Posted on 2017.04.20 by MUSICA編集部

175R、7年ぶりの新作『GET UP YOUTH!』
アルバムに込められた意志と、
己が信条「ハッピーライフ」をSHOGOが語る

夢に縛られるのは本当に本末転倒なことで、
だから僕は客観視してないとダメだなって。
叶えられるものと叶えられないものを、
この年になると選別しないといけない

『MUSICA 5月号 Vol.121』P.132より掲載

 

■昨年行われました骸骨祭りで復活されて、ついに7年ぶりのフルアルバムがリリースされます。前のめりで、パワフルで、夢に向かっていく初々しいエネルギーに満ちた作品になっていると思うんですけど、何故7年ぶりのアルバムでこんなにもフレッシュな作品が出せたんだと思いますか?

6年間の休止期間があって、僕の中では今回の活動再開が新しいバンドをまた1から組むようなイメージで動き始めたので。ファーストアルバムを作るようなイメージで作っていったんですよね。それで先ほど言ってもらったようなそういうものが今回の作品には詰まってる気はしますね。ただ現実として、僕らは1枚目のアルバムのようなイメージで作ったと言えども、やっぱり7枚目のアルバムであり、今のバンドシーンを賑わせている若手のバンドさんとはやっぱり違うので。そこは今までの経験値みたいなものが歌詞だったりサウンド面にも出てればいいなとは思いますね」

■たとえば1曲目の“歓びの詩”では<フロアも皆 ステージも皆/ごちゃまぜだ 境界線なくして>って歌われていて。ここからはジャンルはもちろん、これまでのキャリアとかしがらみとかも取っ払って新しい自由な音楽を作りたいっていう気持ちがうかがえたんですけど、実際にそういう気持ちはありましたか?

「ありますね。やっぱり一度歩みを止める時にはいろんな覚悟があったし、いろんなストレスも溜まっていて。それを消化していくような6年間だったと思うんですけど、活動を再開する以上また同じことを繰り返したくないっていう気持ちが凄く強いので。だから音の面でもそうですし、マイペースにいくっていうのを特に意識していきたいなって」

■その活動休止前に「ストレスも溜まっていた」っていうのは、たとえばどういう部分で感じてたんですか?

「ずっと同じメンバーでやってきた中で、メンバーの音楽に対する接し方だったりモチヴェーションだったりに差を感じてたんです。誰かに言われて組んだバンドじゃないし、自分達が好きで始めた音楽だし、しかもそれがここまで長く続いているっていう……だから音楽ってやっぱり凄く大事なものなので、そこでは嘘をつきたくないっていう気持ちが強かったんですよね。最初はとにかくがむしゃらにやってって、それが次第に結果に繋がっていって、そしていわゆる職業のようなものになっているんですけど。そこの線引きって凄く難しいじゃないですか? だって音楽って、それが職業になったとしても、自分にとっては趣味の延長線上でもあると思うので」

■もちろん、そうですよね。

「で、それに加えて必然的なことなのかもしれないですけど、どんどんセールスだったり動員だったりも、自分達の思うようにはならなくなっていくって中でいろいろ葛藤しますよね。そこで、だったらなおさら、『大事にしてきた音楽を食うためにやりたくない』みたいな気持ちが逆に出てくるし、メンバーに対しても、組んだ当初のような気持ちで音楽に向き合って欲しいって気持ちが強くなっていって――だって、レコード会社や事務所の方がいたり、いいスタジオでレコーディングできるっていう環境があるんだから、本当はもっともっとたくさんのことができると思ったんですよね。ただ、本人達にいろいろ意見はあると思うんですけど、それが僕が見ている限りではそれができなかったっていう。それであまり変わらないメンバーに対して、苛立ちだったりを当時は凄い感じてて」

■そういう経緯があったんですね。SHOGOさんは休止期間中には一時ロンドンに住まれていた時期もありましたし、ソロで音楽の活動をされながら舞台も経験されていて。そういう様々な経験をされているうちに、175Rっていうのを相対化していったり客観視する時間があったと思うんですけど、そういった感覚はご自身では持たれていますか。

「確かにそうですね――いや、でも僕の場合は元々客観視していたんですよ、どっかで175Rっていうものを。それはきっと組んだ時からそうでしたね。だからメンバー写真とかを撮っていく時も『ヴォーカルはひとり金髪で、やんちゃで――』とかそういうイメージがあったし……でも今の175Rに関して言うと、正直わかんないですね」

■というのは?

「6年って言葉にすると凄く長いんですけど、僕にとっては本当に休止期間も充実していた分、2、3年しか経っていないイメージがあるというか。なのでこの間TOTALFATにイベント呼んでもらった時、彼らが『帰ってきたレジェンド!』って僕らを紹介したんですよ。そうやって言ってくれるのが凄く嬉しい反面、もうそれがこそばゆくって。でもそこで共演したENTHっていうバンドも、『初めてチケットを買ってライヴに行ったのが175Rでした』っていうのを楽屋裏で言ってくれたりして……なんか自分としては玉手箱を開けたような不思議な気分で(笑)。ただ、実際久しぶりにライヴをやった去年末は、過去の曲をライヴでやったら『なんかこれちょっと今の時代とマッチしてねーな』と思うこともあったんで。だからそういう意味でも、やっぱり作ったばかりの新曲でライヴやりたいなっていう気持ちになっているし、今の175Rを若い子にも提示していきたいんですよね。それこそWANIMAだったり、ブルエンやフォーリミとかってところに、イナゴって略されて入りたいなっていう気はしますね」

