Posted on 2013.10.16 by MUSICA編集部

米津玄師、新たなステージ。
研ぎ澄まされた彼の表現に深く迫る

妄信的になれたら
どれだけ楽だろうと思うんですけど。
……俺の世代って凄い自意識過剰なんですよ。
でも、他人からどう見られてるか意識しない人間
っていうのは否応なく美しいもので。

『MUSICA 11月号 Vol.79』P.90より掲載

■前作の“サンタマリア”という曲は、それまでの米津くんの音楽像から大きく踏み出した変化作にして名曲だったんですが、今回はどの曲も、いい意味で非常に米津印なサウンドと歌の感じと、そして米津印な歌詞を研ぎ澄ませた形の楽曲になっていて。自分が持っている武器を如何なく発揮した印象があるんですけど、どういう意志の下にこの作品を生み出したんですか?

 

「“サンタマリア”が今までと全然違うことをやったんで、次に何やるかっていったら今までと同じことやろうかなっていう(笑)。単純に、激しい曲をやりたくなったっていうのがありますね。歌詞に関しては、詩的表現っていうのをなるべく排除する形で。いろんな意味に取れる振れ幅の大きい歌詞っていう感じではなくて、ストレートに直球な歌詞を書こうと思って作りましたね」

 

■そう思ったのはどうしてだったんですか?

 

「曖昧にしていたくないなって思ったからです。これまでやりたいことだけやって、やりたくないことに関しては曖昧に曖昧に、後回しに後回しにしてきた人間なんで。でも、もう曖昧になってはいけないなと、それは楽曲に対しても思いました」

 

■それは、何かひとつ区切りがついたってことなんでしょうか。たとえば前回のインタヴューで、あの時期に“サンタマリア”を作ることは、自分にとって禊みたいな意味合いが強かったっていう話をしていただいたんですけど。その禊ぎが済んだっていうことが関係してるんですか?

 

「前に話した通り、“サンタマリア”は自分の中でどうしようもなくなってた時に作ったんですね。あれを作ってシングルにするしかなかった状況だったんですよ。だから今になって自分がやってきたことを振り返っていくと、必然的に“サンタマリア”の前か後かで話すことが増えてるんですよね。だから、確実に“サンタマリア”を作って出したっていうのは自分の中で凄く大きなことで、だからこそ直接的な表現を取らざるを得ないと思いながらやってます。それを吹っ切れたと言っていいのかどうかわからないですけど」

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text by 有泉 智子

『MUSICA11月号 Vol.79』

Posted on 2013.10.16 by MUSICA編集部

これが今のレベル・ミュージック!
飽和しきったラウド/パンクシーンにSiMが決着をつける

言いたいこと言わないで好かれても、
それで生きてる意味あんのかな?って考えちゃうし、何も残らない。
それくらい本気のバンドなら一個で辞めるべきだって思うんです。
SiMの後にやったバンドで
“KiLLiNG ME”やってください」なんて言われたくないし

『MUSICA 11月号 Vol.79』P.84より掲載

■『PANDORA』っていうタイトルにも表れていると思うんですが、僕達が生きていく上で闘うべきものや時代に対しての言葉がより直接的になっているし、パンク、ダブ、スカ……SiMが持っている要素が過去最高の振り幅で叩き込まれた、1枚通しての起伏が凄まじい作品だと思って。

 

MAH(Vo)「音楽的には、言ってもらった通りですね。で、さらに新しい要素として、“Amy”の時に出したダブステップやドラムンベースっぽいアプローチを強く出すために、SHOW-HATEがキーボードを使ったり、ドラムでもパッドを多用したりして。人力のグルーヴ感でそれをどれだけ出せるか?っていうのを漠然としたテーマとして念頭に置いてたんです。だから、今までをまとめた上で新しい要素を入れたっていう感覚で。だけど、思ったよりもスッキリ聴ける作品になったかなと。メッセージの面では確かに今まで言いたかったことをかなり言えてるので、満足してますね」

 

SIN(B)「セッションで作った曲が多いっていうのもあるんですけど、より、この4人でしか出せない音が出てると思います。各パートだけで聴いてもいいくらい、レベルの高いこともやれていて」

 

■確かに音の分離がメチャクチャよくなってるし、各パートの音や個性が凄く立っていて。

 

SIN「各パートで難しいこともやっているからこそ、それぞれがちゃんと立つように、音色やMIXにもメチャクチャこだわって」

 

SHOW-HATE(G)「でも、MAHが言ったようにスッキリ聴ける作品ではありつつ、個人練習に入った途端『改めてやるとめっちゃ難しい!』っていうことが多くて(笑)。プレイしてる本人にしかわからない部分も多いかもしれないけど、ライヴでやっていく中で、そういうところも伝わったらいいなって思える作品ですね」

