Posted on 2014.02.15 by MUSICA編集部

涙と笑顔を超えて生まれた光の楽曲集『RAY』、誕生。
BUMP OF CHICKEN 藤原基央、そのすべてを語る

他のアルバムに比べて、メンバーだったり、
メンバーじゃないスタッフの誰かだったりが泣いた回数が、一番多いと思う(笑)。
30突入して以降は、マジめんどくさい、自分も含めたこの集団が。
すっごいめんどくさいし、気持ち悪いし……でも、最高なんです(笑)

『MUSICA 2月号 Vol.83』P.14より掲載

 

■今日は、2014年1月17日です。『RAY』というアルバムはほぼ完成していると思うんですが。オープニングだけちょっとまだなんだよね?

「完成してないってこと? そうなんだよ。オープニングはね、割と最近、急に決まったことなので。改めて聴いてみて今のままフィックスさせるか、さらにどうのこうのしてみたりってことが……あったりなかったりなんじゃないですかね(笑)」

■他はもう全部フィニッシュしたの?

「いや。明日、歌を1個入れます。“ray”です」

■あ、今聴かせてもらってるのは本テイクではないんだ。でもこれ、武道館でとっくに演奏してる曲じゃない。

「そうなんだけどさ(笑)。ほら、ライヴとレコーディングっていうのは根本的に違うでしょ? しかもアルバムの発売が延びたじゃないですか。それに伴って――これは俺の口から言うのも申し訳ないなと思うんですけど(笑)。スタッフ間でスケジュールの組み直しがあって。“ray”のヴォーカル録りも、リリース日が見えてからもう一度組み直そうか、みたいな雰囲気があって」

■それは自分のテンションも含めてのことなの?

「それは僕がどうこうじゃなかったです。『ちょっとスケジュールがバタバタしちゃったから、1回バラして、もう1回組み直そう』みたいな雰囲気になってたんです。僕は全然よかったんですけど。そういういろいろなことがあって、歌入れがまだ終わってない状態なんですよね」

■リリースまでの時間も増えたということで、万全の体勢でアルバムのリリースを迎えられるっていうことなんでしょ?

「あの……完成しないと万全とは思えないですよ(笑)。だからまだそういう感想は持てないです」

■実は、3日ほど前から僕の周りでは熱いTwitterとかFacebookが飛び交っていて。

「え、どうしたの? 何かいいことあったの?」

■いや、あなたのリスナーの皆様から、「しかっぺよかったねー!!」っていうSNS関係がもの凄い量で来てるんですよ。

「『しかっぺよかったね』? 何がよかったの? しかっぺ凄いことしたの?」

■いやまったく。“(please)forgive”っていう曲が、遂に世の中に出るんだね!って。

「あぁー!!! そっかぁ! しかっぺ、あれ聴いてるんだもんね、何年も前に。随分待っててくれましたもんね!」

■僕がどうのじゃなくて、とにかくリスナーの皆さんが非常に喜んでるんだよ。

「“(please)forgive”は、しかっぺはなんで知ってるんでしたっけ?」

■2010年の真夏に『COSMONAUT』のレコーディングに行った時、“angel fall”とかと一緒に入るもんだと思ってレポートさせてもらったんだけど……入らなかったっていう。

「入らなかった(笑)。ふふふ、そうですね。なんであれ入らなかったんだっけなぁ」

■ちょっと内輪話のようで申し訳ないんだけど、あのレポートで“(please)forgive”という曲を僕がフライング発表してしまったことで、世の中に情報が割と広まっていて(笑)。で、僕があまりに素晴らしいと書いた――実際そう思ったからさ――ことで、世の中のみんなは凄く楽しみに待っててくれたんだよ。そうやって待たれていた曲が今回無事に放たれることになってよかったよ、本当に。