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text by黒田隆太朗

『MUSICA5月号 Vol.121』

Posted on 2017.04.20 by MUSICA編集部

BLUE ENCOUNT、渾身のバラード『さよなら』を発表。
アルバム『THE END』から3ヵ月、
本作に込めた想いと確かな自信を田邊が語る

1年前と比べたら、MCの量が全然減ってて。
自分の中でも「あ、俺歌いたい」ってなってる。
曲でも多くやらせてくれって。
とにかく音楽に埋もれたいなっていう気持ちがめちゃくちゃ強いんです

『MUSICA 5月号 Vol.121』P.92より掲載

 

■『THE END』の取材以来なんですけど――。

「アルバムのインタヴューが大晦日でしたもんね(笑)」

2016年の大晦日の、しかも夜に取材するっていうね(笑)。

「あの後、Zepp(カウントダウンイベント「GT2017」に出演)に行って細美さん(細美武士)とベロベロになり(笑)。いい大晦日でした。細美さんに初めてちゃんとライヴ観てもらって、『お前ら超いいライヴしてたね』って言ってもらって。その後もラジオとかで『東北をあいつらと一緒に周りたい』って言ってくれたりして、凄い近くなれた日でしたね。で、年明けてから正式に『ラストコップ THE MOVIE』の主題歌のお話をいただきまして」

■あ、ということはアルバムリリースしてから作ったんだ。映画主題歌ってかなり前から制作してる場合もあるけど、これは『THE END』後のブルエンが作った楽曲なんだね。

「そうですね、だから最新の僕らですね。昨年、『ラストコップ』の打ち上げがあったんですよ。僕らも僭越ながら出させていただいて、“LAST HERO”をアコースティックで歌わせていただいて、そこで『映画版もBLUE ENCOUNTでご用命お願いします』って言ったんですけど――」

■よ、営業上手!

「そしたら本当に1月にお話をいただきまして。ただ、その話以前に、今回はブルエンの中でも絶対バラードだなっていうイメージはあったんですよ」

■それはどうして?

「やっぱり“LAST HERO”っていう曲はBLUE ENCOUNTのイメージをさらに強くするきっかけになったと思うんですよ。あれでミュージックステーションも出させていただいたし、世の中的にはエモくロックをするバンドだっていうようなイメージが強くなったと思うんですよね。で、そこからすぐに出した『THE END』は、そういうパブリックイメージを壊しつつも、エモーショナルっていうことに対する僕らなりの解釈を噛み締めてやれたアルバムだったと思ってて。それが今まで以上にCDもいろんな人に届いてるなってう反響もあったし――実際、今やってるツアーでも、初日に思わず4人で顔を見合わせたぐらい、もう1曲目から『あ、この人達、このアルバムをちゃんと聴き込んでる』って思うような反応があって。だからこそ、次の一手って考えた時に、自信を持ってまた裏切ることが大事なのかなと思って。だからこそバラード一択だなっていうのはみんなの中に凄くあったんですよね。あとはもちろん、映画の最後にパンと流れた時、映画で描かれたストーリーの先にあるもうひとつのドラマを作りたかったというのもあって。脚本を読ませていただいたら、今までの『ラストコップ』になかった切ない結末だなと感じて……脚本を読み終わった時にパッと浮かんだ言葉が『さよなら』だったので、それをテーマにしたいなと。『LAST HERO』、『THE END』、『さよなら』って、どんだけ終わらせたいんだみたいな感じですけど――」

■ははははははははは、まさに。

「ただ、そこに乗ってる気持ちは結構違ってて。『THE END』の時期は、バンドとして何を打ち出すのかっていうこと含め、自分達のイメージとか終わりを壊すっていう意味合いで『THE END』とか決別っていう言葉を大事にしてたんですけど、アルバムでその答えが出たからこそ、今回は純粋な気持ちのさよならからの一歩みたいなものを書けたなとは思いますね。個人的にもちょうどその前後で別れが結構続いたんですよね。ウチのチームに長くいたスタッフマネージャーさんが別の部署に移ったり、僕がめちゃくちゃ仲よかった親戚のおばあちゃんが亡くなってしまったりってことがあったんですよ。寿命だったんですけど、小中学校の時とかしょっちゅうお世話になってた人が亡くなってしまって……そういうタイミングだったこともあって今回は別れっていうものと向き合ってみようと思って。で、そういう曲だからこそ、ちゃんと真横で聴く人の体験に寄り添いたいし、切ないんだけどブルエンらしい温かさをまとってたいなとも思ったし。ちょうど1年ぐらい前に“はじまり”っていうシングルを出したんですけど、あれは応援歌っていう感じのバラードだったじゃないですか。でも今回は、これを応援歌と取ってもらってもいいですし、ただただ悲しさを抱きしめる曲になってもいいと思うっていうぐらい、ちゃんとリスナーに委ねられる曲になったと思います」

■このバンドはアルバムにバラードが入ってくるバンドだし、確かに“はじまり”もバラードだったけど、ただ、ここまでポップス性の強いバラードをシングルとして切るのは初めてで。

「ここまで明確にしたのは初めてかもしれないですね」

■『THE END』は、“city”みたいな曲が入っていたことも含め、BLUE ENCOUNTの音楽的なイメージをより明確に広げてみせたアルバムだったわけですけど、あのアルバムを作り上げたからこそ、ここまで歌メインのアレンジに行き切れたっていうのもあるんですか?