 

GODRi(Dr)「今回もラウドで複雑な曲が多いですけど、キャッチーなメロディやヴォーカルは一貫していて。現状、SiMの括りはラウドロックなのかもしれないけど、その中で、他のラウドバンドとは違う方向に行けているアルバムなのかなって思います。パンク、ラウド、いろいろあるけど、最終的にSiMはメッセージ性なんだって思ってるんです。楽曲のアレンジも常に詞に向き合いながら考えて、どう合わせるのかを相談したし」

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text by 鹿野 淳

『MUSICA11月号 Vol.79』

Posted on 2013.10.15 by MUSICA編集部

ストイックなツアーを終え、辿り着いた珠玉の1曲。
新たな世界へ踏み出した、THE BAWDIESの現在地に迫る

凄く光が見えて、暖かくて……
“THE SEVEN SEAS”の世界観っていうのは、
今まで経験したことのないような追い込まれた精神状態から出た
自分の理想としている場所、心のオアシスなんです

『MUSICA 11月号 Vol.79』P.78より掲載

■新曲の“THE SEVEN SEAS”、僕はこの間のSWEET LOVE SHOWERの現場でも聴かせてもらってたんですけど、ギターのアルペジオだったり、ミドルテンポで聴かせるメロディだったり、リフとグルーヴで押してきたこれまでのTHE BAWDIESとはまたひと味違うネクストステージの新曲なのかなと思っていて。

 

ROY(Vo&B)「やっぱりツアーが大きかったと思うんですよね。制作した期間もツアー中でしたし、レコーディングしたのもツアー中だったんで。ただ、今回のツアーっていうのがとても凄まじかったので――」

 

■約5ヵ月間で59公演ですもんね。凄まじかったっていうのは、単純にスケジュールとしてキツかったからなんですか? それとも、それに伴う精神的なところも含めて?

 

ROY「日程的にもそうですし、実際にアルバムの『1-2-3』が凄くストレートなものだったので、それを全力でぶつけていくっていう……イメージしてたよりも本当にいろんな意味で激しいものが続いて。それこそ2月から始まって6月まででしたけど、実際にはライヴモードにしていくのって、そのちょっと前から始めていかないとできないことなんで。そう考えると、まるまる半年間ぐらいライヴモードだったんですね。終わってみてかなりストイックなツアーだったなと思いますし、肩の力を抜けなかったんですよ、ずーっと」

 

TAXMAN(G&Vo)「もちろん意味のあるツアーっていうのはわかってたんですけど、そんなに長いツアーは初めてだし、結構ハードで。本当に余裕がなかったんです」

 

ROY「常に気を張った状態じゃないと、どこかで緩めるとライヴモードの集中力が解けてしまいそうな気がして。でも、ずっと同じ環境にいるとやっぱ辛い瞬間もありましたし、バンドとして凄く追い込まれた時期もあったと思うんですよね。なので、今までバンドが経験したことないような精神状態までいったっていうのはもちろんあります。で、その中で僕個人としても気を抜いちゃいけないっていうプレッシャーを感じてたし、体も心も休まる場所がなかったんで――」

 

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text by 寺田 宏幸

『MUSICA11月号 Vol.79』

Posted on 2013.10.15 by MUSICA編集部

RADWIMPS、次のステージへ。
初の野外ワンマンレポート&ニューシングル徹底レヴュー

ここ数年の旅にひとつの決着をつけ「次」へと進むための
愛に溢れた初の野外のワンマン「青とメメメ」。
そして、放たれた痛烈な問題作たるラヴソング集、
ニューシングル『五月の蝿/ラストバージン』。
あまりに無比なその存在を、その楽曲を徹底レヴュー

『MUSICA 11月号 Vol.79』P.66より掲載

 

 とても特別な日だった。RADWIMPSにとって初の野外ワンマンライヴだったことや、その初の野外ワンマンを東日本大震災から2年半が経った東北の自然に抱かれた場所で行うことの中に託されていた想いや、そういうことを指して「特別」と言っているのではない。この日のライヴは、『アルトコロニーの定理』以降のRADWIMPSが突き詰めてきたテーマと表現してきた音楽に対して、自らひとつの答えを出し、決着をつけるようなライヴだった。そしてその「答え」が、こんなにもあたたかで、愛と慈しみと歓びと、人への感謝に溢れたものであったことに、とても大きな感動を覚えた。この日のライヴをやり遂げたからこそ、やっとRADWIMPSは「次」へと進めるし、実際にここから彼らは新たな世界へと力強く歩を進めて行くのだろう―――そんなことを大きな充足感の中で強く感じた、本当に幸福なライヴだった。

