。昔から、そうやって各々がキャッチしたものをバンドに持ち帰ってSuchmosの表現に落とし込んでいくことが楽しいと思ってずっとやってきてるんですけど、それがどんどんできてきてる。ある意味やってることは変わってないけど、行ける場所がもっと増えたしやりたいことも増えていってるっていう、そういう今ですね」
■本当にこの1年はSuchmosにとって本当に大きな飛躍の年になったと思うんですけど、まずはざっくりと、みんなにとって2017年という年はどんな1年でした?
YONCE「シンプルに、楽しかったです。2015年にCDを出してデビューしてから2年ですけど、毎年楽しむこと、楽しめることの幅が増えていっていて。それが凄くいいんですよ。楽しいよね、とにかく」
HSU(B)「っていうか、2017年はどんな1年でしたかって訊かれても結構答えにくいかも。だって1年で区切りついてないよね。むしろ区切りはなくない?って思うというか」
KCEE(DJ)「わかる。区切りないよね、ずっと続いてる感覚っていうか。そういう意味では『ここ3ヵ月どうでした?』って言われたほうが、言葉にしやすいかもしれない(笑)」
TAIHEI(Key)「まぁでも、2017年ってことで考えてみると、やっぱりツアーが一番リアルに脳みそに残ってるかな」
■この秋のツアーでZepp Tokyoと豊洲PITでのライヴを観ながらふと思ったんだけど、ちょうど1年前のツアーファイナルはまだLIQUIDROOMだったんだよね。2デイズで即日完売だったとはいえ。
YONCE「『MINT CONDITION』の時ね」
■そう。で、今年はツアーを2本回って、東京で言えばこの1年で新木場STUDIO COASTに恵比寿ガーデンホール、日比谷の野外大音楽堂、そしてZepp Tokyoと豊洲PITでワンマンをやったわけだけど、それら全部が初めてやるハコだったわけで。そんなバンド、他にいないよ。
YONCE「確かに初めて尽くしではありましたね。あと、ROCK IN JAPAN FES.に出るのも初めてだったし」
■国内最大規模の邦楽フェスに初登場でいきなりメインステージという。ONE OK ROCKのゲストとしてアリーナライヴをやったのも含め、ライヴバンドとして相当拡大したし、経験を積んだ1年だったよね。
KCEE「まぁそもそも、俺らがチョイスしてるツアーだったりライヴでは、同じところでは絶対やりたくないんですよね。毎回違うところで、常に上に行き続けてるっていう感覚を持ってたいんで」
YONCE「だし、自分達の歩みが早いとも別に思わないんですよ。あんまり他と比較してない、自分達のペースでやってるだけだから」
HSU「そうそう。だから自分達ではわかんないよね。他人と比べることを忘れちゃったから、嫌みじゃなくて本気で気にしてなくて。だし、あんまりその必要もなくなったというか」
YONCE「そもそも他を気にして音楽やるのって楽しくないしね。でもほんと、前にも増して気にならなくなりましたね。俺らは俺らっていうか………だからさっき言ってもらったようなことも、自分達としてはただただ普通にやってたらこうなってたって感じでしかなくて。もちろん、実際いろんなことが変わっていってはいるけど、でもそれも、すげぇ自然にグラデーションになってるような感じだよね」
KCEE 「たぶん周りから見たら、数百人のところからいきなり3,000人のところでやってるって思われてるのかもしれないけど、でも実際は500、700、1000って全部踏んでってるから」
■ただ、そのペースが尋常じゃなく早いってことなんだけどね(笑)。
KCEE「でも、たとえば今の俺らだったら武道館もできると思うんだけど、それはまだやらない、今はまだそこじゃないっていうのはチームみんなが理解してるわけじゃないですか。ほんと、着実に1歩ずつ上がってる感覚。だからビックリしてない」
TAIKING(G)「そうだね、ビックリしてない。あくまでちゃんとひとつずつ上がっていってる感覚だよね」
YONCE「まさに。で、その階段みたいなのは全部チーム(=スタッフ)がちゃんと考えて作ってくれてるんで。俺らは安心して歩めてるっていう」
OK(Dr)「そうね。でもそういう意味では、ハコの規模とかじゃなくて、チームメイトというか――たとえば照明さんが増えたりだとか、そういう仲間が増えてきたことで、自分らが大きくなっていってるのかなっていう実感を感じることはあったかも。俺らが表現をするために絶対に必要な人達がどんどん仲間になっていってるっていう、そこで感じる」
TAIHEI「確かに。あ、だから俺、今年1年と去年とで一番違うとこわかった。2017年は、Suchmosのツアースタッフが完全にグルーヴし出したきっかけの年だったかもしれない」
YONCE「あー、そうだね。それは間違いない」
TAIHEI「『THE KIDS』のツアーと今回のツアーで全国一緒に練り歩いて旅をしたことで、ローディさんとかPAさん、照明さん、あともちろんマネージャーさんも含めて完全にグルーヴし出したというか。お互いのことをちゃんとイジり始めたしね(笑)。なんか、チーム全体がバンドになってきたって感じがする」
YONCE「それは凄いあるね。だから今、いろんな距離感が凄くいい感じになってきてるなっていうのは思いますね」
(続きは本誌をチェック!)
text by有泉智子
『MUSICA1月号 Vol.129』