Posted on 2019.01.28 by MUSICA編集部

新作『これからの麺カタコッテリの話をしよう』の
すべてを解き明かすスペシャル・コッテリ・ブック!
マキシマムザ亮君による新作こだわりインタヴューと、
4人全員での振り返りインタヴューの2本立て特集!

 

#1 これからの音楽とクリエイティヴの話を亮君としよう

(前略)

■現実的に亮君は『Deka Vs Deka』を作るために自分で1,000万出してるし、そしてお金以上に労力をかけてるわけじゃない? その上で今回のパッケージも、やっぱりまた音源以外にも激しく労力をかけてクリエイティヴをしてる。そこまでするのは何故なんですか。

「深い意味はそんなにないんですけど、僕の中では全部がロックなんですよ。『Deka Vs Deka』もゲームも含めて、全部ロックなんです。CD屋さんに行ってジャケ買いしたとか、試聴機で知って買ったとか、帰りの電車の中で封を開けて解説読んだとか、そういう行動も、紙の匂いとか、パッケージ開けた時の匂いとかすべての思い出全部含めてCDでありロックの一部なんです、僕の中では。たとえばホルモンのライヴでも、MCでライヴに関係ないことあのふたり喋るじゃないですか。けど、あの関係ないMCも含めてホルモンのライヴだし、ホルモンの音楽なんですよ。それと一緒で、パッケージも帯も漫画も全部がホルモンというロックのつもりでやってて。……ホルモンの音楽ってそもそもそう、自分がやりたいものが全部入ってるんですよね。音楽としてもこのスタイルでいろいろミックスされていて――太麺も入ってれば細麺も入ってれば、味噌味も入ってれば醤油味も入ってて。普通そういうのってお客さんが選ぶじゃないですか。自分は細麺がいいなとか、醤油が好き、トカ。でも僕は塩も豚骨も味噌も醤油も好きだから全部入れて出す!みたいな感じ。それがホルモンの音楽で。でも今回に関しては、そこプラス、割り箸も僕の中ではラーメンだし、座る椅子とかテーブルとかおしぼりとか、店に置かれて手垢や油で汚くなった『美味しんぼ』も含めてすべてがラーメンなんだ!みたいな気持ちと同じ考え方で作ってるというか。だからラーメンだけじゃなく、それらもすべて自分で全部作って味わってもらいたい!という。これからはラーメンだけでなく、それに関わるすべても麺カタコッテリなんだぜって、宣言でもある」

(略)

■話を戻すと、亮君は今回、やっぱり配信にもサブスクにも行かなかったし、行かなかったことを凄く強く主張してる。ここにはどれだけのどんな想いが込められてるんですか?

「まだ(ダウンロードやストリーミングで出すことに)魅力がないからかな。なんか薄まっちゃう気がしてて。僕がラーメン屋だとして『はいお待たせ!』ってでき立ての熱々をカウンターで食わせるのと変わらぬ、同じ美味いものがカップラーメンでも作れるのなら、全然コンビニで売るのもアリな考えなんです。でも今はまだ、どうしてもカップラーメンにした時に味が変わっちゃうじゃないですか。味が変わらないシステムがあるんだったら僕はバンバン自分の作品をカップラーメンにしたいです。そっちのほうがみんな買いやすいし、食いやすいし。ネット配信のほうが面白いことできるんだったら、確かにそっちのほうが便利なんですよ。だから別に懐古主義で固執してるわけではないんです。一番大事なのはどれだけ美味しいものを食わせるかってことなんで。けど、食わせる時に薄まっちゃうのが嫌なんですよね。薄まらずに直接食わせられるんだったら配信でも全然いいんですけど。……結局ほんとの夢を語ると、僕は『亮君フォン』を作りたいですもん。それでソフトバンクとかドコモとかを倒したいですよね。『ホルモンってバンドよく知らないけどこっちのスマホのほうが面白いしすげえ使い易い』みたいな感じで亮君フォンが番狂わせ起こして世界に普及して、しかも亮君フォンにすればホルモンの新曲もでき立てがすぐに最高の音で届けられ、直接僕が電話で解説する!みたいな(笑)。そんなのが夢だなぁ」

(続きは本誌をチェック!

text by鹿野 淳

『MUSICA1月号 Vol.141』

 

#2 これまでの麺カタコッテリの話を4人とタナケンでしよう

■内心どこまでメジャーに夢を持って飛び込んで行ったんですか?

ダイスケはん「ドリームの話ですか?」

上ちゃん「英語で言っただけ(笑)」

ダイスケはん「『ロック番狂わせ』出して、しばらくは八王子のライヴハウスでバイトしてましたよ。当時、凛として時雨とか、あとGOOD 4 NOTHINGとかLOST IN TIME とかがライヴしてました。その時に僕は受付でチケットもぎりとかしてましたから」

ナヲ「みんな働いてたよね。私も介護のバイトしてたもん」

上ちゃん「僕も介護」

■亮君は、みんなに働いてもらってしこたま曲作ってたんだ?

