Posted on 2018.01.20 by MUSICA編集部

音楽にしか表せない美しき光とロックバンドという奇跡を
今も変わらず強く信じ、ただ純粋に追い求めること。
AL、セカンドアルバム『NOW PLAYING』リリース

音楽は生きる中で幸せになるためにやってるものだから、その価値は
人の評価で左右されるものじゃない。評価を得たいっていう想いも
あるにはあるけど、そこが第一義になっちゃダメだと思うから。
誰が云々って話で振り回されることはないんだよね

『MUSICA 2月号 Vol.130』より引用

 

INTERVIEW #1 長澤知之

 

(前略)

■知くんは自分のソロもしっかりやっていて、そこで歌いたいことも書きたいメロディも、やりたい音像も、自分の思う形でやれてるわけだよね。で、相手のことを想像したり、敢えて自分が緩衝材になったりっていうことは、今話してくれたような成功体験や楽しさがあるのも凄くわかるんだけど、ただ、ひとりの音楽家として自分の音楽を突き詰めていくっていう観点から言うと、必ずしもそれをやる必要はないじゃない?

「うん、ないね」

■でも、自分がそういう役割を引き受けてでも、ALをやりたいなと思うのはどうしてなの?

「ひとりでやるってことは、自分で好きなように遊べるし、書きたいことを書きたいだけ書けるっていう喜びはある。ただ、4人でやる喜びっていうのは、たとえばサッカーや野球のように団体戦で勝ち得る喜び、同じ境遇を共有できるからこそ生まれる喜びなんだよね。言ってしまえば、悪い時は地獄へ道連れだし、天国だったらよっしゃ!ってなれる。そういうのってひとりでは得難いもので。だから、誰かと喜びを共有したいっていうのが大きい。あと、もうひとつ後づけるのであれば、4人とも個性が全然違って、聴いてきた音楽やルーツも違うし――壮平だったらフォークで、寛はオルタナ、大樹はクラシックで、俺は讃美歌やThe Beatlesだったりするからみんな全然違うんだけど、どこかで合うものがあった瞬間が嬉しかったりする。大げさな話だけど、北朝鮮がミサイル撃ったり、日本と韓国が揉めてたりするけど、それぞれ自分達の正義があって、それはその国にいないとわかんないものだったりするじゃない? でも、その国の事情を聞いて想像することはできる。俺は想像力って思いやりだと思うんだけど、それがあれば全然違う性格の4人が集まってるバンドだけど上手くやれるっていうのは、ひとつのミニマムな平和のモデルでもあるし。そういう団体が愛とか平和を歌うんだったら、まだ説得力があるなって思うんだよね。ひとりで歌う時は自分の理想を述べるものではあるけど、全然個性の違う4人がそれを歌うっていうのも意味があることだとは思う」

(続きは本誌をチェック!)

text by有泉智子

『MUSICA2月号 Vol.130』

 

 

INTERVIEW#2 小山田壮平

 

(前略)

■“NOW PLAYING”という曲が最高だなと思っていて。(略)ここ何年かの壮平は、少年期だったり、過去に見てきた光に想いを馳せる曲を書くことが多かったと思うし、こういう、純粋にこれから起こっていくことへのワクワク感、興奮を表す曲が生まれてきたのは久しぶりだなと感じたんですけど。自分ではどう思いますか?

「あー………でも、常に前向きなことはやってきてるとは思うんだけど。まぁでも確かに、郷愁を歌う曲は多かったかもしれない」

■郷愁と、ここではないどこかを思う、エスケーピズム的な昂揚感だったりとか。それも昔からずっと壮平の歌にあるものだと思うんだけど、ここ最近はそっちの側面が強く出ていた気がして。でも“NOW PLAYING”は、まさに今ここのことを歌っているし、目線が前に向いてるなと思う。

「地に足が着いてる感じ?」

■そうそう。地に足を着けて、今と明日を見てる感じ。

「たぶん、それを誰にでもわかる形でわかりやすく表現できたってことなのかなって思う。郷愁とかエスケープ的な昂揚感みたいなものって、自分の中でははっきりわかるんだけど、聴く人にしてみればわからないところもあったりすると思うので。でも、“NOW PLAYING”は誰が聴いてもそれしかないような歌詞だから。その違いなんじゃないかなって思います」

■そういう歌詞が書けたのは何故なんでしょうね?