「やっぱり凄く自信がついたっていうのがデカいかもしれないですね。前回のインタヴューでお話した通り、昨年はバンドとして方向性を迷ってた時期が結構あったんですけど、やっぱり『THE END』で自分達の中にある方向性をすべて出したことによって、怖さがなくなったっていうのはあるかもしれない。今また新曲を作ってるんですけど、どう思われたいっていう感覚がなくなったんですよ。今まではいかに泣き虫から脱却するかとか、あるいはMCの強みとかからも脱却するかみたいなところが凄くあったんですけど。そういうことじゃなくて、単純に自分達がその時に鳴らしたい音を鳴らすことが、バンドとして一番エグみのない強いものになるんだなっていう自信がついたと言いますか。だから“さよなら”も裏でシンセサイザーを入れたりして、どバンドサウンドよりは歌を前面に押し出すことをキーワードにすることができたし。でも、この前、幕張メッセのワンマンの時に初めて披露したんですけど、歌ってて結構ロックだなって思えたんですよ。音の厚さとかじゃなくて、その曲をバンドがどう大切に扱うかで音の質量が変わってくるんだなってことを実感したし、たぶんこれが今のブルエンがやりたい音の厚さなんだなって思って……なんか、音ってこんなにも自分達が出るんだなっていうのが凄くわかりましたね」

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text by有泉智子

『MUSICA5月号 Vol.121』

Posted on 2017.04.17 by MUSICA編集部

Mrs. GREEN APPLE、
早くもシングル『どこかで日は昇る』を発表!
希望のバラードに秘められた大森の原風景に迫る

ひとつだけ昔と絶対違うのは、
昔は俺のことをわかって欲しいっていう表現として
曲を作ってたんだけど
今はサビに歌詞がないような曲を作るぐらいだから
つまり、今は音楽として存在しようっていうふうになってる。
そこが大きな違いだと思う

『MUSICA 5月号 Vol.121』P.78より掲載

 

 

■このシングルはいつ作ってたんですか?

1月から制作始めて、1月末くらいにはデモとしては納品してたと思う」

■ということは、マジで全然止まってないね。

「そう(笑)。だからアルバムのキャンペーンを周りながらこのシングルを制作してる、みたいな感じでしたね」

■で、そのままツアーに出て。今はちょうどアルバムツアーのライヴハウス編が終わったところでなんですけど、ライヴハウス編はどうでしたか?

「前回のツアーが僕らのターニングポイントになるライヴだなっていうのは思ってたんですけど、あの時に掴み始めた感覚みたいなものをもっとラフに扱えるようになりましたね。だから今、ライヴが凄く楽しくて」

■その掴み始めたものって、言葉にするとどんなことなの?

「あんまり作り込まず、自由に音楽を楽しむみたいな感覚っていうか。ライヴにおいて『こうでなきゃいけない』みたいなことって、僕らもそうだけどお客さんにもあるなと思っていて。たとえば手を挙げてノる文化とかもそうだけど。あれって見た目もわかりやすいし、カラダ的にもわかりやすいんだろうけど、でも、ずっとそればっかりやられる違和感みたいなものがあったんですよね。ビートが違うのに、結果的に同じ体のノリになってしまうのってあんまり音楽的じゃないなと思うんですよ」

■本来はリズムが違えば、自ずとノリも踊り方も変わるものだからね。

「そう、そういう自由に音楽を楽しむ感じにしたかったんです。だから今回はツアーが始まる前から――僕らが周ったのはライヴハウスなんだけど、それをもっとクラブみたいにというか、もっとエンターテインメントな会場にしたいなと思って。来たことない子にとっては、やっぱりライヴハウスってちょっと敷居が高かったりとか、怖いみたいなイメージがあるものだと思うんですよ。薄暗くて、ライヴが始まったらグッと波が起こって。あれだけギュッとなってる空間だから具合悪くなっちゃう子もいたりして、慣れない人にとってはとても恐ろしい場所でもあるなと思ってて」

■それこそミセスのライヴだと、初めてライヴに来る子も凄く多いよね。

「めちゃめちゃ多いですね。今回、各会場半分ぐらいそういう子達でした。ぶっちゃけ、僕自身もあまり得意な環境ではなかったんですよ。自分も『よし!』って気合い入れないとなかなか出られない環境だった部分もあって。語弊があるかもしれないけど、最初の頃はライヴハウスってあまり僕らのフィールドではないなと思っていたし」

■それはどういう意味で?

「やっぱりアリーナでやりたいって思ってたから、そのための段階としてライヴハウスから始めていった感じだったので。だからアリーナとかホールだったら当時からいくらでもイメージが湧いてたんですけど、ライヴハウスってまったくイメージが湧かなかったんです。……だから今回は、まず自分がライヴハウスをいい環境にできないかなっていうところから始まったかな。ライヴハウスに今まであった概念みたいな、常識みたいなものを1回ここで変えたいなっていう話をしたんですよね。それでLEDのチューブみたいなものをライヴハウス全体に飾ったりして。要は、ライヴハウスなんだけどライヴハウスじゃないみたいな環境作りから始まって。で、お客さんにもまずMCで自由でいいんですよっていう話をして。知らない人が横にいるかもしれないけど、同じアーティストを聴きに来てるんだから、みんな自由に、好きにノレばいいんですよって話して。ツアーでやってる新曲があるんですけど、それがディスコ調というか、エレクトロなダンスミュージックの曲で、しかもサビはひたすら<Whoo>しか言ってない曲なんですよ。サビに歌詞がないっていう」

■ほー! 元貴くんがそういう曲を作るのは珍しいね。

「初めて(笑)。今まで僕らは歌詞をいっぱい紡いで、それをどういうふうに落とし込むかっていうことをやってきたバンドなんだけど、まったくそういうことをしないで、本当に音像だけで感じる曲をやってて。ライヴでそういうのが1曲あっても面白いのかなと思って作ったんですけど。音だけでまずノる文化っていうのは割と日本人は苦手だなと思うので、だから敢えてそういう曲をやって、変えていきたいなと思ったんですよね。で、その曲でキーボードの涼ちゃん(藤澤涼架)をフロアに突っ込んで、涼ちゃんはお客さんと一緒に踊るっていう(笑)。だから今回のツアーは今までのライヴでは観たことのない光景になっていたかなと思います」

■そういうふうにしていったことによって、自分がステージで音を鳴らしてる感覚だったり歌ってる感覚も違うの?

