Posted on 2018.08.15 by MUSICA編集部

どこまでも痛快に豪胆に突き抜けまくった
NICO Touches the Wallsの、光村龍哉の現在地にして、
かつてなく強く確信に満ち溢れた『TWISTER -EP-』。
断言します、今のNICOは史上最高最強です!

 

俺の中では不安と強気な部分が、他人には理解できないスピードで
目まぐるしく展開されてるんだなっていうことに気づいただけなの。
ただ、今は音楽的に、そのもの凄い複雑な自分に勝てるなっていう勝算がある

『MUSICA8月号 Vol.136』より引用

 

 

(前略)

■ちょっと話は変わりますけど、ここ1~2年くらいでのライヴにおけるみっちゃんの生き生き感は何なの?

「生き生き感……そんなに生き生きしてるように見えます?」

■見える。特に去年の夏くらいから、いい意味でドヤってるように見えるっていうか。肝が座った開き直り方ができてる気がする。

「そうなのかぁ。でもライヴにおいては、この2年ツアーも一緒にやってる浅野(尚志)くんも含めて5人でやってるんで。そこがひとつ武器になってるなって感じもあったし、もう1個音が入ったことで、俺がちゃんとヴォーカリストになれるための隙間が生まれたっていうのはあると思う。(略)でも、ドヤ感みたいなのは今年からじゃないかなって、俺は自分なりに分析してるけど。去年まではむしろ、自分の中の自分はあまりカッコよくなかった。すげぇいろんなことを気にしてたし、自分のスタイルをいろんな視点から模索してた。こう歌ったほうが自分の声がもっと太く聴こえるんじゃないかとか、こうやったらもっと長く歌えるんじゃないかとか、凄く細かいことをいろいろ考えてて。(略)でも、今年に入ってからそれがカッコ悪いなって思って。これじゃダメだ、と。策士策に溺れるじゃないけど、そういう感じになっちゃってんなと思って、いろいろやめようってなれたのは今年のライヴから。だから去年はまだ過渡期だった」

(略)

■じゃあ今年に入ってから割と心機一転っていう感じなの?

「心機一転というよりは、久しぶりに明確に自分に対してこれじゃダメだって思った感じ。どっちかって言うと『こんなはずじゃない!』っていう感じのほうが強かった。なんであんなに疲れてたのかとか、わかんないんですよ。たぶんいろいろ考え過ぎてたんだろうなって思ったから、ありのまま、反射的にやったほうがいいんだろうなっていう気持ちだったのかな」

■みっちゃんは割と常に考えてしまう傾向はあると思うんですよ。時期によって開き直るタイミングもあるけど、でもやっぱりいろいろ思い悩む中で紆余曲折することも過去にあったと思うし。その中で、ここまで「自分の反射神経を信じてありのままで」って行き切れてるのは、実は今回が初めてな気がするんですけど。そうなれたのはなんでなんでしょうね?

「…………なんだろうな」

■端的に言うと、強気なみっちゃんと、いろんなことを考えてしまうみっちゃんって常に同居してると思うんだけど、ここまで強気なみっちゃんが全面的に出てくる瞬間は少なかった気がするんですよ。

「まぁでもそんなにね、言うほど強気でもないですよ。今回でき上がった歌詞とか読んでても……できるだけありのままの自分に近いものを書いていこうってテーマでやってたから割とそのまま書いてるんだけど、それを見ても、俺の中では不安と強気な部分が、他人には理解できないスピードで目まぐるしく展開されてるんだなっていうことに気づいただけなの」

■確かに(笑)。

「だから俺も書き終わった後に『ああ、なるほどな』って……音楽的なものより、自分の中の文学的な部分で理解をして。で、そういうものが書けた後だと、やっぱりその自分と闘わなきゃいけないわけですよ。ただ、今は音楽的に、そのもの凄い複雑な自分に勝てるなっていう勝算があるんだと思う。音楽的に自信があるから、気持ちの部分で俺は俺に勝ってるんだよね」

(続きは本誌をチェック!)

text by有泉智子
『MUSICA8月号 Vol.136』