音楽ファンによる音楽ファンのための新しい音楽雑誌「OTONARI」です。/まずは特集「震災から2年—今を生きる人々、そこで鳴る音楽—」。震災地で熱く繰り広げられる東北ライブハウス大作戦の現場に体当たりしました。locofrankとMAN WITH A MISSIONとKen Yokoyama、そして高橋優が打ち明ける「あの日からの自分」インタヴューもあります。/次の特集は「音楽以外の仕事をしながら活動し続けるアーティストのドキュメンタリー」。一ノ瀬雄太(快速東京)、奈部川光義(ATATA)、井澤惇(LITE)、塔山忠臣(0.8秒と衝撃。)、それぞれの仕事現場と考え方に迫りました。/続くは「特集:街と音楽の在り方」。ここでは岸田繁(くるり)、YeYeが語る「京都」、SPECIAL OTHERSのルーツ「横浜」、山口一郎(サカナクション)など各地出身のアーティストを迎え、それぞれの街と音楽の特別な関係をレポートします。/他にも日高央(THESTARBEMS)×川上洋平([Champagne])が、英語で歌う意味と快感を腹を抱えて楽しく語り合う対談!/スガシカオと金田康平(THEラブ人間)が語り尽くす村上春樹への偏愛!/COME BACK MY DAUGHTERSやHOLIDAYS OF SEVENTEENが首ったけの洋楽バンドWEEZERの魅力や、今や絶滅品種になりかけた洋楽ロックの素晴らしさを特集しました。/あなたの「お隣」で音楽を語る「OTONARI」をお楽しみください!


編集スタッフによるブログも更新開始! http://www.nexus-web.net/otonari/

木下正行(locofrank)
「俺達は自分自身で今までの東北のしんどさ、を身をもって体感してきたつもりでした。でも、それは本当にただの……『つもり』でしかなかったんやな、って思わされて。それを、ごまんとおる『わかってるつもり』の人たちに伝えていっていかなくちゃいけない責任があると思ってます」

Ken Yokoyama
「パンクでよかったなぁって思うのは、Hi-STANDARDができたこと。日本を元気にしたかったんですよ。PIZZA OF DEATHでも、Ken Yokoyamaでも届かないところを、Hi-STANDARDは持っていて。もう、それを今やんないでどうすんだって思って」

Tokyo Tanaka(MAN WITH A MISSION)
「東北でMWAMが好きって言ってくれてライヴに来てくれている子には、勇気や元気を持って帰ってもらえればいい。ライヴでも一番みんなが求めていることは、エンターテイメントだと思います。そこはやっぱり……東北に来てるアーティストのライヴを見てるとみんなそこは同じ空気を感じますね」

高橋優
「まだ自分のことしか向き合ってないのに、まだやりたいことがあるような気がするのに、そういうことを置いといたまま、ただできることだけをやっているような状態で。それで笑ってもらったり感動してもらうっていうのも嬉しいけど、『これで終わりじゃない!』っていう気持ちが凄いあったんです。もっと広い世界を見たいし、もっと自分を出さなきゃって思って。残ってる自分を放っておけないと思いました」

一ノ瀬雄太(快速東京)
「ミュージシャンっていうのはあまりにも使い捨てされてる思う。よく『アイドルは使い捨て』って言うけどバンドも一緒ですからね。さっき言ったように『快速東京がこんな風にやってこんな風な衣装着てこんな風な曲作ったらこんな売れるよ』って人が現れるかもしれませんけど、それで人気があるのってせいぜい1、2年くらい。仕事っていうのは30年から40年とかやることなんですよね。だからなんかね……不毛なんですよ」

奈部川光義(ATATA)
「ある時点で冷静になった自分がいたの。『音楽で死ぬまで食える訳ねぇんだ』って。俺達が作るこういうアングラ的なロックで食えるかって言ったらそれは無理だなって気付いちゃって。そうなった時に、これ以上音楽でお金を稼ぐことをやめようって思ったの。音楽とお金を切り離して考え始めたのかな」

井澤惇(LITE)
「うん……厳しい。厳しいねえ。音楽産業は低迷しているかもしれないけど、それでも食っていけてる人はいるわけじゃない?そういう人はお客さんをちゃんと獲得できてるから、音楽だけで生計を立てることができる。ただ、自分達はそれができてない。だから生計を立てるためにアルバイトをしてる。CDを買いたい!って思わせる努力がまだ俺達には足りないんじゃねえのかなって思ってるよ。もっと頑張れば、音楽だけで飯を食っていけると思う」

塔山忠臣(0.8秒と衝撃。)
「僕は音楽で飯食えてるって思ってるんですよ。バイトしてるから実質的にはまあ食えてないんでしょうけど。音楽をやりながら飯は食えてるわけじゃないですか。そういう観点で音楽で飯食えてる。だから、今生活の中でどっちもが壊し合ってない。音楽もできるし、結果として収入っていう意味で、俺の生きてく仕事はバイトになってるんでしょうね。でも音楽に対しての熱意はバイトの比にならないくらいのものだから」

岸田繁(くるり)
「たとえば、電車乗ってても歩いてても、東京の人って緊張してるっていうか、しゃんとしてるんですよね。京都は、よく言えば凄くリラックスしてるけど、悪く言えばだらしない。自分も京都に帰るとそうなっちゃうところがあって。やっぱ仕事はこっちでしてるんで、スイッチの切り替えは意識しないとね」

音楽親善大使の皆さん
SPECIAL OTHERS/山口一郎(サカナクション)/中田裕二/藤井敬之(音速ライン)/グレートマエカワ(フラワーカンパニーズ)/稲村太佑(アルカラ)/磯部正文(HUSKING BEE)/小高芳太郎(LUNKHEAD)/氏原ワタル(DOES)/上江洌清作(MONGOL800)

川上洋平([Champagne])
「発音的にここは英語の方がカッコいいから英語にして、こっちは日本語でボン!みたいな。『FUCK!』と言ったほうが『クソ!』って言うより締まりがいいなとか、この言葉は日本語のほうが伝わるなとか。そういうことをきっと無意識のうちでやってるんです。『お客さんが日本人だから日本語の歌作ろう』とかは考えてないです」

日高央(THESTARBEMS)
「英語の歌を書くときに気をつけていることは、韻を踏むことです。俺はたったそれだけです。ミュージシャンはまず曲から思いつく人がほとんどだから、合わせてなんとなく出鱈目で歌う詞があってね。それが『なんとかで〜ぇ〜』っていうフレーズだったらその後に書く詞のお尻も『ぇ〜』にすると、自然と全部ハマってくの。韻を踏まなきゃいけないのは英語圏の暗黙の了解みたいなもので」

スガシカオ
「村上春樹さんは自分の文体を持つことにこだわるんですよね。小説家は特に自分の文体、誰にも真似されない文体を持つことが凄く大切だとあっちこっちで言っているんですよ。で、多分歌詞もそうなんだろうなとか思って。だから歌詞を書く時に自分の文体みたいなやつを頑張って作ろうと思っていましたね」

金田康平(THEラブ人間)
「国語の教科書には『こころ』とか『杜子春』とか載るでしょ。でも本当は、村上春樹が載ってたらいいのになって思いながらずっと読んでいて。要は、その多感な時期に読んでよかったなあって思うから。自分の中で一個の基礎、最初に読む物語の基礎ですね」