 まだ明るくて周りの景色も周りの人達の表情もはっきりと見える16時。目と瞳を幾何学的にデフォルメしたような、真っ青な菱形の中に配されたLEDヴィジョンに脈打つ心臓をグラフィック化した映像が映し出され、鼓動を想起させる打ち込みのSEと共にメンバーが登場、ライヴはスタートした。初っ端から“One Man Live”、“ギミギミック”、“なんちって”と疾走感の強い楽曲が繰り出され、メンバーからもフィールドいっぱいのオーディエンスからも、アッパーな衝動と力強い生命エネルギーが一気に開放されていく。

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text by 有泉 智子

『MUSICA11月号 Vol.79』

Posted on 2013.10.14 by MUSICA編集部

BUMP OF CHICKEN
ツアー「WILLPOLIS」に完全密着取材敢行!

孤独を知ったから出逢えた、
孤独じゃない人達の意志が集まる街の音楽祭――
BUMP OF CHICKENツアー「WILLPOLIS」、
9月25日(水)&26日(木)横浜アリーナ2DAYS完全密着!

『MUSICA 11月号 Vol.79』P.42より掲載

9月25日(水)横浜アリーナ初日。

 12時57分に4人で楽屋に入ってくる。予定よりだいぶ遅く会場入りしたが、とてもリラックスしていて、まずは各所に散らばっている主要スタッフを探して握手したり挨拶したり談笑したりしながら、ゆっくりと、そして穏やかに楽屋に入っていった。リラックスしているのは表情だけではない。楽屋に入るなりすぐにスウェットに着替え出す。ライヴに向けて、無理のない時を過ごそうとする意志がそこには見えた。

「横浜アリーナはさ、来たことはあるけど、やるのは初めてらしいんだよ。『らしい』っていうのは、そういうのもう、覚えてないんだよね(笑)」とフジが話しかけてくれる。

 そのままみんなでテーブルを囲みながらご飯を食べる。家で朝食をしっかり食べてきた升だけ納豆ご飯のみ。チャマと増川は普通盛りで、フジが少なめ。「……少なめと言ったけど、スタッフが遠慮して結構盛ってくれたんだよ(笑)。これ、食べてくれる?」と3分の1ぐらいを一緒に食べている僕によこす。「ほら、しかっぺはどれだけ食べても負担かからなくてエネルギーになるけど、俺は今日と明日は胃にも喉にも負担かけちゃけないからさ」と言いながら、増川が旅に行った土産話をみんな共に朗らかに聞いている。

 昼食後、13時半頃からチャマがアコギを持って発声練習を始める。今日のファーストソングは、“スノースマイル”。季節的にこの曲を聴いても無理がなくなってきたなあと思いながら聴いていると、フジがコーラス部分をヨガマットの上でハモり始める。

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text by 鹿野 淳

『MUSICA11月号 Vol.79』

Posted on 2013.10.14 by MUSICA編集部

草野マサムネ、『小さな生き物』に込めた
想いを細やかに語る。

『小さな生き物』が脳内を歩き出す、
秘蔵エピソード満載の全曲解説インタヴュー

『MUSICA 11月号 Vol.79』P.52より掲載

1、未来コオロギ

 

■まず、この曲を1曲目にした理由を伺うところから全曲解説を始めていきたいな、と。

 

「実はね、“オパビニア”(M5)を1曲目用として作っていたんですよ。それはたとえば『Crispy!』とか『ハチミツ』と同じイメージというか、コンパクトで軽快な曲が1曲目にくるロックアルバムが好きだからっていう理由なんですけど(笑)」

 

■それはテンポよくガツッと耳を掴むような曲から始まるアルバムっていうイメージかな。

 

「そうですね。でも、みんなで曲順を話し合っている時に『“未来コオロギ”もアリだね』ってなって。ちょっと哀愁のある雰囲気だけど、リズム自体は軽快だし、ありそうでなかった1曲目かなと。歌詞の内容も、<未来コオロギ>っていうのはミュージシャン、そしてスピッツのメンバーのメタファーでもあるし………昔使った『ミカン』(“ミカンズのテーマ”)もそうだったんですけど、『未来コオロギ』もスピッツを象徴する言葉かなと思ったんです。そういうの含めて、『これからスピッツのアルバム始まりますよ』っていう曲として聴いてもらえるかなとも思いましたし」

 

■この曲から始まるというのは、非常にストレートな入り方だと感じたんですよね。“小さな生き物”に繋げるためにも、かわすようなタイプの曲でアルバムの世界観を示すのではなく、この曲で始めていきたいという意識が強かったんじゃないかと。

 

「“小さな生き物”が1曲目でもよかったんですけど、ここ最近ミディアムテンポで始まるアルバムが多かったじゃないですか。“ビギナー”(前作『とげまる』の1曲目)も、“僕のギター”(前々作『さざなみCD』の1曲目)にしても。それもあって、ちょっと変えたいなっていう気持ちがあったんですよね」

 

■曲自体は、いつ頃作ったものなんですか?