「全然違いますね。今までよりもとても自由です。だからすごく伸び伸びしてると思うし、楽しいです」

■今までよりも音楽を一緒に楽しむことができる場になってると。

「まさにそうだと思います。あと、僕らの自覚としても、まず楽器を演奏して音楽を鳴らす人達だっていう――当たり前のことなんだけど、そこが今まで全然強くなかったんで。そもそも、そこを補おうと思ってある程度エンタメにいった部分もあったし――」

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text by有泉智子

『MUSICA5月号 Vol.121』

Posted on 2017.04.17 by MUSICA編集部

ヤバイTシャツ屋さん、
新作『どうぶつえんツアー』をドロップ!
こやまの天性の感覚と狙いを解き明かす

前までは、ダメになったら辞めればいいやって思ってたんですけど、
それはいろんなお客さんに
僕らの音楽を聴いてもらってなかったから言えたことで。
今この状況の中で1年とかで消えるのはダサいやないですか。
だからもう消えたくない

 

■で、今回は4枚目のシングルなんですけど、まぁ今までのシングルはヴィレッジヴァンガード任せなところがあったと思うから――。

「ははははははははははははは、そうです」

■そういう意味ではきっちりとしたシングルとしては初めてのものだし、さらには次なるキックオフのタイミングでもあるわけだけど。まずはどういうことを考えてこのシングルを出すに至ったのか教えてください。

23曲目に関してはいつものノリで作った――自主制作で学生の頃からやってたのと同じ感覚やったんですけど、1曲目はどうしてもプレッシャーを感じてしまって。ほんまに大事な時期――大事な時期っていうか、アルバムをみんなに聴いてもらった後に出す1枚で、ここでヘマしたらヤバいなって思って、ちょっとプレッシャーは感じましたね。それで曲とかも全然できなくって。カップリングやアルバムに入れたい曲だったらいくらでもできたんですけど。“あつまれ!パーティーピーポー”みたいな盛り上がれる、みんなの耳に残るような曲を絶対ここで作らへんとあかん!っていう思いがめちゃめちゃあったんですよ」

■“あつまれ!パーティーピーポー”はそれくらい戦略的にできた曲だったの? それとも直感勝負だったの?

「“パリピ”は直感でしたね。こんなに盛り上がる曲になると思って作ってなかったです(笑)。ほんまに学生時代にヘラヘラしながら作った曲やったんで。でも今回は、それを狙って作らんとあかんと思って……だから今回はちょっと追い込まれましたね。曲のテーマも決まらへんし、初めてのメジャーのシングルの1曲目にふさわしいような曲できへんって思って悩んでたんですけど。そんな時にスタジオでネット見てたら『JCJKに流行るもの一覧』っていうのが上がってて、その中にヤバイTシャツ屋さんが載ってて(笑)。『そうなんや~、知らんことがいっぱいあるな~』って見てたら、その中に『〇〇み』っていう言葉があったんですよ。で、『え、〇〇みって何!?』ってなって(笑)」

■「うれしみ」とか「つらみ」とか言うらしいよね。

「らしいんですよ! 俺、これで1曲絶対できるわって思って言ったら、しばた(ありぼぼ)が『ヤバみ!』って言い出して。なんか、オカマバーかなんかの人が『ヤバみ!』って言ってるらしいんですよ(笑)。そんなん言ったら俺らヤバTやし、『ヤバみ』でイケるわって思って、そっからすぐワー!って出てきて。で、これができ上がりました」

■楽曲的にも隠れたところで高等なことをいろいろやってますよね。冒頭の部分でも、今までやらなかった英詞を入れてたり。

「はい。俺が敢えて英語で歌うっていうボケなんですけど」

■その上でサビで一気にポップになって、歌詞的にもメッセージをしっかり残しつつ、かつラップで韻も踏んでいて。非常に情報量が多い曲なんだけど、何をもってここまでのものが詰め込まれていったんですか?

「とにかく力を出し切りたかったというか、ほんまに特別なものにしたかったんですよ。この曲によってこの後のヤバTの動きが変わるなって思ったんで。だから凄く悩んだんですけど、パッと閃いてからはすぐできましたね。アー写にしろMVにしろ、何かしら裏切らへんとあかんみたいな感じになってて……もちろん僕もそれが楽しいんですけどね。既存のやつと同じことはしたくないっていうのがヤバTらしさやと思ってるんで。だからとにかく何したら面白いかっていったら、パッと聴いた時にヤバTっぽくないってことがまず裏切れるポイントやなって思ったんで、それで(曲の)最初は英語にしようっていうのは決めてて」

■ある意味、自分達の知名度が上がったっていうのを逆利用していった。

「はい。やっぱり“パリピ”しか聴いたことないっていう人も多いと思うんで、ただポップな感じだけじゃなく、ちょっとシリアスというかロックというか……というほうでやることが大事やなって思って。だって、ここでまた“パリピ”路線の曲を出してしまったら、やっぱりそういう感じのバンドなんやなって思われて終わっちゃうやないですか。だからこういう路線で行こうっていうのは最初から決めて、演奏技術的にも今までなかったような、パワーコードだけじゃないリフを入れてみたりして。やけど、サビはいつものヤバTで『よかった、変わってなかった!』って思わせたかったし。かつ、その後の大サビではほんまに思ってること――メッセージ性というか、今までなかったようなことをストレートにぶつけてみたという感じにしてて。……こういうコミカルな感じのバンドって、最初ずっとふざけてるけど、メジャー行って2年、3年してから真面目な曲出したがるじゃないですか。僕らもそう言われるのが嫌やったから、だったらむしろ一番最初にやってしまおうと思って――」

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text by鹿野 淳

『MUSICA5月号 Vol.121』

Posted on 2017.04.16 by MUSICA編集部

Base Ball Bear、名作アルバム『光源』完成。
バンドの核心たる「青春」が新たな解釈で迸る新作を、
小出祐介と共に全曲解説!