「なんでだろう………………現実的にどうしていくかっていうことを、ちょっと前よりも考えてるのかもしれない。知之ともそういう話をするんだけど、たとえば<地上の天国>って歌ってるけど、天国自体はもうこの世のものではないけども、それを地上の場所に作り出す、天国のような場所を当にこの現実のものにするためにはどうすればいいのか?っていうことを考えたり、話してきたところはあって。逃避するんじゃなくて、今この瞬間の楽しさをちゃんと現実のものにするにはどうすればいいんだろうって」

(続きは本誌をチェック!)

text by有泉智子

『MUSICA2月号 Vol.130』

 

 

INTE RVIEW#3 藤原寛

 

(前略)

■前作から今作に至るまでの間に、寛くんは銀杏BOYZのサポートメンバーとして、ライヴだけでなくレコーディングも含めバリバリやってたわけだけど。それはミュージシャンとして、ベーシストとして、どんなことを思いながら過ごしてきた時間だったの?

「俺の銀杏での在り方ってことで言うと、峯田さんっていう総監督がいて成り立つものというか、純粋にベーシストとして力を貸すっていう感じで」

(中略)

■対してALはどんな感じなの?

「ALはやっぱり自分のバンドだし、ベースを担当するというよりは全体のイメージを持つ感じっていうか。だからプレーヤーとしての自分には、そんなに目線がないかもしれない」

■言ってみれば、銀杏はベーシスト藤原寛が出ていく場所で、ALはアーティストとしての藤原寛が出ていく感覚なのかな?

「そうだね、それに近いかも。ALは音楽で何を担当するってことよりも、音楽を通してみんなでいい空間を作りたいっていうのがデカいんだよね」

■みんなでいい空間を作りたい、自分達が美しいと思うもの、輝きみたいなものを音楽を通して生み出したい、確かなものにしたいっていうのはALを結成した時から、もっと言えばandyをやっていた頃からずっとあると思うんだけど。その中で、ファーストと今回では、どういうふうに進化したり変化したりしてきていると思う?

「単純に友達としてこの3年を一緒に過ごしてきた中でお互いにより分かり合えるようになった部分もあるし、音楽的にも一緒に作っていく中で呼吸の仕方がわかってきたというか。具体的には、イメージの持ち寄り方だったり、相手の尊重の仕方だったり、そういう呼吸が最初よりはできてきたのかなっていうのは思うな。目指してたもの自体はきっと変わってないと思うんだけど。特に知之とはALが始まってから初めて一緒に音楽を作り始めたし、より濃い時間を過ごすようになったから」

(続きは本誌をチェック!)

text by有泉智子

『MUSICA2月号 Vol.130』

 

 

INTERVIEW#4 後藤大樹

 

(前略)

■ALの音楽ってどういうものなんだと思いますか?

「曲の内容っていうよりは、バンドだなぁって感じはありますね。たとえば、誰か強いシンガーソングライターがいてバンドがそこについていくっていう形ではなく、4人が4人としてしっかり立ってるというか。それが音にも出てるなって思うし。俺は元々バンドをやりたいと思ってドラムを始めたんだけど、ALのいいところは、ちゃんと全員それぞれに軸や思想、考えがあるところで。だから信頼できる。精神の揺れはもちろん全員あるんだけど、バンドやってただ楽しいってだけじゃなくて、自分の思う正しさを持って表現をしているし、芯をしっかり持ちながら闘ったり守ったりできるっていう。そういう信頼は全員置ける人達だから。だからそれぞれが目指してるもの、見たいものを信頼して、共感できるのかもしれない」

■バンドとして音楽をやる上で、それは凄く大事なポイントだよね。

「そうだね。俺はそもそもバンドがやりたいって思ってたから、自分がそんなにドラマーだとも思ってなかったりして。極端に言えば楽器ってバンドやるための道具みたいなもんだから、ベースでも何でもいいし」

■なんでそんなにバンドがやりたいの?

「信頼感というか、ホームというか……それが欲しいんだと思う」

■なるほど。でも一方で大樹くんって、自己表現として音楽を作りたいっていう気持ちもとても強いじゃない? だけどバンドというホームもとても大切にしていて、その狭間で破綻しちゃうこともあったりして、そこがとても面白いなと思うんだけど。自分ではどう感じているの?

「おっしゃる通り、めちゃ矛盾してるところがあって(笑)。それは今でもなくはないんですけど、でも結局は、俺は家がないからこそ落ち着かないし、家が欲しいからこそ暴走してるというか、ずっと焦ってる状態みたいな感じがあって。(中略)でも、どこかで『どうせホームなんかねえんだよ!』って気持ちも持ってて……だから対人関係もぶっ壊しがちなんですけど(笑)」

■ははははははははははは、ほんとそうだよね(笑)。

「でもなんでそうなってたかというと、本当にぶつかり合って、本当に確かめたいっていう欲があったからで」

(続きは本誌をチェック!)

text by有泉智子

『MUSICA2月号 Vol.130』