亮君「パチンコしてました、僕は」

全員「ははははははははははははははははは」

ナヲ「最低っ!! 」

亮君「パチプロでした」

ダイスケはん「それ夢! ドリーマー!」

亮君「夢追い人」

ナヲ「亮は、クレジットカードの審査の時に職業欄に書くことなくて『夢追い人』って書いてたからね(笑)」

ダイスケはん「審査通ったん、それ?」

全員「はははははははははははははははははは!」

ダイスケはん「でもVAP っていうてもメジャーじゃないですか。なのに周りの人には伝わらなかったんですよ。『どこからメジャー行くんやっけ?』って。ソニーとか東芝とかじゃなくてVAP って言うと、『ん?』って結構ありました。僕は個人的に子供の時に見てたテレビ番組の『魔神英雄伝ワタル』がVAPから発売されてたからVAP っていう名前は知ってましたけど。だからVAP入ってよかったなと思うのは、そういう映像系のものをサンプルでいただけるっていうことで。ガースー人形とかがVAPのビルに置いてあって、あれはワクワクしたなぁ」

ナヲ「でも、いわゆるキャンペーンで大阪とか北海道とか各地に行って、ラジオの番組出たりとか地方紙のインタヴュー受けたりとかっていうのは今までなかったからね、メジャーっぽかったかもね」

亮君「そういうプロモーションはインディよりも全然よくなったし、でもスタンスはインディーズのままだったから。友達のバンドがみんなソニーだったりして、ザ・メジャーでちょっと縛りが多かったり、歌詞も変えたりとかよく聞いてたんだけど、こっちは口出す大人がいなくて自由にインディーズのスタンスでやれるっていうのは当時から実はおっきくて」

■結局いいこと尽くしじゃないですか。

亮君「そうなんですよ。だから本当にVAP には感謝してて、この振り返りインタヴューを急に思いついたのも、VAPが大好きだからなんです。『そのスタンスだからこそ芽が出てきたのはタナケンのおかげ』って、本人自身がずっと言ってるけど」

タナケン「いや! とにかくホルモンに関しては、上にいろいろ報告をしなかったんですよ」

全員「ははははははは!」

(中略)

タナケン「あの時のことは今でも覚えてるんだけど『ロッキンポ殺し』の時――レコーディングって歌詞を確認するんですけど――指摘されたところが106ヵ所あって」

全員「はははははははははははははははははは!」

タナケン「104 ヵ所は撃退したんですけど、堅あげチップスと――」

亮君「あと川北サリン」

■あー、そりゃ無理だ。

亮君「サリンを猿員(“川北猿員”)に変えたり、あと<やらせろ 金玉プロ>っていう歌詞で『金玉』は、金玉だけならセーフだけど、<黙れヤンキー女ビッチ やらせろ金玉>って並ぶとアウトで、初めてホルモンで曲中にピーッ入ってるもんね。あの時はこれがメジャーなのかって思ってショックだったんですけど、今考えてもこりゃ確かにアウトだなと(笑)」

(略)

ダイスケはん「でも変にピーッを入れたり、×入れるのもそうやし、逆に目立つっていうことが、『包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリ/霊霊霊霊霊霊霊霊魔魔魔魔魔魔魔魔』とかでわかって」

亮君「結果、バツマーク入れてよかったもんね」

上ちゃん「あれめちゃくちゃよかったね。あの包丁とかも当時の世相でどうしても――」

亮君「当時、包丁事件があってね。危険なワードだったから×をしようって言われたんですよ」

ナヲ「最初『は?? なにそれー!!(怒)』ってね」

亮君「×つけて言葉を少しでも隠せってことで。でも刃物なんか使うな!ってそういう曲の意図にも繋がって、結果、メッセージ性もあって見た目的にもインパクト出てよかった」

■そういう狂暴なバンド扱いされてるのは楽しかったんですか?

亮君「まぁ……ちょっと……楽しかった(笑)」

ナヲ「でも見てくださいよ! 1個も狂暴じゃないでしょ、我々」

■そうね(笑)。

亮君「愛情たっぷり育てられたいい子達♡」

ナヲ「こんな育ちのいい子いないですよ!」

■えーっと。タナケンにとって、デビュー直後のホルモンはおつき合いしやすいバンドだったんですか?

タナケン「まずデビューシングル的な『ロック番狂わせ』の時に、いきなり特典DVD4種類っていう」

(続きは本誌をチェック!

text by鹿野 淳

『MUSICA1月号 Vol.141』