 

青春って未解決事件だと思う。
二度と解決できないのはわかってるんだけど、
「まだなんかあるんじゃないか」って思うことが、
自分の創作の源にあるから

『MUSICA 5月号 Vol.121』P.36より掲載

 

(前半略)

■このアルバムはとてもたくさんの要素で紐解ける作品ではあるんですけど、まずはざっくりと、ふたつの要素で語っていきたいと思います。まずは音楽性。音楽的に楽曲の半分が非常にBase Ball Bear然としていて、もう半分が新しい挑戦をしているのもので、しかもそれが11曲交互になってるなと思いました。もうひとつは、歌詞が全面的に青春回帰していて、しかも“Transfer Girl”などの過去の楽曲からの続々編のようなものもある。まず、歌詞が青春回帰したのは、どういうベクトル変換によって生まれてきたことなんですか?

「それは、『C2』を作ってた時に“不思議な夜”とか“どうしよう”っていう曲ができて――あのアルバムはトータルで見て理屈っぽいアルバムなんですけど、『なんでここで急に、青春と今が地続きみたいなことを歌ってんだろう、俺!?』って、ちょっと不思議だったんですよ。だから今回本格的に制作に入った時、そこについて凄く考えてたんです。2010年に3.5枚目っていう位置づけのアルバムを2枚同時リリース(『CYPRESS GIRLS』、『DETECTIVE BOYS』)して以降、どんどん青春性みたいなものが曲からフェイドアウトしていったんですよね。それとクロスフェイドするように今度は、現実味が前面に立ち上がってきて。あとは、自分探しじゃないですけど、自分と向き合うような内面的な作品にどんどんなっていったんです。なのに“不思議な夜”みたいなのが、ぽっと出てきたのが自分でも意外だったんですよ。その理由を探ることにヒントがあるんじゃないかと考えていった結果、それ(青春)自体をやっと対象化できたっていうことなんじゃないかと思って。……インディーズのファーストって『夕方ジェネレーション』っていうアルバムなんですけど、あのアルバムを作った時に感じてたことって青春じゃないですか、どう足掻いても」

■あれはまだ現役高校生の頃?

「盤が出たのが19歳の時なんですけど、作り始めたのが18の終わり……高3の終わりくらいからなんで、青春という範囲からはみ出せないんですよ。なにせ青春の当事者なんで。ただ、自分の当時のリアリティっていうのは教室にはなかったんですよね(笑)。学校が嫌いでしょうがなかったし、クラスメイト全員死ねってしか思ってなかったから。で、それを歌にするって手もあるんだけど、それだとあまりにも毒々しいし、真っ黒じゃないですか(笑)。そうじゃなくて、音楽としてはギターポップとかキラキラしたものが好きだったし、そういう音楽がやりたかった。だから必然的に当時の憧れというか、『こうだったらいいな』っていう空想とか妄想とか、そういう世界観の曲を作っていくんですね。それからインディーズで何枚か出して、メジャーデビューして。……僕がターニングポイントだなって思うのは、2010年の頭にやった1回目の武道館なんですよ。あの時の僕の気持ちをはっきり言うと、もの凄い挫折感だったんですね」

■え、あの年始にやった?

「そう、13日の。武道館で演奏してる最中のことを思い出すと、今でも悪い鳥肌が立つくらいの挫折感を覚えて。演奏中にどんどん心がボキボキボキって折れてく感じというか……。実力のなさみたいなものを目の当たりにしちゃって、『ここで何やってんだろう』ってなっちゃったんですよね。思い描いていた感触と全然違うっていうか」

■それは洋楽好きな自分としての、武道館ライヴのイメージと実際の景色との違い? それともBase Ball Bearが武道館に立つことの、自分の中のシミュレーションとのズレみたいなこと?

「単純に実力の足りなさとか、至らなさでしょうね。自分達だけを武道館に観にきたお客さんっていうのを目の当たりにして……しかもメジャーデビューから3年くらいの集大成を見せます!みたいなことを言っといて、いざ出てったら全然上手く歌えないし上手く演奏できてないし……。あと、それまでの作品で伝えたかったことが『伝わってんのかな?』とか、そんなことが本番中に凄い気になり出しちゃって。どんどん心が遠ざかっていくんですよ、ステージから(笑)。『いかんいかん! 熱中しよう熱中しよう!』とかって言い聞かせるんだけど、引き戻せず。表面的には『大きいワンマン大成功しました!』とかって言ってるんだけど、心はもうめちゃめちゃ折れてて。音楽やっててはっきりと挫折を感じたのが、その時の武道館で。自分と向き合うことを濃く意識するようになったのは、やっぱあれがきっかけなんですよね」

 

(中略)

 

1.すべては君のせいで

 

■歌詞が凄くショッキングないじめの歌ですし、しかもいじめてる人に恋煩いしているようにも思えるし。読み出したらキリがない歌ですよね。1曲目から教室とか学校っていうものが出てきて、非常にこのアルバムを象徴している曲なんですけど、これはどこから生まれてきたんですか?

