Posted on 2018.03.18 by MUSICA編集部

THE ORAL CIGARETTES、個別インタビュー連載開始!
第1回:ギタリスト・鈴木重信。
何も得られず、誰にも溶け込めなかったシゲが
「オーラルだけは失うのが怖かった」と覚醒する日まで

今になって思うと、求められることをほんまに欲してたんだろうなって。
何か突出してできることがなかった自分に対して、
求めてくれる人間がいなかったから。

『MUSICA 4月号 Vol.132』より引用

 

(前略)

■そもそもシゲは、このバンドに入る前からミュージシャンになりたいっていう気持ちを持っていたんですか。

「いや、まったく持ってなかったです(笑)。高校の時に軽音楽部に入って、楽器に触れるっていうのはそこが初めてだったんですけど……正直言うと、その時の環境に対しては『音楽やるってこういうことなんだ、しょーもねぇな』って思ってたんですよ。周りの軽音楽部のコミュニティの小ささとか、内々でやってることに対して『なんか違うな。なんか違うけど、まぁでもこの目の当たりにしてるものが、きっと音楽の世界なんだろうな』って思ってて。『きっと俺には音楽じゃないんだろうな』って感じてたんですよね。だから大学に入った時には、軽音楽のサークルや部活にはまったく入らずに、自分で好きな音をコピーしてました。当時はアコギだけしか弾いてなかったんですけど」

■昨日、このバンドのWikipediaを初めて見てみたの。そしたらそれぞれ影響を受けた音楽が書いてあって、シゲのところにDEPAPEPEって書いてあったんだよね。これ、本当なの?

「それはほんまっすよ! 大学の時にアコギで弾いてた曲はDEPAPEPEばっかりでした。今でも大好きですし」

■いい悪いじゃないの、素晴らしいユニットだし。ただ、シゲとDEPAPEPEという組み合わせが意外で。

「よく言われます(笑)。バックボーンにしては対極的過ぎるって」

■大体顔がDEPAPEPEじゃない。

「ははははははははははははははははははは」

■アコースティックに魅せられていたのは何故だったんですか。

「アコースティックっていうよりは、インストゥルメンタルに魅せられてたっていうのが大きかったですね。当時、声とか歌詞に惹かれることがそんなになくて。で、ギターが奏でるメロディに惹かれてたんですけど、その中でDEPAPEPEを聴いて『ギターでこんな美しいことができるんだ』っていう憧れを抱いて、そこに理想を求めてたのかなと思います」

■ということは、高校の時に軽音楽部に入って周りに幻滅しながらも、それでも音楽に対する興味と向上心はあったっていうことなの?

「そうですね。ただ、楽器に関心があっても、音楽に対しては全然まだ芽生えてなくて。そもそもJ-POPしか聴いてなかったですしね。でも、高校の時の友達に、洋楽も聴くし70年代〜80年代の音楽も教えてくれるやつがいて。テレビとかよりもライヴ中心に活動してるバンドのことを教えてくれたのもその友達やったんですけど、彼の影響で9mm(Parabellum Bullet)をコピーしたりUVERworldのライヴに行ったりするようになって」

■幼稚園、小学校、中学校と拓也と同じだったわけですよね。その間の音楽的な交流はどういうものがあったんですか。

「実は中学以降の交流は、音楽含めてまったくなかったんですよ。でも小学校まではよく一緒に遊んでて。小4、小5くらいの時に――」

(続きは本誌をチェック!)

text by鹿野 淳

『MUSICA4月号 Vol.132』