Posted on 2018.01.17 by MUSICA編集部

過去最高に大胆に、ラジカルに、そして真っ向から
UNISON SQUARE GARDEN流ポップ&ロックを極めた
『MODE MOOD MODE』を全員取材&田淵全曲解説で解析

『Dr.Izzy』で俺達のUNISON!ってなったし、そこに達成感があったし、
「この人達変わるつもりないんだ、安心安心」って言ってるところに、
「え!? またこういうことやっちゃうの!?」って
やり過ぎな揺さぶりをかけるのは 楽しそうだなって(笑)。
それがこのアルバムの一番大きなポイントです(田淵)

『MUSICA 2月号 Vol.130』より引用

 

(前段略)

■今作に関しては世の中に対して警戒をすることもなく、どういう曲がシングルとして出たからアルバムでどうそれを裏切るのかという変化球でもない曲が多く、アルバムっていうものに対して凄く全力でやり切った作品だと感じました。その結果、UNISON SQUARE GARDENとしての新しい王道が、このアルバム1枚で見事に作られたとはっきり感じたんですね。(中略)シングル以外にシングル的な装いもきっちりと持った楽曲がこれだけ入ってる作品になったのは、つまりこれだけのポップソング集になったのは、どうしてだと思います?

田淵「わかります。アルバムのコンセプト的にはM3とM12を入れるっていうのが一番大枠にあったんですよ。そもそも『Dr.Izzy』を作った時に、ディレクターから『おじさんはもっとポップなものが欲しいなぁ』って言われたから、『じゃあそれは次にやります!』って言ってたんで、そこはもう有言実行せざるを得ないと思って。で、M3は、『これは絶対にシングルじゃないと出さない!』っていう気持ちで僕がずっと温めてた曲なんです。“徹頭徹尾夜な夜なドライブ”の時と同じような気持ちで、この曲に関してはタイアップシングル狙うなら歌詞が難しいと言われても絶対変えたくない!って言ってたもので。だからどのアルバムにも入らなかったんですけど、今回のタイミングでポップなものが欲しいっていう時にいよいよこの曲の出番だな!と思ったんですよね」

■貴雄くんはバンド3人以外の音が大胆に導入されたこの2曲が届いた時、どういうふうに思いましたか。

鈴木「もう音を足していくことに対しても、3人が安定しているので不安はないんです。どんなゲスト・ミュージシャンが来ても揺るがない確固たるものが様々な経験で培われてきたので。今はもうなんでもできるなっていう気持ちはあります」

■それはつまり、楽曲が呼んでる音やアレンジを、より大らかに受け止められるバンドになったっていうことを感じてるってこと?

鈴木「そうですね。ライヴに関しては今後もアディショナルプレイヤーを入れるつもりは一切ないですけど、楽曲としては全然入れることはできるかなと。入れたいっていうよりは自然と入ってくるのかなっていう感じです。今まではどっちかっていうと曲が呼んでるのに入れないっていうタイミングもあったんですけど、もう今はそこに関して邪魔するものはなくなりました。自分達自身もそうですし、お客さんもやっぱり、ストリングスを入れたら裏切りと感じるお客さんってこれまでのタイミングではいたはずなんですよ。でもそこを上手く理解してもらいながら、ちゃんと信頼関係を傷つけずにちょっとずつ変化してこれたのは、僕ら3人の嗅覚であり、田淵のプロデュース能力だと思いますね」

斎藤「こういうことって、3人の個性が育ってきたからこそできることだと思うんですよ。それに、他の10曲で十分3人の超絶プレイを見せられてると思うので、逆にこの2曲でプレイヤーが入ってくれることによって、3人だけではできないようなギターであったり歌を引き出してもらったなという感覚もあって」

(中略)

■淵くんは昔インタヴューで、自分が作りたい曲っていうのは必ずしもこの3人の音だけでやり切る曲だけじゃなく、いろんな曲があるし、だからこそ曲を提供したりもしていて。でもUNISON SQUARE GARDENでは3人という限られた中でやっていく、何故ならばそれがバンドだからっていう話もしてくれてたわけですけど。今回このM3とM12でアレンジを振り切ったのはどういう気持ちからなの?

田淵「これが『売れようとした』って思われたら大変な誤解なので、そこは否定していかなければいけないんですけど。僕が何をしたかったかって言うと、『Dr.Izzy』で『俺達のUNISON!』っていう感じになったと思うし、そこに対して達成感があったという話をしましたが、『この人達変わるつもりないんだ、よかった安心安心』って言ってたところに、『え!? またこういうことやっちゃうの!?』っていう揺さぶりをかけるのは楽しそうだなっていうのが一番大きなポイントだと思っていて。『何やっても許すって言ったけどさすがにここまでは……!』ってファンが少し動揺するぐらいのものができたらいいな、みたいな。もうここまできたらUNISONは何やっても許されるだろうって思ってるし、だから次のアルバムで全然想定してないことやっても『まあユニゾンだし、いっか』って思われる自信は今もあるんだけど、とはいえ、それでもやり過ぎだろっていうところまで行きたかったっていうのは今回の狙いとしてあるんですよね。この作風はその影響が大きいかなと思います。それは『Dr.Izzy』の反動でもあるんですけど……『Dr.Izzy』であれだけ無骨なものを作った分、今回はファンがギリギリ不安になるかもしれないぐらいのところを狙うのが楽しそうだなと思ったという。『ちょっとポップなことやりまーす』とかよりも、もっとギリギリを狙うくらい攻めたいなと思ったんですね」

(続きは本誌をチェック!)

text by鹿野 淳

『MUSICA2月号 Vol.130』