「ありがとう(笑)。たぶん、(『COSMONAUT』に入らなかったのは)ヴォリュームの問題だったと思うんですけど。CDをすべての機器で100パーセント聴けるようにするためには、何分以内に収めるっていうのがたしかあって(ちなみに約74分ぐらいです)……。それでその分数に収めるには何か1曲削らなくちゃっていうことになって、バランスをみて“(please)forgive”を外したんだよね。これはまたの機会に、って。まぁそれだけのことだったんだよね。で、もちろん曲は何があっても風化しないからさ、こうやって入ることになりました」

■そういうことを考えていくと、この『RAY』というアルバムは『COSMONAUT』のリリースから3年3ヵ月ぶりなんですよ。前に話してくれた通り、その3年3ヵ月の間、ほぼこのアルバムとリズミカルに向かい合っていた、と。つまり「この3年3ヵ月のうちの5ヵ月ぐらいアルバムに集中した時期があった」とかではなく、非常に長い創作活動の結晶としてのアルバムであると。そういう意味では、今までの作品とは似て非なるものなんじゃないかと思うんですが。

「そう思います。制作期間の話ですよね? 確かに、集中してバーッと一気に何曲も録るっていう感じではなかったですね。3年半の中で少しずつ、何曲かずつ録ってきたものだと思います。長かったなぁ……うん、長かったよ、ふふふふふ。まぁ振り返ってみると、結構長いスパンの………一番古くにできた曲と、一番最近の曲の生まれ年の差が凄く空いたなっていう感想があります。だから何がという話ではなく、結果的に年の差があるなって――」

(続きは本誌をチェック!

text by 鹿野 淳

『MUSICA3月号 Vol.83』

Posted on 2014.02.15 by MUSICA編集部

星野源、おかえりなさい!
再会と再開の武道館ライヴ速報ロングレポート

おかえりなさい!そしてあっぱれ!
星野源が、遂に武道館にその歌を響かせた!

『MUSICA 2月号 Vol.83』P.32より掲載

 

2014年2月6日、日本武道館。この日がやってくるのを、どれほど待ち望んだことだろう。

 19時06分、場内が暗転し、一斉に歓声と拍手が沸き上がる。ガーシュウィン(星野が好きなアメリカのポピュラー音楽&クラシック音楽の作曲家です)の“Rhapsody in Blue”の調べに乗って、星野源、登場。しかもスラリとしたミニスカ美人ナースふたりを両脇に従えて(笑)。実に星野らしい茶目っ気たっぷりの復活シーンに、会場がどっと沸く。ナースを侍らせたままの状態で星野が笑顔でピースサインを決めたその瞬間、観客から再び割れんばかりの拍手が鳴り響き、「おかえりー!」「源ちゃん待ってたよー!」という声があちこちから飛び交った。本来なら感極まる場面なんだろうけど、ステージ上では星野がミニスカの中身を覗き込もうと体を屈めてナースの後ろを追いかけていて、なんかもう、その様が嬉しくて愛おしくて声を上げて笑ってしまう。その間にバンドメンバーも位置につき、遂に1曲目が始まった。星野源の復活の幕を開ける1曲目となれば、やっぱりこの曲しかない。そう、“化物”だ。

 高野寛(G)、伊賀航(B)、伊藤大地(Dr)、野村卓史(ピアノ)、山田あずさ(マリンバ&パーカッション)という編成によるバンドサウンドが一斉に打ち鳴らされ、その躍動感溢れる軽快なリズムと華やかなサウンドに乗って星野の歌が大きく、伸びやかに響き渡った。背面のスクリーンに映し出された表情はやや緊張気味だったけど、堂々と、しなやかな強さを持って、その確かなる歌声が武道館いっぱいに響かせていく。そして、<思い描くものになりたいと願えば/地獄の底から次の僕が這い上がるぜ>という、このタイミングでこれ以上ない決めのフレーズを歌い切った直後、彼は会心の笑顔を見せて叫んだ。

「こんばんは! 星野源ですっ!!」

 ………やっぱり泣いてしまった。きっと多くの人がそうだったと思う。ただ元気になって生きてくれさえすればいいと思ったこともあった。でも星野は、ちゃんと音楽と共にステージに戻ってきた――。

(続きは本誌をチェック!

text by 有泉 智子

『MUSICA3月号 Vol.83』