Posted on 2017.04.20 by MUSICA編集部

175R、7年ぶりの新作『GET UP YOUTH!』
アルバムに込められた意志と、
己が信条「ハッピーライフ」をSHOGOが語る

夢に縛られるのは本当に本末転倒なことで、
だから僕は客観視してないとダメだなって。
叶えられるものと叶えられないものを、
この年になると選別しないといけない

『MUSICA 5月号 Vol.121』P.132より掲載

 

■昨年行われました骸骨祭りで復活されて、ついに7年ぶりのフルアルバムがリリースされます。前のめりで、パワフルで、夢に向かっていく初々しいエネルギーに満ちた作品になっていると思うんですけど、何故7年ぶりのアルバムでこんなにもフレッシュな作品が出せたんだと思いますか?

6年間の休止期間があって、僕の中では今回の活動再開が新しいバンドをまた1から組むようなイメージで動き始めたので。ファーストアルバムを作るようなイメージで作っていったんですよね。それで先ほど言ってもらったようなそういうものが今回の作品には詰まってる気はしますね。ただ現実として、僕らは1枚目のアルバムのようなイメージで作ったと言えども、やっぱり7枚目のアルバムであり、今のバンドシーンを賑わせている若手のバンドさんとはやっぱり違うので。そこは今までの経験値みたいなものが歌詞だったりサウンド面にも出てればいいなとは思いますね」

■たとえば1曲目の“歓びの詩”では<フロアも皆 ステージも皆/ごちゃまぜだ 境界線なくして>って歌われていて。ここからはジャンルはもちろん、これまでのキャリアとかしがらみとかも取っ払って新しい自由な音楽を作りたいっていう気持ちがうかがえたんですけど、実際にそういう気持ちはありましたか?

「ありますね。やっぱり一度歩みを止める時にはいろんな覚悟があったし、いろんなストレスも溜まっていて。それを消化していくような6年間だったと思うんですけど、活動を再開する以上また同じことを繰り返したくないっていう気持ちが凄く強いので。だから音の面でもそうですし、マイペースにいくっていうのを特に意識していきたいなって」

■その活動休止前に「ストレスも溜まっていた」っていうのは、たとえばどういう部分で感じてたんですか?

「ずっと同じメンバーでやってきた中で、メンバーの音楽に対する接し方だったりモチヴェーションだったりに差を感じてたんです。誰かに言われて組んだバンドじゃないし、自分達が好きで始めた音楽だし、しかもそれがここまで長く続いているっていう……だから音楽ってやっぱり凄く大事なものなので、そこでは嘘をつきたくないっていう気持ちが強かったんですよね。最初はとにかくがむしゃらにやってって、それが次第に結果に繋がっていって、そしていわゆる職業のようなものになっているんですけど。そこの線引きって凄く難しいじゃないですか? だって音楽って、それが職業になったとしても、自分にとっては趣味の延長線上でもあると思うので」

■もちろん、そうですよね。

「で、それに加えて必然的なことなのかもしれないですけど、どんどんセールスだったり動員だったりも、自分達の思うようにはならなくなっていくって中でいろいろ葛藤しますよね。そこで、だったらなおさら、『大事にしてきた音楽を食うためにやりたくない』みたいな気持ちが逆に出てくるし、メンバーに対しても、組んだ当初のような気持ちで音楽に向き合って欲しいって気持ちが強くなっていって――だって、レコード会社や事務所の方がいたり、いいスタジオでレコーディングできるっていう環境があるんだから、本当はもっともっとたくさんのことができると思ったんですよね。ただ、本人達にいろいろ意見はあると思うんですけど、それが僕が見ている限りではそれができなかったっていう。それであまり変わらないメンバーに対して、苛立ちだったりを当時は凄い感じてて」

■そういう経緯があったんですね。SHOGOさんは休止期間中には一時ロンドンに住まれていた時期もありましたし、ソロで音楽の活動をされながら舞台も経験されていて。そういう様々な経験をされているうちに、175Rっていうのを相対化していったり客観視する時間があったと思うんですけど、そういった感覚はご自身では持たれていますか。

「確かにそうですね――いや、でも僕の場合は元々客観視していたんですよ、どっかで175Rっていうものを。それはきっと組んだ時からそうでしたね。だからメンバー写真とかを撮っていく時も『ヴォーカルはひとり金髪で、やんちゃで――』とかそういうイメージがあったし……でも今の175Rに関して言うと、正直わかんないですね」

■というのは?

「6年って言葉にすると凄く長いんですけど、僕にとっては本当に休止期間も充実していた分、2、3年しか経っていないイメージがあるというか。なのでこの間TOTALFATにイベント呼んでもらった時、彼らが『帰ってきたレジェンド!』って僕らを紹介したんですよ。そうやって言ってくれるのが凄く嬉しい反面、もうそれがこそばゆくって。でもそこで共演したENTHっていうバンドも、『初めてチケットを買ってライヴに行ったのが175Rでした』っていうのを楽屋裏で言ってくれたりして……なんか自分としては玉手箱を開けたような不思議な気分で(笑)。ただ、実際久しぶりにライヴをやった去年末は、過去の曲をライヴでやったら『なんかこれちょっと今の時代とマッチしてねーな』と思うこともあったんで。だからそういう意味でも、やっぱり作ったばかりの新曲でライヴやりたいなっていう気持ちになっているし、今の175Rを若い子にも提示していきたいんですよね。それこそWANIMAだったり、ブルエンやフォーリミとかってところに、イナゴって略されて入りたいなっていう気はしますね」

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text by黒田隆太朗

『MUSICA5月号 Vol.121』