「“すべては君のせいで”っていうワード自体は、今回の制作とかじゃなくて結構前から持ってたんですよね」

■人のせいにしたくてしょうがなかったんだ(笑)。

「そうそう(笑)。いや、なんかラヴソングでこういう言い回しっていいなと。『恋の責任転嫁』っていう(笑)。作ったのは2曲目だけどアルバム全体の構成としてはこれが始点になってるので、教室から始めようかなと考えていきました。……今までってリアルな教室の風景はあんまり歌いたくなかったんですよ。だけど(青春が)対象化されたという自覚が、そこから始めようっていう発想をもたらしたんでしょうね」

1行目で<ある日突然幽霊にされた/僕を置き去りに今日も教室は進む>と。言ってみれば、みんなから無視をされたことを歌ってます。

「これは僕の実体験ですね」

■そして<落とした定期蹴られて遠のく/追いかけた先かがんだ君と目が合って>って、この君という存在は実際には……。

「いないです(笑)」

■そっか。やっぱり君はいなかったんだ、小出くんの教室の中には。

「でも、ハードロック雑誌を読んでるくだりは本当です(笑)。実際は『Player』なんですけど。友達がいないから、ひたすら教室で『Player』読んでるっていう(笑)。譜面とか見てると集中するから、他のこと考えなくて済むんですよね。その音楽雑誌で周りと遮断してたのが中1の最初で」

■そのことを歌にしたいなって思ったのはどうしてなの?

「青春を未解決事件だって思うのは、『なんかまだあったんじゃないか』って思ってるからなんですよ。たとえば、もし当時嫌いだった人と今もう1回同窓会とかで会って、酒酌み交わして『ごめんね』とか『意外といいやつだったんだな、お前』とかで解決されるかって言ったら、やっぱそうじゃないんですよ。今報われたいわけじゃないし、もう二度と解決できない閉じられた時間の出来事だから。ただ、どうやっても解決できないのはわかってるんだけど、そこに頭は戻って『まだなんかあるんじゃないか』って思ったりすることが、自分の音楽活動だったり創作っていうものの源にあるんだな……っていう意味も込めて、アルバムも『光源』っていうタイトルにしたんですけど」

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text by鹿野 淳

『MUSICA5月号 Vol.121』

Posted on 2017.04.16 by MUSICA編集部

休日課長が結成した新バンド・DADARAY初インタヴュー。
川谷絵音も招き、休止明け第一声も交えながら、
処女作『DADAISM』とバンドのメカニズムを紐解く

以前は取材を常に受けていることが
普通だったのですごく久々のインタヴューなんですが、感慨深いですね
こうやって音楽のことを話せる機会があるのは
普通のことじゃないなと。嬉しく思います(川谷)

『MUSICA 5月号 Vol.121』P.46より掲載

 

■まずこれは新しいバンドの初インタヴューなんですよね。

一同「(頷く)」

■と共に、川谷絵音の久しぶりのインタヴューでもあります。現実的にその意味合いが強いことはおわかりでしょう。それに対して、絵音くん、まず一言お願いします。

川谷絵音「以前は取材を常に受けていることが普通だったので凄く久々のインタヴューなんですが、感慨深いですね。こうやって音楽のことを話せる機会があるのは普通のことじゃないなと。嬉しく思います」

■そもそも、ここに絵音くんがいるのはどういうポジションとしてなの?

川谷「わかりやすいのはプロデューサーという言い方なんですけど、あんまりプロデューサーという感じでもないかもしれないんですよね………元々僕は自分で歌いたくないというタイプだったから」

■職業作曲家になりたかったという話は何回もしているけど。

川谷「そうそう。だからこのプロジェクトのほうがニュートラルな感じというか。バンドをふたつバーっとやってる状態よりも、DADARAYのほうが自分的にはニュートラルというか、自然な感覚があるんですよね。だから立ち位置が云々というよりは、凄く自然に曲を作ってるというか。……DADARAYって、もちろんバンドなんですけど、入り方はバンドっぽくない形で始まってるものなんですよね」

■それはどういう意味合いで?

川谷「幼馴染で組んでますとか、最初のきっかけはそういうことではないっていう。まぁ課長とかえつこはずっと一緒にやってるから、そういう側面もあるといえばあるんだけど。外から見たらきっと凄く企画ものっぽい感じに見えるのかもしれないけど、活動を始めて時間が経ってきて、ライヴも1回しかやってないけどやってみて、凄くバンドっぽくなってきてると思います」

■このプロジェクトは、課長が結成したものなんだよね?

休日課長「まぁそう言うと恐れ多いんですけど(笑)、自分の人生の中で自分がバンドのリーダーになるとは思わなかったもので、そこはひとつ頑張って見ようかと思いまして。やっぱり川谷が作る楽曲をやりたいっていう気持ちは凄く強いし、REISの声に関しても、川谷の書く考えさせる歌詞を表現できる声だと思うし。で、えつこもコーラスワークも素晴らしいし、実はかなりのマルチプレイヤーなんで」

川谷「まぁえつこも単なるコーラスというわけではなく、結構歌ってるんだけどね(笑)」

課長「だからこのメンバーで組んで川谷の曲をやったら絶対に楽しいだろうなっていうのがあったんですよね。で、ゲスもあるし、変則的なバンドであればあるほど面白いと思ったし、川谷の曲も活きてくるんじゃないかなと思って。まぁ元々、自分自身が女性ヴォーカルのバンドでベース弾きたいっていう憧れも凄くあったんで」

■それは昔から?

課長「そうです、女性ヴォーカル大好きです」

川谷「大学で軽音部で会った時も、課長は可愛い女の子とバンド組みたかっただけだと思うんですけど、大体女性ヴォーカルのバンドでベース弾いてたんですよ。だって、俺と一緒にレミオロメン(のコピーを)やった時、男性ヴォーカルとやったのめっちゃ久しぶりだったでしょ?」

課長「そうそう、めっちゃ久しぶりだった。それくらい、そもそも女性ヴォーカルが好きなんですよね」

■それはそもそもリスナーとして女性ヴォーカルが好きなの?

課長「というか、どっちかと言うと、女性ヴォーカルでベースを弾くっていうのが好きなんですよね。女性の声の後ろでベース弾くっていうのが凄く気持ちいいんですよ。ただ、女性と一緒に暮らすとかはちょっと……」

■そこは聞いてないです。

川谷「だから俺もニュートラルだし、課長のことを昔から知ってる俺から見ると、課長も凄くニュートラルだと思うんですよ」

■そもそもDADARAY結成に至った経緯としては、絵音くんがREISさんを見つけたのが大きいの?

