Posted on 2018.07.26 by MUSICA編集部

さらなる覚悟で新たなストラグルを始めたSuchmos、
The Blow Your Mind TOUR、熊本&沖縄公演、独占密着。
アルバム『THE ASHTRAY』に託された意志も探りながら
確かなる決意の下に進むべき道を選んだ6人の今を追う!

 

Suchmos The Blow Your Mind TOUR
2018年6月8日(金)熊本・B.9V1
2018年6月17日(日)沖縄・ミュージックタウン音市場

 『MUSICA8月号 Vol.136』より引用

3〜4月に大阪・名古屋・横浜で開催されたホールツアー「YOU’VE GOT THE WORLD TOUR」からほとんど間髪を容れず、5月11日より約1ヵ月にわたって開催された「The Blow Your Mind TOUR」。6月8日に行われた熊本公演、そして6月17日に行われたツアーファイナルである沖縄公演の2本に密着した。ご存知の通り、Suchmosは6月20日に『THE ASHTRAY』をリリース。『THE KIDS』でポップシーンまでをも席巻し、確かなる時代のアイコンとなった彼らが、だからこそ何にも囚われることなく自分達自身の刺激的な旅を開拓するために、だからこそより揺るぎない自由を獲得するために、自身の信念を握りしめて突き進む姿が明確に示された作品だ。何故彼らがこの作品に至ったのか、そこにある意志はどんなものなのか、その背景も探りながら、Suchmosの今を追うドキュメントをここに送ります。

 

【6月8熊本B.9 V1

 

 阿蘇くまもと空港から熊本市内へと移動し、街に出た途端、まるでサウナにいるかのような暑さに驚く。雨はほぼ止んでいたけれど、雨上がりであるが故の湿度の高さがハンパない。13時40分過ぎに会場である「B.9 V1」に着くとメンバーは既に会場に入っていて、リラックスした様子で迎えてくれた。彼らは前日から熊本に入っていて、昨夜も街に繰り出したらしい。MCなどでもよく話しているけれど、ライヴツアーとはいえただ慌ただしく全国を駆け巡るだけではなく、彼らはよく街に出て歩き、自分達の肌と五感で訪れた土地の空気を感じ、それを吸い込んだ上でその日その場所そのオーディエンスと自分達の音楽を交わし合う。ツアーとは旅であり、仲間と共にその旅を味わいながらライヴを行えば行うほど、バンドとしてもアーティストとしても得るものは大きい。何故ならば、豊かな人生体験と感性への刺激は、着実に次なる音楽へとフィードバックされてゆくからだ。

 楽屋でメンバーが顔を突き合わせ、何やら一生懸命スマホをいじってる。何してるの?と訊くと、とある夏フェスにみんなで行こうと思い立ち、今まさにチケットを買っているのだという。そういえば去年のフジロックは、出演はなかったけどメンバーみんなで3日間遊びに行ったと話してたっけ。そのままどのライヴが楽しみだとひとしきり盛り上がり、あるいはとあるアーティストが来日するけどその日は自分らもライヴがあるから行けないんだと悔しがり、さらにSuchmosも出演する韓国での「INCHEON PENTAPORT ROCK FESTIVAL」の話題に流れ、自分らが出演する日のヘッドライナーがMy Bloody Valentineであることへの喜びをKCEE(Dj)とYONCE(Vo)が興奮気味に話してる。その横でTAIHEI(Key)が、ロバート・グラスパーの新しいバンド(R+R=NOW)のメンバーはどんなメンツでいかに面白いのかを楽しそうにレクチャーしてくれる。なんというか、こういう時のSuchmosは本当にただの音楽好きな兄ちゃん達(ただし筋金入り)。「こういう時の」と書いたけれど、でもたとえば取材の合間も大抵の場合、彼らは「誰々の新譜聴いた?」とか「あのアルバムがよかった」とか「何々のあの音ヤバくない?」とか、もちろん時には「あれはこう評価されてるけど、でも俺は……」みたいな話も含め、様々な音楽談義を延々と繰り返して楽しんでる。とても心地いいのです、その熱が。

(続きは本誌をチェック!

text by有泉智子

『MUSICA8月号 Vol.136』