Posted on 2018.01.19 by MUSICA編集部

この国随一のバンドアスリーターズのツアーに初めて密着。
凄まじいスケールで全国を回った「TYCOON TOUR」、
衝動と確信の狭間を生み出す、すべての時間をドキュメント

UVERworld「TYCOON TOUR」日本ガイシホール公演潜入、
初の密着取材を敢行! TAKUYA∞の後日インタヴューと合わせて
舞台裏から圧巻のライヴ、そして彼らの現在地までをここに綴る!

 

『MUSICA 2月号 Vol.130』より引用

 

 名古屋編2デイズの2日目となったこの日。メンバーが13時頃から会場に入ってくるとのことだったので、その時間に合わせてガイシホールに入ろうとすると、平日の、しかも2日目にもかかわらず既に200メートルぐらいの物販の列をファンが成している。

 楽屋エリアに入って各所の様子を窺うと、まずはベースの信人とドラムの真太郎が飯を食べているのを確認。こちらは食事中に申し訳ないと思い、コソコソと視界から消えようとするが、ふたりは「あれ、何してるんですか!?」と驚いて、ご飯を置いて挨拶に向かってくる。そうだった、そういうバンドだったと思い出して、今日は礼を尽くして取材せねばならないと、胸の内で手綱を引き締めた。同じ会場での2デイズの2日目というのは、アーティストにとってはリラックスと倦怠感の両方を覚えるものだが、穏やかな表情で食事をしているふたりからは、少なくとも後者のイメージは見受けられない。

 その後、ステージエリアを見に行くと、眩しい照明が逆光になる、その眩しい世界から「あれー!!」という声が聞こえてくる。あれー、Saxの誠果である。「今回、いろいろ面白いことをたくさんやってるし、毎日が挑戦なんですよ。だからもう中盤戦なんですけど、まだまだ刺激が多くて楽しいです。存分に楽しんでってください」と、とてもポジティヴで親切なご挨拶。誠果のそのピースフルな風貌も相まって、まるでディズニーランドに入った瞬間に入り口でミッキーに丁寧にもてなされたような気になった僕は、決して間違ってはいないと思う。

 その誠果の背後に広がるステージのスケール感が凄くて、本当に息を呑んだ。まるで、ステージ自体が実際に起動している人工衛星そのもののようで、ロックもEDMもミュージカルもすべての表現を飲み込む受け皿になれそうな、洗練されているのに豪快なセットが広がっている。

 そのセットの最前のど真ん中にはヴォーカルTAKUYA∞のマイクが――ん? いや、そこには真太郎の太鼓がドドーンとそびえている。通常のバンドのステージポジションからいくと、異常事態だ。

 (中略)

 約2週間後の12月29日深夜、 福岡のスタジオでリハーサルを終えた直後のTAKUYA∞と電話インタヴューをした。

■まずは、そのTYCOON TOURの話を聞きたいんですが。手応えは?

「このツアーは一度も喉を潰すことなく――あ、まぁまぁ調子悪い日もありましたね(笑)。まさに鹿野さんが観にきてくださった日とか、調子悪かったですもんね。でもあそこが一番悪かったくらいだったんです。しかも一番よかった日はその前日だって話したじゃないですか。だから最高と最低を名古屋でやったって感じなんです(笑)」

■はははは。じゃあ天国と地獄の地獄を俺はファンと共に味わったんだ。

「でも、だからこそ最高の瞬間や一体感もたくさんあったじゃないですか。凄くいい日でしたよね。あの名古屋で最低と最高の瞬間に達して、その勢いでその後もずっとツアーがいけたっていう感じです。最高に近めの感じでずっといけた」

■リハーサルの時に「出ない声帯もあるけど、それでもなんとかなるもんなんすよ」って言っててさ、本当に精神力で表現する人なんだなぁっていうのを目の当たりにしたんですけど。

「そうですね。だからね、声の調子がいいか悪いかでライヴのよし悪しが変わらなくなってきたっていうか。少しは変わってしまうこともあるんですけど、それが理由で精神的に折れていって、喉の不調で負けることなんて、もう随分とないんですね。もうそこは大丈夫です」

■それはタフになったってことなの?

「はい! 精神的にむちゃくちゃタフになったと思います。それは経験値と、不調以外のもので取り返せる武器をこの数年で見つけた感じがしていて」

(続きは本誌をチェック!)

text by鹿野 淳

『MUSICA2月号 Vol.130』