 

「アルバム制作の後半かな……大体曲作りの時は、サビのメロディから膨らませていくことが多いんです。これもサビが最初にあって、そこから膨らませたもので。『未来コオロギ』って言葉自体は、ずっとネタ帳に温めてたものなんですけどね」

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text by 鹿野 淳

『MUSICA11月号 Vol.79』

Posted on 2013.10.14 by MUSICA編集部

ついにメジャーファーストアルバム『DOPPEL』発売。
KANA-BOON、これが今僕らのロックのど真ん中だ

僕らに関して言えば、
突然変異的な新しさじゃなくて、
ブラッシュアップされていく、
磨かれていく新しさなんやないかと思う。
僕らは今はまだ種やから。この種が花になった時に、
本当に新しいものになるんやって信じてる

 

『MUSICA 11月号 Vol.79』P.14より掲載

 

■まさに今日このインタヴューをやってる9月25日に、メジャーデビューシングルが出まして。ひとまずは、おめでとうございます。

「ありがとうございます」

■ツイッターで「中学校以来の夢がひとつ叶いました」って書いてたけど。

「そうですね。3つあって、インディーズデビューと、メジャーデビューと、ホルモンと対バンするっていうことだったんですけど」

■ってことは、これでもう残すところはホルモンとの対バンだけですね。早急に次なる夢を見つけないとマズいんじゃない?

「はははは、とりあえずふたつは達成です」

■バンド組んだ時から、デビューするぞっていう気持ちは鮪くんの中では強かったんですか?

「僕自身は強かったです。バンド組んだ時というよりも、その前からですけど。KANA-BOONは最初は部活として楽しくやってたし、デビューするバンドがKANA-BOONなのかどうかはわからなかったですけど、音楽で食っていくっていうヴィジョンは中3の頃からずっと強く持ってました。そのためにギター買ったところもあったんで。………ただまぁ、夢が叶ったって言ったほうがドラマチックなんでそう言ってますけど、実際は始まったっていう感じのほうが強いですね」

■そうですよね。で、間髪入れずにファーストアルバムの『DOPPEL』が出るんですが。本当に素晴らしい、ロックバンドのデビューアルバムとしてかなり完璧なアルバムだと思う。楽曲のヴァラエティと粒の揃い方にしても、歌っている内容にしても、今KANA-BOONが持ってる武器を全方位で出し切りつつ、これからKANA-BOONがどういうバンドとして次世代のシーンを引っ張っていきたいのかっていうことや、このバンドが秘めている可能性までをちゃんと提示することのできたアルバムになりましたね。

「嬉しいです、ありがとうございます」

■そもそも、どんなヴィジョンを持ってアルバムを作り上げたんですか。

「元々アルバムを作る段階ではテーマとかはなくて。曲が出揃った時にひとつテーマみたいな言葉を掲げたんですけど。それは『DOPPEL』っていう言葉とは別の、多面的な、いろんな面を持つっていう意味の言葉だったんです。で、そこからブラッシュアップしていく中で『DOPPEL』というタイトルに落ち着いて……また例のごとく、でき上がってみて『DOPPEL』っていうテーマにぴったりな中身やったなと思いました(笑)」

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text by 有泉 智子

 

『MUSICA11月号 Vol.79』


Posted on 2013.10.13 by MUSICA編集部

くるり、15周年。
デビューからの軌跡と新曲“Remember me”を語る。

『坩堝の電圧』は、一番時代に寄せた
アルバムやったんですけど。
ただ、僕らがずっと作ってきたものって
大体5年後、ないし10年後に起こることが
描かれてるような気がしていて。
今はまた、そういうものを作っていきたい

『MUSICA 11月号 Vol.79』P.201(バックカバー特集)より掲載

 

■この15年を振り返ってみてどうですか?

