Posted on 2017.05.17 by MUSICA編集部

Dragon Ash、デビュー20周年を打ち立てる金字塔にして、
新たな始まりの号砲『MAJESTIC』完成!
20年の軌跡と最新の今を、
メンバー全員インタヴューで紐解く

今回は今までで一番ぐらいに光に満ちたアルバムっていうかさ。
喜びのままに音楽を鳴らしている印象が強い。
そういうアルバムが出せたのも、
自分がやってきたことがすべて価値があるって思えている今があるからで

『MUSICA 6月号 Vol.122』P.12より掲載

 

■アルバム完成おめでとうございます! シングルや配信でリリースされた楽曲を聴いて想像していた以上に、新しいDragon Ashの音が響いてくるアルバムで、20周年にして、また新しい始まりを明確に告げるアルバムになったなと思うんですが。まずはそれぞれ手応えを聞かせてください。

KjVo&G)「おっしゃる通り、20年の成人式っていうよりは、大人1年目みたいな感覚。賢輔(KenKen)が全曲弾いてる、要はゲストって感覚ではなくメンバーとして一緒に音を作っていくのは初めてのことだから。だから本当に1年生のつもりでやったし、抜本的に音作りから変えてったんだけど。TDも何度も何度もやり直して、やっと形になっていったのが(今回の制作)初期で。で、そこからだんだん何も言わなくてもお互いに意志の疎通ができるようになったぐらいで、タイムアップっていう感じだった」

■あ、そうなんだ。

Kj「うん。だからやり切った感とかは誰もまったくないと思う。この感じで楽しく真剣にやってたら、時間いっぱいになっちゃったっていう感覚。でも、ちゃんとDragon Ashは今こういうふうにしたいって思う形は十分に表現できたなと思う」

BOTSDJ)「俺もKjの言ってることに近いっすけど、『あぁ、終わっちゃった』みたいな感じはちょっとあって。新たに試したことが多いアルバムなんだけど、それがいい感じに形になってきたというか、その新たな試みに慣れてきたぐらいでレコーディングが終わっちゃった感はあるかな。でも最後に“Jump”っていう曲で終われたのが、個人的にはよくて(笑)。“Jump”っていう曲に形容詞をつけるとしたら、『凄い曲』なんで」

一同「はははははははははははは」

BOTS「『凄い曲』って超漠然としてるけど、あんまなくないっすか? 俺の中で“Jump”はそういう曲なんで。そういう凄い曲でアルバムが終われたのはよかったなと。だから満足してますね(笑)」

■というか、今回は久々にかなりシンセが多用されてて、めちゃくちゃ肉体的な生のグルーヴとデジタル感の融合が新しい響きを呼んでるんですけど、中でもこの曲は終盤にEDMっぽいシンセも入ってきて結構びっくりしたんですけど。

桜井「あー、あのウ――ッってところね。BOTSくんが最終的によりEDM感を強くするんですよ。ウ――ッみたいなのをガンガン入れてくるから」

BOTS「あれはEDMではなくトランスです!」

桜井「あ、失礼しました(笑)」

Kj「みんなBOTSくんにわかんないようにちょっとずつ(ウーッのバランスを)下げていくんだけど、最後にBOTSくんが『あの音上げよう』っつってね(笑)。バレたか!みたいな(笑)」

BOTS「ははははははははははははは」

HIROKIG)「BOTSも言った通り、やっぱり新たな試みをいっぱいやったアルバムなので、最後の最後までいろいろやったんですけど。それこそ前に話したドロップチューニングの問題に始まり(笑)、自分の立ち位置をどう取るかっていうのを探ったりもしたんだけど、それも途中から見えてきたし。最後までバランスとか取りながらやれたんじゃないかなと思いますね」

DRI-VDance)「僕もネクストステージに行ったなっていうのは、率直に思いましたね。今までだったら、アルバム最後の曲は完結するような曲で終わってたのが、今回は“A Hundred Emotions”がケツになったことで、次の世界に引っ張り出されていくような、次のショーが始まるみたいな印象があって。それがまたいいなと思いました」

ATSUSHIDance)「俺は、喜怒哀楽の詰まった、まさに威風堂々たる壮大なアルバムだと思ってますね。それぞれの曲で喜怒哀楽が全部表現されていって、最終的に一番最後の“A Hundred Emotions”に繋がっていくという。最後そこに落ち着くというか。そういうイメージがあります」

KenKenはどうですか?