川谷「そうですね。元々ヴォイトレの先生が一緒だったんですよ。ヴォイトレって前後の人と入れ違いで会うから、その時にお互いに挨拶する感じがあって。結構そこで出会いがあったりするんですよね。で、REISに関しては先生からも凄くいいよって言われて、(彼女の作品を)聴いてみたら声が凄くよくて。最近いろいろ聴いても声にあんまりピンと来ないのが多かったんですけど、REISは凄く声がよかったので、自分の曲を歌ってくれたらどうなるんだろう?っていうところに凄く興味があったんですよね。……久々に外に目を向ける時間があったので、目を向けて見たら凄く近いところにREISがいたっていう感じです」

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text by鹿野 淳

『MUSICA5月号 Vol.121』

Posted on 2017.04.15 by MUSICA編集部

WANIMA、たまアリ初ワンマン完全制覇!
unBORDEとタッグを組み、ニューシングル発表!!
彼らの「今」を撃つ2度目の表紙巻頭特集!

不安でした、去年は。まぁ今年もですけど。
神経質にはなってたかもしれないです
ちゃんと攻めなさいって言ってくださった先輩もいて。
でも俺らにとっては、ちゃんと向き合って
ちゃんと毎日を過ごすことが攻めやったです

『MUSICA 5月号 Vol.121』P.10より掲載

 

8ヵ月ぶりにして2回目の表紙巻頭特集をやらせていただきます。

KENTAVo&B)「表紙ありがとうございます! 嬉しかです!」

KO-SHING&Cho)&FUJIDr&Cho)「ありがとうございます!」

KENTA「前回、僕はMUSICA2冊買いました」

■おー。お買い上げありがとうございます!(笑)。

KENTA「いや、そこやなくて! それくらい僕らは表紙が凄い嬉しかったってことなんですよ!」

■ありがと(笑)。では、あれから8カ月経って成長したWANIMAの最新のモードを表現するためにも、前回同様、またそれぞれキャッチコピーと共に自己紹介をしてもらうところから行きましょうか。

KENTAKO-SHINFUJI「……………!!!……………」

■いやいや、そんな黙らないで。こういうのはノリ勝負なんだから。

FUJI「でもこれ、本当に難しか……」

■前回はなんて言ったか覚えてる?

FUJI「熊本が生んだワガママボディ」

KO-SHIN「無口でむっつりスケベ」

KENTA「俺なんやっけ……(前回の表紙号を見ながら)うわ、凄いこと言っとるやん! 『平熱より2度高いほうが潮は吹きやすい』って、何これ?」

■じゃー行くよー! はい、ではどうぞ!

KENTA「よし、真面目に行こう。先っぽだけ……より優しく奥まで入れさせてって言ったほうがワンチャン狙えるってことに気づきました。KENTAです!」

■はははははははははははははは。

KENTA「先っぽだけより、優しく奥まで入れさせてって言ったほうが相手を思いやってるみたくない?」

FUJI「そうだね、先っぽだけじゃ自分しか気持ちよくなかしね」

KENTA「そう、先っぽだけっていうのは結局自分だけやん。相手のことを思いやるって気持ちが大切やと思う。KENTAです!!」

KO-SHIN「えっと……インタヴュー中に誕生日ケーキをいただきました、28歳になったKO-SHINです!」

FUJI「焼肉よりもすき焼きが好き。いや、どっちもだーい好き❤ ドラムのFUJIです!」

■よろしくお願いします!

KENTAKO-SHINFUJI「お願いしまーす! ちからー!」

■というわけで、つい先日はさいたまスーパーアリーナでの初ワンマンをもの凄い景色の中で大成功させまして。で、そのアンコールのステージで、メジャーレーベルである「unBORDE」と正式にタッグを組んで新しいシングルを出すことを発表したわけですけれども。マネジメント契約はこれまでと変わらずPIZZA OF DEATHで、つまり今までのチームとの関係は維持したまま、unBORDEとタッグを組んでメジャーからのリリースとなるという。

KENTA「そうです!」

■このタッグに関して、こうやって明確に自分達で新しいシーズンに乗り出していった今の心意気から聞かせてもらえますか。

KENTA3人の中でずっと共通して変わらないのは、最初から言ってる通り、もっとたくさんの人にWANIMAの音楽を届けたいっていうことで。その中で相談して、unBORDEとタッグを組むっていうことを決意しました。unBORDEのみなさんが僕達がもっとたくさんの人に歌を届けられるように力を貸してくださるっていう中で、いろいろ話し合って決意したっすね。でも、だから心意気としては何も変わってなくて。やっぱりもっともっとたくさんの人に届けたいんです!!」

■ただ、とはいえメジャーとタッグを組むというのは大きな決断ではあるじゃないですか。たとえば去年は初めてCMとタイアップした“ともに”を含む『JUICE UP!!』を出して、Mステにも出て、自分達の音楽を今ライヴに来てる人達だけじゃなく、もっと幅広い層に届けるためのチャレンジをして。そういうことをやっていく中で、どういう気持ちの流れがあってその決意に至ったんですか。

KENTA「僕達のような野良犬みたいな者がたくさんの人の支えの下で音楽やれてるんだなって思ったのが一番なんですけど。Mステに1回出た時の反響が凄かったんですよ。でも、実際に出てみて、やっぱり1回だけじゃなくて出続けることが大切だなっていうのは凄く思ったし。だから本当に、もっとたくさんの人に届けるならっていう感じですかね」

FUJI「そのために、より力を貸してくれるっていう方が現れたので」

KENTA「そう! やから、気持ちとしては今までと変わらんけど、僕らに力を貸してくれる人が増えたっていう感覚です。やっぱり、PIZZAやったら6人ぐらいなんで(笑)」