 

「うーん……時代は変わったなということですかね。前のアルバムで韓国にレコーディングに行った時、ソウル市内を歩いていたら日本の15年前の感じがしたんですよ。それは向こうが遅れてるってことではなくて」

 

■はい、人や街の活気が15年前の日本のようだと話してましたよね。

 

「そうですね。僕らはビクターでやらせてもらってますけど、昔、ビクターが原宿にあった頃の東京に近いものを感じたというか。下北にしても、もちろん今でも活気のある街ですけど、その頃はまだインディーのギターバンドがいい意味で今よりもチャラチャラしてた、浮かれ気分があった時代ですから」

 

■当時と比べると、時代的にだんだん重くなっていった15年間だったと思うんですが。そのムードは自分達の音楽に跳ね返ってきていると思いますか?

 

「前の『坩堝の電圧』は、そういう意味では一番時代に寄せたアルバムやったんですけど。ただ、僕らがずっと作ってきたものって大体5年後、ないし10年後に起こることが描かれてるような気がしていて。今は、そういうものをまた作っていきたいなっていう気がしてるんですよね」

 

■今回リリースされる『Remember me』は、そもそも去年の夏、『坩堝の電圧』から時間を置かずに作られた楽曲で(最初のバンドヴァージョンは昨年の秋に配信リリースされた)。あれからここまでの間に吉田省念さんの脱退がありました。そのことを岸田さんはどう捉えているか、伺えますか。

 

「うーん……なんで辞めたのかは僕は知りません。慰留はしましたけど。ただ、そもそも自分の音楽をやることに主眼を置いてた人なんで。ソングライターですし、自分で歌いたい人やしね。そんな中でバンドに参加してくれて、メンバーとして一緒にやって……まぁだから、いつかは辞めていくんだろうなとは思ってたんです。だから結果、よかったんじゃないかな。ファンの人には申し訳ないですけど、僕らは自分達の音楽にフォーカスできるようになりましたし、彼もたぶんそうなんじゃないでしょうか」

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text by 有泉 智子

『MUSICA11月号 Vol.79』

Posted on 2013.10.13 by MUSICA編集部

エレファントカシマシ、完全復活。
復活の声を上げた野音密着と、宮本が語る新曲に込めた想い

歌で全部伝えられると思ったんです。
だからリハーサル細かくやったし、願掛けでタバコやめたし。
……寝られなかったからね、前の晩は。そういう想いはちゃんと音楽にできた

『MUSICA 11月号 Vol.79』P.22より掲載

 

■少しばかり時間経っちゃったんですけど、日比谷野音の密着ではお世話になりました。

 

「こちらこそお世話になりました。妙に楽しかったですね、あれ(笑)。全体的にとても楽しかったんです、いやー、楽しい時間でした」

 

■振り返ってみるとどうでした? 復活をみんなの目の前で遂げられたというのは。

 

「凄い緊張しちゃってたんですね。ただ、また例によってリハーサルを凄く長時間かけてやってたんですけど、手応えが実はありまして。これはいいライヴになるな、と。(メンバーに)口に出しちゃうとマズいんで、なるべく口に出さないようにしてたんですけど、前日とかにそう思いました。ただこれは反省というか、ご愛嬌まではいかないかな、MCまで今回考えてなかったんですよ」

 

■宮本さんいつもMCはちゃんと考える人なの?

 

「考えないですね、基本的には」

 

■考えないんじゃん(笑)。

 

「今回もその調子でやっちゃって。去年、野音をひとりでやった時には、考えなくても凄く素直にいろいろ言えたんで、今回のも素直に言えるだろうと思ってさ。そういう想いでステージに行って、お客さんも凄く楽しみにしてて。復活の野音っていうのは東京2日、大阪2日あるんだけど、なんにしてもその初日の緊張感っていう、あそこを目指してたんですよね。だからね、言いたいことがほんと自然に出てくるもんだと思ってたの、曲の流れで。ところが去年の気持ちとはまったく違ってたみたいで。だからコンサートトータルでもうちょっと……話がちゃんとできればよかったなあって。それは反省しました。前半が特にね、みんながMCの何かひと言で少し解放されたりするところがあるんですよ。緊張感が解けたりさ。今回は特にお互いもの凄く緊張してるから。バンドも緊張してるし、お客さんも緊張してるし、スタッフも緊張してる。宮本はほんとに大丈夫なのか?って。大丈夫だって本人は言ってるけども、はたして最後までできるのか? ちゃんと声が出るのか? 耳は聴こえるのか?とか、いろんな緊張ですよね。久しぶりのコンサートでワクワクドキドキもあったし……だから何か自然とリラックスする言葉みたいなものが音楽以外で形にできたら、もっとみんなリラックスして最後までいけたんだろうなって。それは終わった後に思いましたね」

 

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text by 鹿野 淳

『MUSICA11月号 Vol.79』