KenKen「ひと言で言うと『MAJESTIC』だなと思いますね。ドーンッ!としてますよね、凄く」

Kj「ははははははは! あんだけいいベース弾いといて、ドーンッ!って、下手じゃない!?(笑)」

KenKen「いやいやいや、(太く力強い発声で)マジェスティックドーンッ!っていう(笑)」

Kj「それ文字にしたら伝わんねーから!(笑)」

KenKen「ははははは。でも本当に光栄なことだなと思ってて。Dragon Ash20周年を迎えるにあたって、一緒にやらせてもらえることが僕の人生の誇りなので、自信を持って弾かせてもらいました。あと、個人的には“Mix it Up”が印象に残ってて。『DIVE for FREEDOM』っていう自分が『オレパルーザ』で掲げてたテーマが、まさかそのまま歌詞になるとは思ってなかったので。普通に聴きながら『歌カッケェな』と思ってたら、『あれ? 今なんか言ったよね?』ってなって(笑)」

Kj「『おいおい、<dive for freedom>って言ってねーか!?』みたいな?(笑)」

KenKen「そう! それは本っ当に嬉しかった。全体としても『オレパルーザ』で掲げてた想いを上手く表現した歌詞になってるし、さすがだなぁ、凄くいいなぁと思いましたね」

■ちなみに、『MAJESTIC』っていうタイトルはいつぐらいについたんですか?

Kj「少なくとも“Beside You”と“Mix it Up”を録る前から“Stardust”と“Majestic”はあったから、だいぶ前だね。『MAJESTIC』っていうアルバムにするっていうのは、だいぶ前に決まってた」

BOTS「俺、(20167月頭の)京都大作戦に行く新幹線の中で言われた気がする。『MAJESTIC』でネタ探しといてってKjに言われて」

■そんなに前からあったんだ。

Kj「俺は基本的には1曲目から作るタイプなんで、1曲目は割と最初のほうに作ってるんだよね。今回のタームに入った段階から抜本的に録り方も変えていきたいっていうメッセージはみんなにも伝えてたし。どうなっていくかはわかんなかったけど、でも『MAJESTIC』っていうイメージはあった。で、一番アルバムを象徴する曲を最初と最後に持ってきてるつもりなんだけど。“Stardust”と“A Hundred Emotions”が、俺がこの7人でやりたいことだったというか。で、それが出せたね」

■ではお待たせしました、サクさんどうぞ。

桜井「俺、訊かれねぇなと思ってた(笑)。やっぱミクスチャーって、可能性が無限大だなって改めて思いましたね。王道のパンクだったりロックがありつつ、時代を反映するような音を上手く昇華して合わせていくっていう作業をしながらこういう音楽を制作すると、非常に面白いものになるんだなと思いました」

Kj「そもそも、新しいことやっていかないとやり甲斐が見出せないっていうのはあるよね。もちろん単純に音楽やるだけで楽しいんだけど、まだ制作して、まだリリースを楽しみにしてくれる人がいるなら、新しいことをやらないとやり甲斐がない。ぶっちゃけ続けてくっていうことで言えばさ、200曲ぐらい作ってれば、もう大丈夫じゃん?」

桜井「ま、ライヴに関してはね(笑)」

Kj「そうそう。20曲でライヴやりますとか言ってもさ、10曲に1曲しかできないわけだから。でもウチはやっぱ、あくまで前を見て、その時々に今やりたいことっていうのをやり続けてきて。その『今』の連鎖で気がついたらフルアルバム何枚も出して、何回もツアーやって、何回もイベントに呼んでもらってってとこに行き着いてるっていうか、いろんな人がまだポジションを用意してくれてるっていう。それは幸せなことだと思うよね。単純に自分達でもそうやってたほうが楽しいし――」

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text by有泉智子

『MUSICA6月号 Vol.122』