■これだけ少人数のインディペンデントな会社で、ここまでの状況を作ってることも本当に凄いけどね。

KENTA「もちろんそのチームはこれからもこのまま一緒にやってくれるわけで、そこにもっとたくさんの人、前の何倍もの人達がWANIMAに力を貸してくれるっていう………だから本当に、凄い自然だったんですよ。もっとたくさんの人に届けるならっていうことで自然と決意したっていうか。周りは『メジャーもインディーズも変わらない時代やから』って言う人もいるんですけど、でもそういうことじゃなくて、『人』なんですよね。unBORDEの人達と一緒になってもっとたくさんの人に僕らの音楽を届けたい、それでもっと世の中をよくしたいっていうのがあるので。だからインディーズからメジャーに行ってどうのこうのって言う人達も中には多いと思うんですけど、いやいや、そこじゃないんやけどなと思ってて――」

(続きは本誌をチェック!

text by有泉智子

『MUSICA5月号 Vol.121』

Posted on 2017.04.15 by MUSICA編集部

RADWIMPS、「Human Bloom Tour 2017」
宮城&名古屋公演をレポート。
さらに、『サイハテアイニ/洗脳』最速レヴュー!

自由に、鮮やかに、そしてとても温かな解放感をもって
僕の心と君の心が有機的に交わり
音楽が大輪の花となって咲き誇る――Human Bloom、満開!!
ツアー前半戦、宮城公演と名古屋公演を体験。
この1年の新たな出会いとコミュニケーションが
RADWIMPSにもたらしたものは、いかにライヴへと結実したのか
そして、早くも届いたニューシングル『サイハテアイニ/洗脳』を聴いた!

『MUSICA 5月号 Vol.121』P.28より掲載

 

「このアルバムは肯定ですね、今までの自分とバンドと人類の肯定。それは間違いない」

 ――本誌201612月号の表紙巻頭特集のインタヴューにおいて洋次郎自身がこう語ったアルバム『人間開花』を掲げてのツアー「RADWIMPS Human Bloom Tour 2017」が、今まさに全国で開花中である。ワンマンツアーとしては3年ぶり、225日のマリンメッセ福岡から510日の日本武道館までを回る12箇所21公演。しかもなんと洋次郎は、この4月からOAが開始されている、テレビ東京とNetflixがタッグを組んで新設された木曜深夜枠ドラマ「木ドラ25」第一弾である『100万円の女たち』に初主演。つまりツアーと初の連ドラ撮影(しかも主演)を完全に平行して行うという、3年前の洋次郎だったら天地がひっくり返ってもあり得なかったであろう、精力的という言葉だけではちょっと説明できないレベルの状況でツアーを回っている。

 

 ツアータイトルに掲げられた『Human Bloom』は、言うまでもなく『人間開花』の英語タイトルであるわけだが、「Bloom」という言葉には、「開花」の他に「輝き」という意味もある。

 ―――人間の輝き。

 RADWIMPSが、時に痛烈に怒り批判し、時に深く悲嘆し絶望しながら、けれど、それでもいつだって信じようとしていたものは、いつだって追い求め最大化しようとしてきたものは、まさにそれだったのではないか。そんなことを自分は『人間開花』の時の記事にも書いたのだけど、今回のツアーは、まさにその輝きを真正面から信じた上で、ステージ上のRADWIMPSもアリーナを埋め尽くす満員のオーディエンスも、その双方が、まるで太陽の陽射しを全身に浴びて咲き誇る向日葵のように、眩い光と歓喜の中で自らの生を解放し大輪の花を咲かせる、そんなライヴを展開している。そこにある肩肘張ることのない抜けのいいあたたかなコミュニケーションと、瑞々しく、ピースフルとさえ言っていい祝祭感は、これまでのRADWIMPSのライヴとは趣の違うものだ。

 ツアー前半戦、326日の宮城・セキスイハイムスーパーアリーナと、41日の名古屋・日本ガイシホールの2本のライヴを体験。まだツアー中なので詳細なセットリストやネタバレ的な演出には言及せず、最新のRADWIMPSを考察していきたいと思う(なお、掲載した写真はすべて宮城公演において撮影したものです)。

 

 今回のツアーは前述した通り3年ぶりのアルバムツアーであると同時に、アリーナクラスになって以降の彼らの歴史の中で、おそらく最も多く「初めて」のオーディエンスが詰めかけるツアーになっている。『君の名は。』の社会現象化によって国民的レベルで再発見され、その強烈な追い風が吹きまくる中、作品性としてもRADWIMPS史上最も開けた、それこそ前述の取材で洋次郎が「ここまで積極的に歩み寄れるのは、たぶん今回だけだと思う」と言ったほど、最も積極的にリスナーという存在に想いを届けようとしたアルバムをリリースするという見事なまでのタイミングの噛み合いっぷりもあって、『人間開花』が大ヒット。さらにはこれまでただの一度も出演することのなかった歌番組はもちろん、紅白歌合戦という場にも出て行ったことで、ここ数年の比ではないレベルで一気に新規ファンが増大したことは明白で。結果、明らかに客席の景色が若返っていた。もちろん以前から、ツアーをやる度に思春期を迎えた新しいファンが入ってきている印象はあったけれど、それにしても若い。印象的だったのが、名古屋のアンコールで洋次郎が「バンドやってる人もたくさんいると思うんだけど――」と呼びかけた時に、1万人規模の会場にも関わらず十数人いたかどうかというくらい、まばらにしか手が挙がらなかったこと。これにはメンバーもびっくりしていたけど、それだけいわゆる「音楽好き」を超えて幅広い層にリーチしたこの1年の彼らの状況を端的に表しているのだと思う。

 

(続きは本誌をチェック!

text by有泉智子

『MUSICA5月号 Vol.121』