Posted on 2018.07.25 by MUSICA編集部

圧巻のツアー「INSOMNIA TRAIN」最終日、完全密着!
遂に『Tree』以来のアルバムを視野に入れ始めた
SEKAI NO OWARI、4人のツアーへの想い――
100分間にわたって語り合ったソウルインタヴュー!

 

自分はどっか凄く無感動な人間だと思ってる節があるというか。
怒ったり泣いたり、悔しい気持ちで涙がいっぱいとか、
そういう気持ちが全然ない人間だと思い込んでいて。
けど、僕は今回のライヴでようやく生きものになったんだなって感じが
凄くしました。うん、生きてる感じがしたんです(Fukase)

『MUSICA8月号 Vol.136』より引用

 

(前略)

■最終公演の北海道を観せていただいたんですけど、その前が富士急の初日だったんですね。本数としては結構空いてたんですけど、凄い変わりましたよね。ツアー自体も4人も覚醒したけど、ヴォーカリストとしての表現性、フロントマンとしての在り方としてのFukaseは豹変に等しいほど進化していました。

Fukase「うん、途中から僕は違ってたと思う」

■動きのクイックさの違い、そしてお客さんと無垢に向き合う違い、自分を曝け出す違いみたいなものが、明確にこのツアーの中でも変わっていて。

Fukase「ツアー中に先生が実際に僕の私生活を見てるというか、たとえば子供と話してる時の僕とか、ひとりで考えごとをしてる僕とか、私生活の素の自分っていうものを凄く見てくれてて、それをステージに反映させてくれようとしたというか、Fukase100%で出そうとしてくれたから。『子供と話してる感じがもう少しステージ上で出たほうがいいんじゃない?』って言われて、『そういうのもステージでやっていいんだ!』みたいなことを先生と話し合って、どんどん変わっていったんです。『気持ちがアガれば走っていいんじゃない?』、『そっか、走っていいんですね!』みたいな。『どう走ればいいんですか?』、『こうじゃないかな』みたいなことをずっとやって。自分の中でずっとかけてたストッパーを1個ずつ外してくれてる感じがして。今回のツアーは特にストッパーが外れまくってファイナルって感じになった」

■そうやって叫びたい時に叫ぶ、走りたい時に走る、僕は観てないんですけど東北のライヴではご自分の哀しい気持ちをステージで――。

Fukase「ああ、そうですね」

■決して楽しい話ではないと思うんですけど、人前で泣いて、泣いた理由、哀しい別離をちゃんと話せるようになったと聞いてるんですけど。

Fukase「そこはそうなのかもしれないですね。全部自分の感情のままというか……やっぱり自分はどっか凄く無感動な人間だと思ってる節があるというか。あんまり動じないし、怒ったり泣いたり、悔しい気持ちで涙がいっぱいとか、そういう気持ちが全然ない人間だと思い込んでいて。だからステージ上では凄くドライに、やらなきゃいけないことを1個1個やるだけだと思ってたところを、感情的な部分をそのままステージで表現するっていうことが、脳がそう思ってることをちゃんと体に向けて発信するってことの大事さを知ったし、教えてもらったんです。その心から発したものを体が対応していくっていうのがダンスだったりするので、僕は今回のライヴでようやく生きものになったんだなって感じが凄くしました。うん、生きてる感じがしたんです」

■その気持ちは“ラフレシア”という曲に特に強く出ていると思うんですが、言ってみればこの曲にこのツアーのメッセージとコンセプト、今日話していたものが全部ぶちまけられています。

Fukase「でもこの曲だって書きたくて書いたわけじゃなくて、とりあえず<甘い匂いに誘い込んで気づいたら麻痺してる>っていう最初のところを書いて、これは何が書きたいんだろうな?って思いながら書いていった感じだったんです。社会というものに対して漠然と思うことをひたすら書いていった感じだったんで。意図があったといえばあったのかもしれないし、でもあんまり……もう少し無意識層のレベルの意図だったような気もするし、だからどうってこともないんですよ、この曲。<ついてこいよ>って言ってるけど、それはどうついて行くんだ?って感じだし(笑)、明確な答えは何も言ってなくて。結構吐き捨てるように書いた言葉というか、そういうのが強くて。“死の魔法”もそうだし、“虹色の戦争”、“深い森”とかもそうなんですけど、何か問題提起をした後に僕は必ず答えみたいなものを入れてる、『だからこうなんじゃない?』っていうのがある感じなんですけど、“ラフレシア”はあんまりなくて。それが自分の中では新しい。理性的な部分から凄く人間っぽい部分、怒りだったりそういうものがそのまま言葉になったっていう感じはしてる。苛立ちがそのままデフォルメしないで言葉になって歌ってる感じが、自分でもしています」

(続きは本誌をチェック!

text by鹿野 淳

『MUSICA8月号 Vol.136』